なぜ「ストレス」は妊活・女性ホルモンの大敵なの?
妊活中の女性にとってストレスは大敵、ということはこれまでのコラムでも紹介しました。妊活だけでなく、女性らしいからだづくりすべてに結びつく女性ホルモンもまた、ストレスによる影響を受けることがも知られていますよね。
しかし、なぜストレスが女性のからだに影響をおよぼすのかについては、ご存じない方も多いのではないでしょうか。今回は、ストレスが女性のからだにどのように作用しているか、詳しくみていきましょう。
◆ストレスと密接にかかわっているのは「コルチゾール」
私たちがストレスを感じた際、「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。まずは、コルチゾールがどのような道をたどって分泌されているか解説します。
私たちのからだは、脳の視床下部から下垂体にホルモン分泌の命令を出しています。視床下部は外部からの刺激を感知し、下垂体に伝達する役割を持ちます。命令を受けた下垂体は、さまざまなホルモンの働きをコントロールし、ホルモンを分泌しています。下垂体からは6種類のホルモンが分泌されています。ホルモンを分泌することで、あらゆる臓器に刺激を伝えることができ、体内のコントロールをおこなっているのです。
例えば、女性ホルモンを分泌する際には、下垂体は性腺刺激ホルモンを分泌し、卵巣がこれを感知。また、ストレスを感じた際には、下垂体が副腎皮質刺激ホルモンというホルモンを分泌し、副腎という臓器がホルモンを感知しているのです。
※副腎… 腎臓のすぐそばについている一対の臓器
副腎からは体を正常な状態に保つため、さまざまなホルモンが分泌されています。コルチゾールも副腎から分泌されているホルモンの一種で、下垂体から分泌された副腎皮質刺激ホルモンの刺激が伝わることによって産生されているのです。
◆ストレスによって卵巣から女性ホルモンが分泌されにくくなる
さきほどご紹介したように、女性ホルモンもコルチゾールも、はじめは視床下部から下垂体を通して刺激ホルモンが分泌されるところからはじまります。
そのため、過剰にストレスがかかった場合には「視床下部→ 下垂体→ 副腎皮質」への動きが活発になり、女性ホルモンが産生されるための「視床下部→下垂体→卵巣」という流れが鈍くなってしまう場合があるのです。
例えば、強いストレスを受けた際に生理が止まってしまうということがあります。これも「視床下部→ 下垂体→ 卵巣」へのホルモン分泌のはたらきが鈍くなったことで女性ホルモンのバランスに乱れが生じ、排卵が止まってしまったという可能性があります。
◆女性ホルモンが妊活に影響をおよぼす
最後に、女性ホルモンと妊活の関係についてもおさらいしておきましょう。
女性ホルモンは、下垂体から出る「性腺刺激ホルモン」を感知して卵巣から分泌されているホルモンです。女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2種類のホルモンが存在し、妊娠のためにはこれらのホルモンのバランスを保っていることがとても重要なのです。
ストレスなどの要因によって女性ホルモンのバランスに乱れが生じてしまった場合は、どちらかのホルモン量が過剰となっている可能性が考えられます。
例えば、エストロゲンが過剰になってしまった場合には、子宮筋腫・子宮内膜症・乳がん・子宮頸がんなどのリスクが高まります。プロゲステロンが不足した状態になってしまうと、子宮内が着床しにくい状態となってしまう場合があるのです。
女性ホルモンを正常量に保つためには、以下のような記事を参考に、生活習慣を整えることも意識してみましょう。
▶︎美人の秘訣!? エストロゲンってなに? 食材や運動法も紹介!【医師監修】
▶︎【医師監修】女性ホルモンって何もの? 美活に影響! チャンスはいつ?
万病の元ともいわれているストレス。妊活中の方にとっても例外ではなく、ストレスが女性ホルモンの分泌にも影響をあたえます。自分なりのストレス解消法を身に付け、妊娠しやすいからだづくりを目指しましょう。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。
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