新型コロナウイルスの抗体検査3
今回は、「日常生活での実際のコロナ関連の検査、どう実践していけばよいのか」ということをお話ししようと思います。
前の2回でお話してきたことを簡単にまとめると、「新型コロナウイルスに対する抗体検査」に関して、「陽性とでると安心なのか、まだまだ、わかりませんよ!」ということでした。本当の正解は、まだ解りません。
ただ、社会や経済をできるだけ通常に戻そうとする動きの中では、新型コロナウイルスの抗体検査も「陽性」であるほうがなんとなく「安心」という流れを作りたい人たちも多いのも当然のこと。国も社会も、普通に動く方がイイに決まっているので、「安心・安全」をみんな追い求めているのだと思います。
もう少し、実生活に役立つ知識として、すごくかみ砕いて、説明しておきます。現時点(2020年6月17日現在)では次の様になります。
◆1. 自分が、新型コロナウイルスに今、かかっている(現在)かどうか知りたい場合
方法:「PCR検査」か、新型コロナウイルスの「抗原検査」を受ける
利点:健康保険適応がありますので、安価で信頼して受けることができます。そして、もし陰性となれば、その時点では、新型コロナウイルスには感染していないといえますので、少なくともその時点では安心です。
欠点:いつでもどこでも受けることができる状況にまではなっていないようです。
◆2. 自分が、新型コロナウイルスにかかったことがある(過去)のかどうか知りたい場合
方法:新型コロナウイルスの「抗体検査」を受ける
利点:希望すれば、いつでも、実施してくれる医療機関が増えてきています。
欠点:健康保険適応がないので、自費診療で高価です。そして、今のところ、陽性となっても決して安心できませんし、陰性となっても何も心配する必要はありません。
* * *
さて皆さんは、新型コロナウイルス感染に対する対策と、社会生活の通常化のバランスをどのように考えていきますか? 各自の状況に応じてそれぞれが判断していくしかないような気がします。一気に研究が進んで、何か良い方法が出てくることを期待しています。
それまでは、手洗い、マスク着用、栄養、睡眠といった古来の方法で闘うしかないのかもしれません。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉
1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ