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2019.12.24

流産後の妊娠が心配… 知っておきたい“不育症”って?【医師監修】

流産や死産のあと妊娠できるか不安。妊活で知っておきたい不育症について、そのリスクや検査などを紹介します。婦人科系の悩みをテーマとした不妊治療の名医・杉山力一医師によるカラダの不調解決コラム。

流産したあと妊娠できるか不安… 知っておきたい「不育症」の話

◆「流産を繰り返している…」その症状は「不育症」と呼ばれています

(c)Shutterstock.com

妊娠はするものの、さまざまな理由により生児を得られない状態を「不育症」と呼びます。不育症として定義されるのは以下のような症状です。

1. 流産(妊娠22週未満の分娩)を2回以上繰り返す「反復流産」や「習慣性流産」
2. 死産(妊娠22週以降に死亡した胎児を出産)
3. 新生児の生後1週間以内での死亡

ここで覚えておきたいのは、不育症とはひとつの病気ではなく、いくつかの症状を含めた総称であること。不育症と診断される人の総数はわかっていませんが、ある調査では女性の5%程度が不育症であると推定されています。

ここからは不育症の検査や治療法、妊娠の可能性についてみていきましょう。

◆不育症の人は妊娠できない…?

(c)Shutterstock.com

流産や死産を経験された方の一番の不安といえば、新たな妊娠の可能性かと思います。流産の影響で子どもを授かりにくくなっているのではないか、と不安に思われる方も少なくありません。

しかし、不育症の方でも、70%~80%の方が妊娠・出産しているという調査結果も報告されており、必ずしも「1回流産したから子どもができない」というわけではありませんのでご安心ください。

不育症の方が子どもを授かるには、流産の因子を検査して治療をおこなうことが大切になってきます。ここからは検査を受ける方の基準や、詳しい検査内容についてみていきましょう。

◆私って不育症なの?

(c)Shutterstock.com

自分が不育症であるかどうかについては、ご自身ではなかなか判断が難しいものです。そのため、複数回流産・死産を経験された方は、病院にてその旨を伝え不育症の検査を受けることをおすすめします。

なかでも特に気を付けたいのが、流産です。流産は妊娠に伴い、高い頻度で起きる合併症で、女性の加齢とともに増加することが知られています。流産を経験する方は女性のおよそ10~15%といわれていますが、40歳を超えると、40%と格段にあがります。

ご自身の身体のためにも、流産を2回繰り返された方は直ちに検査をおこない、リスクの有無を明らかにしましょう。

◆1回の流産ならば、検査しなくてもいいの?

さきほど、複数回流産・死産を経験した方は検査をおすすめしますと紹介しましたが、1度流産を経験した方は、検査をしなくてもいいのでしょうか?

実は、妊娠初期の流産の大部分は胎児または受精卵に偶発的な染色体異常がおこることが原因とされています。両親のリスク因子が原因になっている場合は少ないとされているため、1回の流産でリスク因子を調べる必要はないとされているのです。

しかし、1回の流産でも妊娠10週以降の場合などは、母体への影響が大きくなってくる可能性も。その場合には、検査を受けることをおすすめします。

◆検査でなにがわかる?

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ここからは不育症にはどのような検査があり、それぞれに異常が見つかった場合にどのような治療法があるのかをみていきましょう。

抗リン脂質抗体測定(免疫機能が正常であるかをみる検査)

膠原病(こうげんびょう)や抗リン脂質抗体症候群(抗体が自分の体を攻撃してしまう病気)などの自己免疫異常がある場合、胎盤の発育障害・流早産、死産の原因となる場合があります。

異常が見つかった場合には薬物療法で治療をし、経過をみていきます。

子宮形態検査(子宮の形が正常であるかをみる検査)

多くの子宮形態異常は症状がないため、他の疾患の診察や手術をした際に見つかることが多いと言われています。

一般的に子宮形態異常は健康に影響を及ぼす可能性が低いため、治療をおこなう必要はないとされていますが、不育症の場合には治療をおこない、子宮腔内を正常にする必要があります。

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内分泌検査(糖尿病・甲状腺機能異常がないかみる検査)

甲状腺機能異常や糖尿病にかかっている場合、不妊や不育の原因となる場合があります。

この場合は、薬物療法などによる正常化をすすめられます。原因によって治療方法が異なりますので、適切な処置を受け、機能の回復を待ってから妊娠することが大切です。

夫婦染色体検査

染色体異常で流産の原因のほとんどは、転座型と呼ばれる、生まれつき、ある染色体の一部が切断されて他の染色体に結合して発生する構造的な異常です。

転座型の染色遺体以上に対する治療方法がないため、遺伝子診断を受けるべきか否か、どのような治療を選ぶかなどについての相談をかかりつけの医師と相談して治療方法を決めていきます。

そのひとつの手段として、着床前診断にトライされる方もいらっしゃいます。着床前診断は、染色体や遺伝子の検査をおこない、次の妊娠での流産の割合を減らし、全体的な流産の回数を減らすということを目的としておこなわれています。

流産や死産を経験された方は、ご自身の妊孕力(にんようりょく:子どもを授かるちから)があるのかどうか、不安に思ってしまいますよね。不安を抱えてらっしゃる方は、ご自身の身体のためにも、不安解消のためにも、一度かかりつけの医師に検査を受診するべきかどうか相談してみてはいかがでしょうか。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

医師 杉山力一

杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。

東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。

監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。

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