カンフー映画好きから始まった、カンフーカレーレトルト♡
今年は麻辣ブームとも呼ばれ、痺れ系の中華テイストが流行しています。カレー界でも中華カレーというジャンルは着実に発展してきていて、麻辣ブームと合わさって麻辣系のカレーが色々なお店で食べられるようになっていますし、レトルトも登場して家庭でも味わえる機会が増えました。
本連載でも中華カレーの魅力についてはことあるごとに取り上げてきているのですが、麻辣もブームならスパイスカレーもブームということもあり、流行りものに流行りものをただ合わせただけのようなものもちらほらと見受けられます。それではいけないんですよ。
そのようなものが増えてきていることにより、中華カレー=麻辣のようなイメージを持つ人も増えてきてしまいました。そうではないんですよ。中華カレーはもっと自由で、広くて、深いんです。
東京にはお店も多いですが、東京の店にはなかなか来ることのできない方々にこの魅力を伝えるにはどうしたら良いのか。それはやはり美味しい中華カレーのレトルトがあれば一番良いのでしょう。最近はレトルトカレーのレベルもかなり上がっています。業者次第ではあるのですが、中には驚くべき美味しさのレトルトカレーを作る業者さんもいらっしゃいます。
そんな業者さんと手を組んで、美味しい中華カレーが作れたら良いなぁなんてことを漠然と考えたことはあったんですが、まさか実現するとは思っていませんでした。
実はこの度、生まれて初めてレトルトカレーを監修させていただいたんです! どこのレトルトかというと、本連載でもことあるごとにご紹介してきたレトルトカレー業界の風雲児、36 chambers of spice(以下36cos)さん。
今回はそこに至ったいきさつや制作秘話などを36cos社長の田中さんと対談という形で色々とお話させていただきました。僕と36cosさんの熱意を少しでも感じていただけたらと思います。
<出会いから制作に至るまで>
インタビュースタッフ(以下、イ):まずはお二人というか、カレーおじさん\(^o^)/と36cosさんの出会いから語っていただけますか?
カレーおじさん\(^o^)/(以下:カ):きっかけはもんこさん(カレー・スパイス研究家の一条もんこさん)なんですよ。もんこさんが「あしたのカレー」というレトルトを36cosさんから出して、それがめちゃめちゃ美味しかったのでこちらのカレーなでしこで対談形式で紹介させていただいたんです。
36cos田中社長(以下、田):その中でカレーおじさん\(^o^)/がうちの社名について反応してくれていて、「やっとわかってくれた人がいた!」って喜んだんです(笑)。
カ:それきっかけで僕は36cosさんのレトルトを色々と食べるようになったんですが、どれも最高に美味しくて感動して。それで東急ハンズ渋谷店でレトルトカレーをメインにしたイベントを僕のプロデュースで開催することになった際、これはもう是非全面的にご協力いただきたいということで、改めてもんこさんに紹介してもらったんです。
田:ですね。それでとりあえずライン交換して、うちの専務の小川も含むグループライン作ったんですが、仕事の話よりカンフー映画の話でめちゃめちゃ盛り上がっちゃって(笑)
カ:そうそう! そのラインが楽しくて全然仕事の話が進まなくて(笑)もうキリがないんで、打ち合わせがてら飲みましょうという話になって飲みに行ったんですよ。そしたらまた仕事の話全然しないままカンフーの話で盛り上がりまくっちゃって(笑)
田:そこでね、こうなったらもうカンフーカレー出しましょうよ! ってことになったんです(笑)
イ:カンフーカレー? ですか?
カ:意味わからないですよね(笑) 僕も最初は「は?」って感じだったんですけど(笑)
田:うちも色々レトルトカレー出させてもらってるんですが、最近は名店のレトルトが好評で、そういうものをしっかりと作っていく中で、やっぱり遊びながら楽しく仕事もしたいなということもあって、この辺で一発ふざけたやつを出したいなと思ってまして(笑)
イ:ふざけたやつ(笑)
田:もちろん真剣にふざけるんですよ!(笑) うちの社名は36チャンバーズということで、カンフー映画の名作「少林寺三十六房」からきているんですが、社員全員がカンフー映画マニアなもので、カンフーに絡めた何かをやりたいということは漠然と考えていたんです。そんな中で同じようにカンフー映画マニアであり、カレーマニアであり、カンフーの経験もあるというカレーおじさん\(^o^)/との出会いがあって、これはもうここでこの人と作るしかないだろうと、完全に思い付きで(笑)
カ:そう。思い付きのノリと勢いで生まれたカレーなんです(笑) でもね、確かに僕はカンフーというか、截拳道(ジークンドー)というブルース・リー師父が創始した中国拳法を元にした総合格闘技をやっていたんです。その截拳道の理念は自分の人生に大きな影響となっています。
ブルース・リー師父の有名な言葉に「考えるな、感じるんだ!」というものがあるんですが、そのカンフーカレーというものに大きく感じるところがあったんですよ。これは難しく考えずに感じたままやった方が良いのではないかって。それから僕は本業が音楽なんですが、音楽でもふざけたノリと勢いで一瞬でできた曲が一番人気出たりとかってよくあることなんですね。なんというか、アートって勢いみたいなものも大事で。カレーはアートに通じると常々考えているんですが、そういう意味でもこのカレーは物凄い良い勢いがあり、トントン拍子で制作が進んだんですよ。
田:ですね。まずはそもそもの仕事だったハンズさんのイベントをしっかりとやって、それもお陰様で大成功だったんですが、そこからはもうトントン拍子でしたね。
<カレーの味について>
イ:ではそれがどのようなカレーになったのか、また、どのように作られたのかを教えていただけますか?
カ:はい。カンフーカレーという言葉から生まれたんですが、わかりやすく「チャイニーズキーマカリー」という名前もあります。そしてカンフーカレーを漢字にしたものが「功夫咖喱」です。功夫というのはそのままカンフーのことで、正式にはクンフーとかゴンフーみたいな発音なんですが、功夫という言葉には中国武術としてのクンフーという意味だけじゃなくて、その中国武術で重要な「練習、鍛錬、訓練の蓄積」とか、それに対して使われた「時間、労力」という意味も持っているんです。
僕は毎日カレーを食べ続けて13年になるんですが、週に4〜5回食べていた頃を合わせるともう25年くらいになるんです。それだけ様々なカレーを食べ続けてきて、それに対して使った時間と労力を結集したカレーという意味も含んでいます。それと、中国には功夫茶という文化もあるのですが、それのカレー版的なイメージも何となく持っていて。
田:そうだったんですか!? めちゃめちゃ深いじゃないですか!(笑)
カ:そうですよ!(笑) ふざけるにしても真剣にふざけるのが大事ですし、そういうところから面白いものは生まれますから。
イ:味はどのような感じなんでしょうか?
カ:僕が好きな中華カレーの流れを踏襲していて、中華料理で使われるスパイスを使っているんです。最近話題というか流行となっている麻辣ってあるじゃないですか。その麻辣感も味わっていただくために、花椒をきかせて痺れも感じる辛さがありつつも、ただ流行の痺れだけではつまらないし、そこが主役になっているカレーよりも旨味がしっかりとある方が個人的に好きなので、その旨味を引き立てるようなスパイス使いであり、花椒感であり。オイスターソースも隠し味に入ってるんですよ。
お酢も入ってます。それはお肉の美味しさを味わって欲しいという所から来ています。酢豚だったり、餃子にお酢をつけて食べたり、そんなニュアンスで。部位や伐り方にもこだわっていて、豚の肩ロースを粗挽きにしてもらい、肉肉しさと程良くてしつこくない油の旨味が前面に出たカレーになったと思います。
田:これもトントン拍子で進みましたよね。最初にカレーおじさん\(^o^)/にレシピの元になる原案を出してもらって、それをうちのスタッフが試作し、最初の試食会があったんですが、一発OKで。
カ:そうそう。思った通りの味になっていて、流石36cosさんとんでもないな! って。
田:ありがとうございます。こちらとしても何回か試食しないとと思っていたんですが、本当に「このままでOK! これをレトルトにして!」と言ってもらいまして、それをレトルトにして、また試食会だったんですが…
カ:これも一発OKで(笑)
田:そうなんですよ(笑)他のお店とのレトルト開発の場合は何度も試食をして少しずつ変えていって時間かけてできあがることが多いんですが、カレーおじさん\(^o^)/は決断力が凄いなと思いました(笑)もうね、うちで過去最速の仕上がりですから(笑)
カ:いや、これも36cosさんの凄さなんですよ。レトルトになると少し味が変わるとは聞いていたんです。なので、まずレトルトになった味を確かめて、こうなるのであればここを変えようという感じでお願いするつもりだったんです。それで食べてみたら、確かに変わったんだけど、こういう変わり方なら全然アリだなって。
ブルース・リーを目指していたのにホー・チョンドー(ブルース・リィの名前でも知られるブルース・リーのそっくりさん俳優)になっちゃったというわけではなく、ブルース・リー目指してたけどドニー・イェン(「イップマン」シリーズで知られるカンフースターで、スターウォーズシリーズへの出演で世界的人気を博す俳優)ができあがったみたいな感じで。
田:おお! それは嬉しい!(笑) ブルース・リャンじゃなかったんですね(笑)
カ:ブルース・リャンも最高ですよ! でもドニー・イェンっぽいかなぁこれは。
田:ヤン・スエでもなく(笑)
カ:これ食べて鍛えたらヤン・スエみたいになれるかもしれないですけれども(笑)
イ:あの、何の話かわからないんですが…
カ、田:あ、すみません(笑)
カ:カレーの話でしたね(笑) でもこうやってカンフー映画の話をしながらどんどん進んでいってできあがったカンフー愛に溢れたカレーなんです。
田:もちろん味も最高です! 自分でも最高に美味しいものができたと思って試食会に挑んだんですが、カレーおじさん\(^o^)/も同じように思ってくれたからこそ、一発OKが出たというわけなので。
カ:そうです。中国拳法でもそうなんですが、シンプルな技だからこそ強いみたいなことってあるんです。このカレーもシンプルに作られたからこそ美味しいし、実際めちゃめちゃ強いカレーです。僕ね、あんまり綺麗な表現ではないので普段は使わないようにしているんですが、自分の中での最高の褒め言葉のひとつとして、「食べ終わった後に出るゲップまで美味しい」という表現があるんです。
このカレーにはそれがある。食べている時にももちろん美味しいんだけど、食べ終わってしばらくたって出てくるゲップがまた美味しくて、時間差で幸せになれるし、また食べたくなる。そんなカレーなんですよ。
<販売はどこで?>
イ:ではその功夫咖喱、どこで購入できるのでしょうか?
田:実はこれ、弊社の販売ルートとは違う売り方をしたいと考えているんです。カレーおじさん\(^o^)/はイベントも沢山やってらっしゃるので、そこで買えるようにするのがメインで。お店への展開はあえて最初は避けて、まずはわかっている人にだけ食べてもらいたいなって。
カ:そんなわけで最初にこれが購入できるのは7月27日に門前仲町で開催される「全国カレーコレクション2019」からです。このイベントで先行発売されまして、そして全国的にはevery.tvさんの手掛ける携帯などのアプリ配信の番組があり、そちらで発売となります。2019年7月31日(水)に放送予定で、そちらが最初の全国発売ですね。その後は僕や36cosさんが関わる全国のカレーイベントで、随時発売という流れです。これが好評であれば、全国展開という流れの可能性も出てくるかと思います。
田:ですね。こっそり売っていたものなのに、話題を呼んでドカーンと売れたらカッコイイですよね。
カ:そうなると良いなぁ。僕のイメージとしては、音楽でインディーズデビューみたいな感覚なんですよ。僕も元々はバンドでインディーズレーベルからCD出して、それが売れてメジャーデビューすることになって今でも音楽の仕事を続けられているんですが、このカレーもそんな流れになったら良いなって。
田:そうしましょう! 是非皆さんこのカレーを食べていただいて、美味しかったら他の方にも勧めてください。
カ:まずは全国カレーコレクションと、every.tvのチェック、よろしくお願いします!
というわけで対談も笑いに包まれたものとなりました。こちらのカレー、もちろん普通にご飯と一緒に食べても美味しいのですが、様々なアレンジもできます。特におすすめなのが茄子と一緒に炒め合わせてカレー麻婆茄子にするもの。
作り方は簡単! まずレトルトを湯煎し、切ってあける時に最初にスパイスと肉の旨味が詰まった油が出てきます。これでカットした茄子を炒めます。茄子が旨味の詰まった油をしっかり吸ったところで残りのカレーを全部投入し、軽く炒め合わせたらできあがり。ご飯が止まらなくなるご飯泥棒です!
ヘルシーに食べたい方はその茄子を豆腐に変えればカレー麻婆豆腐になります。豆腐にそのまま乗せてカレーやっこにしても良いですね。この場合、豆腐は少し温めておいた方が美味しくいただけると思います。
また、炒飯に合わせたり麺に合わせても美味しくなる中華カレー界の万能選手のようなカレーになりました。色々な楽しみ方でこの功夫咖喱を楽しんでいただきたいと思います。
このカレーが、レトルトカレー業界における会心の一撃となりますように\(^o^)/
今後の情報はHPにて随時お知らせいたしますのでこちらも是非チェックしてください!
AKINO LEE カレーおじさん\(^o^)/
ヴォーカリスト、パフォーマーとして自身の活動の他、様々なアイドルの作詞作曲振付プロデュースを担当。ヴォイストレーナーとして後進の育成にも力を注いでいる。
音楽ライターとしても各種雑誌、ムック本などで執筆を担当。また、カレーおじさん\(^o^)/としても知られ、年間平均1000食以上のカレーを食べてきた経験と知識を活かしてTVや雑誌など各種メディアにおいてカレーについて語っている。
http://www.akinolee.tokyo/