レトルトカレー開発者に聞いた! より美味しくなるアレンジ方法は!?
レトルトカレーの需要が高まっています。災害時などの備蓄用にも役立つことや、レトルトカレー自体の味のレベルがここ数年で劇的に上がっていることなど、様々な要因があるのですが、ここ数年のトレンドとしてカレーの名店が監修したレトルトカレーというものがあります。
昔からあったのですが、5年前の名店レトルトと今の名店レトルトを比べると、今の方がレベルが確実に高いものが多く、人気も需要も高まり、名店シリーズは各社力を入れて製造しています。
あくまで個人的な感覚ですが、5年前のレトルトは味の再現率が平均30~40%くらいだったのが、今は60~70%くらいに上がっており、中には90%を超えるクオリティの再現率の商品もあると感じています。
各店舗それぞれが各業者と工夫をこらして美味しいものを作ろうと頑張っているからこそなのですが、今回はその名店監修のレトルトカレーを、さらに美味しく食べる為にはどうしたら良いのか、その名店のシェフに聞いてみました!
スパイスやハーブなど、隠し味を1つ追加するだけで、お店に味にさらに近づいたり、別のベクトルの美味しさが生まれたり。試してみる価値はおおいにあります。
今回ご紹介するレトルトカレーは、僕自身何度もリピートして食べているものが多いので、皆さんも是非まとめ買いして、普通に食べたり、今回おすすめするちょい足しレシピで食べたりして、楽しんでいただければと思います。
◆魯珈
まずは令和の日本カレー界を代表する存在と言っても過言ではない知名度と人気を誇る魯珈。大久保にある小さなお店は記帳制で開店前に売り切れることがほとんどというハードルの高いお店です。
南インドカレーをベースにしつつも、そこにとどまらない創意工夫と個性、そしてその接客の素晴らしさも人気の理由です。
▲ろかプレート、ぷちカレー各種
そんな魯珈が監修したチキンカレーがレトルトで発売されているということで、魯珈になかなか行けないという方にも嬉しい商品となっています。味のクオリティもかなりのもので、店主の斎藤さんが業界の大手である「ハウス食品」と手を組み、妥協せず何度も作り直したというだけあり、お店のチキンカレーをマニアじゃない人にも食べやすくアレンジしたカレーになっていて美味しいです。
▲芳醇チキンカレー
そんな魯珈の芳醇チキンカレー、店主斎藤さんに何を加えるとより一層美味しくなるのか聞いてみました。
齋藤さん「ブラックペッパーがオススメです! 万人受けな辛さになっておりますのでブラックペッパーを足すと辛味と香りダブルで際立ち、より店の味に近づきます。」
実際、魯珈のチキンカレーは結構辛いんです。それに近づけるにはおっしゃる通りブラックペッパーをしっかり足すのがポイント。カイエンペッパーも足すと辛さにブーストがかかってお店の味にさらに近づくと思います。
◆ピワン
吉祥寺の激狭行列店として知られるピワン。最近、吉祥寺内のさらに広い場所に移転して、以前よりも多くの人が楽しめるようになりました。
「ピワン盛り」とも呼ばれる芸術的な盛り付けのカレーは、素材の出汁の旨味がしっかりとグレイビーに溶け込んだ旨味凝縮カレーともいえる美味しさです。
▲2種盛りカレー
そんなピワンの人気カレーはレトルトカレー業界の風雲児「36チャンバーズ オブ スパイス」から発売されているのですが、今年の新作として、限定メニューの中でもひときわ人気の高い、ど海老カレーが遂にレトルト化されました!
名前の通り海老の旨味を前面に押し出したもの。海老出汁がしっかりきいたグレイビーに海老団子。海老を殻ごと食べているような感覚になる、海老好きにはたまらないカレーです。
▲ど海老カレー
こちらも店主の石田さんに聞いてみました。
石田さん「フレッシュのディルやチャービルをちぎって飾ると、見た目もきれいですし、味も合います。新玉葱を薄切りにしたものを足しても良いと思います。」
ディルやチャービルなどのハーブをあしらえば色味も華やかになり、食欲をそそります。そして新玉葱を加えれば濃厚なカレーがさっぱりして、食感にも変化が出て楽しいですね。
◆ネゴンボ33
埼玉屈指の名店として名高いネゴンボ33。東京では高円寺にもお店を構え、どちらも人気店となっています。
インドカレーの手法をベースとしながらも、独自のセンスで一工夫を加えたカレーは、素材自体の持つ旨味とスパイスの刺激のバランスが完璧で、何を食べても美味しいお店です。
▲あいがけ(ラムキーマカレー、ポークビンダルー)
ネゴンボ33監修のレトルトは複数のメーカーから何種類も出ているのですが、僕の一番のお気に入りは、こちらも「36チャンバーズ オブ スパイス」から発売されているポークビンダルーです。このレトルトは再現度が異常に高く、ほぼ同じ味と言っても差し支えないレベル。
これをレトルトで作れるのは奇跡だと思うほどに、美味しくてリピートしているのですが、それをさらに美味しく食べる方法があるのでしょうか?
▲ポークビンダルー
店主の山田さんに聞いてみました。
山田さん「無糖プレーンヨーグルトがおすすめです。乳製品の旨味も追加されて食べやすく味わい深くなります。あとは梅干しでポークビンダルーの特徴でもある酸味を強調するのもありですね。」
なるほど。確かにレトルトとしては刺激強めのカレーですから、辛い物が苦手な方にはヨーグルトが良さそうです。具として入っている豚肉をマリネする際にもヨーグルトを使用しているとのことなので、相性が悪いわけありません。
そして梅干しとカレーは非常に相性が良い食べ物。和の旨味と酸味を追加したら、家だからこそ食べられる特別なレトルトカレーになることうけあいです。
◆エリックサウス
日本における南インド料理の普及に大きな役割を担った存在と言えるエリックサウス。ミールスやビリヤニという食べ物をこのお店で初体験したという方も少なくないのではないでしょうか。
南インド料理という基本の枠はしっかり保ちつつ、モダンインディアンに力を入れた渋谷のエリックサウスマサラダイナー、そして今春、高円寺にオープンしたエリックサウスカレー&ビリヤニセンターでは店名の通りビリヤニを看板メニューとし、さらなるカレーの楽しみ方を提示し続けてくれているカレーマニアにとっては有難い存在です。
▲特撰ディナーターリー
そんなエリックサウスのカレーを手掛けたのは「S&B」。カレーマニアからも評価の高い会社です。実際社員さんにもカレーマニアが多く、カレー店やカレーイベントでご挨拶されることも少なくありません。
S&Bとエリックサウスが手を組んで作ったレトルトですから、美味しくないわけがないのですが、それをさらに美味しく食べるには何を加えれば良いのでしょうか。
▲南インド風チキンカレー
エリックサウスのメニューを手掛ける稲田さんに聞いてみました。
稲田さん「なんといってもパクチーです。ブラックペッパーをゴリゴリひくのもいいと思います。裏技的ですが、大葉や三つ葉もアリです。」
パクチーとブラックペッパー。間違いないですね。レトルトが一気に本格的なお店の味に近づくでしょう。大葉や三つ葉という和のハーブを加えても確かに合いそう。そしてこのような食べ方はお店では無いものなので、家だからこその楽しみ方と言えるでしょう。
◆おまけ
最後に僕が監修したレトルトカレーについても、より美味しく食べる方法が色々とあるのでおまけ的に。「36チャンバーズオブスパイス」のチャイニーズキーマカリーのカレーについては、過去記事に詳細がありますので、そちらも是非。
▲チャイニーズキーマカリー
このカレーは何かをプラスするというよりは、主食を変えて楽しむという目的で作りました。最初はご飯で食べたら、次は麺で食べてみてください。実は麺の方が合うと個人的には思っています。
麺は中華麺が一番ですが、うどんでもパスタでも意外といけます。温めた豆腐にかけるのも良いですよ。そしてあえて辣油を多めに入れてあるのは、調味料として使ってもらおうと考えてのこと。
湯煎した後にスパイス油だけ先にフライパンに出してその油で茄子を炒め、後からキーマを加えればカレー麻婆茄子になり、これも最高です。アレンジありきで作ったレトルトカレーなので、色々な食べ方で食べてみてください!
レトルトカレーは家で食べるもの。なかなかお店に食べに行けない日々も、家だからこそ楽しめるお店のカレーという発想の転換で気分を切り替えて、美味しいカレーで毎日を乗り越えていきましょう!
AKINO LEE カレーおじさん\(^o^)/
ヴォーカリスト、パフォーマーとして自身の活動の他、様々なアイドルの作詞作曲振付プロデュースを担当。ヴォイストレーナーとして後進の育成にも力を注いでいる。
音楽ライターとしても各種雑誌、ムック本などで執筆を担当。また、カレーおじさん\(^o^)/としても知られ、年間平均1000食以上のカレーを食べてきた経験と知識を活かしてTVや雑誌など各種メディアにおいてカレーについて語っている。
http://www.akinolee.tokyo/