「夏至」とは? 日照時間や南中高度も解説
日本には1年を24分割し、それぞれに季節を表す言葉をつけた二十四節気(にじゅうしせっき)という季節の呼び名があります。その中の1つである、「夏至」(げし)をご存知でしょうか?
この記事では、「夏至」について詳しく解説していきます。この機会に、季節を細やかに感じてみるのもいいかもしれません。
◆夏至の意味と由来
「夏至」とは、二十四節気の一つであり、1年の中で最も昼の時間が長く、夜が最も短い日のこと。太陽が北回帰線上の真上に来るために起こる現象です。夏至以降は、だんだんと日は短くなっていきます。
ちなみに、これは北半球だけでのこと。南半球では、夏至の日に最も昼の時間が短くなります。つまり、北半球とは逆の日照時間になるのです。
◆夏至の日照時間

同じ夏至の日でも、日本国内の地域によって日照時間は異なります。
2024年夏至の日照時間を都市ごとに挙げていくと、札幌は約15時間22分、東京は約14時間34分、大阪は約14時間30分、福岡は約14時間23分、那覇は約13時間47分となります。札幌と那覇を比べると、約1時間35分も日照時間が違うのは、意外ではないでしょうか。
この理由は、夏至の時の地球は、北半球が太陽の方に23.4度傾いているから。それだけ北半球は、太陽の光を長く浴びられるということ。つまり、日照時間が長くなるのです。
このことを日本に限定して考えると、北に位置する札幌は夏至の時は太陽の方に一番傾いているので、最も日照時間が長くなるわけです。
ちなみに、一年で日照時間の一番短い冬至の時は、南の方が太陽の方に傾いているので、先に日照時間を挙げた都市の中では札幌の日照時間が短くなり、沖縄の日照時間が長くなります。
◆2025年の夏至は6月21日
夏至は例年、6月21日もしくは6月22日となりますが、2025年の夏至は6月21日(土)です。
◆期間としての2025年の夏至は6月21日~7月6日まで
「夏至の期間」は、二十四節気の芒種の期間の終わる翌日から小暑の前日までを指します。よって、2025年は6月21日(土)~7月6日(日)までが夏至の期間となります。
夏至が実際の気候と違っている理由とは?

「夏至」は6月中旬であることを考えると、まだ梅雨時期でもあり、「夏の中心」というには季節感がずれていますよね。どうしてこのように実際の気候とずれているのかを、ここでは解説していきましょう。
夏至の時期は、最も日照時間が長いことに間違いはありません。しかしながら、夏至に最も暑くなるかと言われればそうではなく、実際の暑さは1、2か月ほど遅れてやってきます。
そもそも二十四節気が作られたのは紀元前の中国黄河流域のため、現在の日本の気候とはぴったり一致しないのは当然のこと。さらに、中国には梅雨や台風がないため、特に6月は二十四節気と日本の気候にずれが生じるのです。
夏至に見られる花や旬の食べ物
続いて、夏至の時期だからこそ美しい花や美味しい食べ物をご紹介します。
◆夏至の時期に見られる花

夏至の期間は、日本では梅雨時期に当たります。したがって、梅雨時期に美しい花が、夏至を感じさせる花と言えますね。その代表格がアジサイです。アジサイの多くは、6月上旬~7月上旬ごろに咲きます。
中でも日本原産のアジサイはガクアジサイと言い、西洋で品種改良を重ねたものを西洋アジサイと言います。ガクアジサイ、西洋アジサイともに品種、色、形の種類が豊富なので、じっくり観察してみるのも趣深いですよ。
次に挙げるのは、アヤメです。昔の人は「アヤメが咲けば梅雨入り」と考えていました。この時期、山などの草地で自生しているのも見ることができるでしょう。
ちなみに、アヤメにそっくりな紫色の花にカキツバタ、花ショウブがあります。覚えやすい見分け方は、生息地の違い。陸地に生えているものはアヤメ、水辺や湿地に生えているものはカキツバタか花ショウブです。
◆夏至に食べられる旬の食べ物
続いて夏至に旬を迎える食べ物をご紹介します。夏至の頃から8月くらいまで楽しめる旬の食べ物として、鮎が挙げられます。例年、鮎漁が解禁されるのは6月頭です。他にも魚類では、鱧(はも)も旬。関東では馴染みが薄いかもしれませんが、関西では初夏の風物詩として定番です。
野菜だとミョウガが旬です。そうめんや冷ややっこの薬味にすると、シャキシャキとした歯触りが夏の食欲を引き立てます。豆類ではエダマメも美味しい時期! 塩茹でしたエダマメは酒のアテに最高です。
その他、フルーツではさくらんぼも収穫の季節。梅雨時期の5月後半から6月にかけてが美味しいタイミングになります。
夏至祭など各地の風習についてもチェック
「夏至祭」は世界各地で行われています。日本と世界の「夏至祭」と風習についてご紹介していきましょう。
◆三重県二見浦の夏至祭

日本で有名な夏至祭は三重県二見浦(ふたみうら)の「夏至祭」です。二見浦には、大小仲良く並んだ夫婦岩があるのですが、夏至の前後2か月だけ、夫婦岩の間から朝日が昇る特別な光景を見ることができます。
古くから二見浦一帯は、伊勢参宮を控えた人々が心身を清め、罪穢れを祓うべく、禊祓(みそぎはらえ)をした場所でした。「夏至祭」は、太陽のエネルギーが最も溢れる夏至の日の出と共に禊をする祭典で、夫婦岩の前で行われます。
◆スウェーデンのミッドサマー

日照時間の短い北欧では、昼間が長くなる夏至はとても大切にされています。長い冬を終え、夏の到来を祝う行事として、夏至を祝う「ミッドサマーの祝日」は、クリスマスと並ぶ大切な日とも言われています。
家族親戚と祝うことが多いクリスマスに対して、ミッドサマーは友人たちと祝うことが多いようです。また、短い夏を楽しむべく、夏至近辺から長期休暇を取得する人も多いのだとか。
◆関西のタコ、関東の焼き餅
夏至の時期、大阪ではタコを食べる風習があります。タコが海底で岩に足を張りつけることから「稲がタコの足のように根を張りますように」という願いが込められているそう。
一方、関東地方では小麦ともち米で作った小麦餅を焼いて食べます。田植えを手伝ってくれた人に振る舞ったり、神様にお供えしたりするそうです。
最後に
夏至の基本的な情報から、食べ物、日本や世界の風習をご紹介してきました。一年で一番日照時間の長い、夏至の日。季節の花や旬の食べ物を楽しんで、豊かな一日にしたいですね。
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Oggi編集部
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