ノーベル賞ってどんな賞?
10月に入り、ノーベル賞に関するニュースを耳にする機会が増えましたね! 受賞者も続々と発表されていますが、ノーベル賞がどんな賞なのか意外と知らない… なんて方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は「ノーベル賞」のアレコレをお届けします。
2019年は10月7日に医学生理学賞、8日に物理学賞、9日に化学賞、10日に文学賞、11日に平和賞、14日に経済学賞の受賞者がそれぞれ発表されます。
そもそもノーベル賞って?
ノーベル賞は発明家であり事業家であるアルフレッド・ノーベル(1833年〜1896年)の遺言により創設された賞です。アルフレッドは約350もの特許を取得したのですが、中でも有名なのはダイナマイトです。ダイナマイトの発明により、巨万の富を築きあげ、世界屈指の資産家となりました。
そんなアルフレッドが、ノーベル賞を創設するに至ったきっかけもダイナマイトにありました。1888年にアルフレッドの兄が死去した際、誤ってアルフレッドの訃報として新聞に報じられました。その紙面では、ダイナマイトという殺人兵器の発明によって財を成した旨が書かれており、ショックを受けたアルフレッドは、後世に自分の名を残すことについて真剣に考え始めました。
そもそもダイナマイトは、土木工事を早く安全に進めるための道具として開発、使用されていました。道路やトンネルを作るときなど効果を発揮し、土木工事の歴史を一気に進めました。
一方で、ダイナマイトは戦争において武器として転用されていき、大量殺戮にもつながってしまったのです。このままでは、『死の商人』=アルフレッド・ノーベルと後世に語り継がれることになってしまうと感じたアルフレッドはノーベル賞の創設を決めたのです。
アルフレッドの遺産で基金を創設し、国籍や男女を問わず、人類にもっとも貢献した人物に賞を与えるという遺書に従い、1901年にノーベル賞が創設されました。設立当初は遺言に挙げられていた5つの部門(生理医学、化学、物理、文学、平和)だったのですが、没後70年の1968年に経済学賞が増設されたんですよ。
ノーベル賞はこうやって決まる!
ノーベル賞は毎年9月頃、各分野の専門家および過去の受賞者に向けて、受賞候補者の推薦依頼を行うことから始まります。各賞の選考組織が推薦を元に、調査を行い、候補者を絞ります。そして翌年の10月に多数決によって決定するのです。つまり、来年の受賞候補者の推薦依頼はもう始まっているんですね。
受賞者は各賞3人まで(文学賞を除く)で、平和賞のみ団体も受賞対象になっているんですよ。
受賞式は毎年12月10日。この日はアルフレッドの命日です。
なお、ノーベル♪ が耳に残るユニークなCMが多いノーベル製菓は、創設者が日本人初のノーベル賞受賞者の湯川秀樹氏と交友があったことから、ノーベル賞にちなんでノーベルの登録商標を取得。のちに会社名も変更したんですよ。
100年を超える歴史と、厳正な審査に支えられた世界的権威を有するノーベル賞。今年はどのような功績に与えられるのでしょうか。
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鶴田初芽
都内在住のOLライター。日本語教師の母からの厳しい指導や幼少期より読書好きだったことが影響し、現在マナー、教育、ライフスタイルなどの執筆に携わっています。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!