男女それぞれで別のニュアンスをもつ「バブみ」
若者言葉としても浸透した「バブみ」ですが、もともとはインターネット上で使われていたネットスラングでした。
「バブ」は赤ちゃんの喃語の表現として使われる「バブバブ」から来ているのですが… この言葉の最大のポイントは、「使う人・シチュエーションによって、言葉の意味が変わってくる」という点。
具体的には、男性→女性に向けて使う場合と、女性→男性に向けて使う場合で、違う意味になるようです。難しく感じるかもしれませんが、例文と語源を知れば分かりやすいはず。
◆【男性】母性を感じる女性に対する気持ち
まず、男性→女性に向けて使う場合。
これはもともと、男性のアニメファンが、自分より年下の女性キャラクターの行動を見て母性を感じる場面で使われていました。
例えば、「〇〇ちゃんの仲間に対する愛情を見ていたら、バブみを感じた」というように。
つまり、対象の女性に対して母性を感じ、自分が赤ちゃんになった気持ちになる、ということですね。
◆【女性】若い男性が赤ちゃんみたいで可愛いという気持ち
一方、女性が男性に対して使用する時は、対象の男性を見ていたら自分の中に母性が芽生えた、というような意味で使われます。
「〇〇くんって普段はクールだけど甘えん坊な一面もあって、バブみがあるよね」というような感じです。
どちらも「母性」がキーワードになっているというのがポイントですね。
オタク用語から生まれた「バブみ」
さて、「バブみ」はいつ頃から使われ始めた言葉なのでしょうか?
最初に使った人が誰なのかは分かりませんが、調べてみると2014年頃にTwitterを中心に流行しはじめた言葉のようです。
最初は、男性が女性のアニメキャラや女性声優さんに対して「〇〇(人名)にバブみを感じる」、「バブみを感じてオギャる」という使い方をすることが多かったようです。
「バブみを感じる」=相手の女性に母性を感じる、「オギャる」=自分が赤ちゃんになってオギャーオギャーと泣いて甘えたくなる、という意味ですね。
◆オタク用語が若者言葉として使われるように
始めは男性オタクだけが使用していた「バブみ」ですが、次第に女性オタクも使用するようになり、その様子がテレビなどで取り上げられるようになりました。
それがきっかけでオタク以外の若者も広く使用するようになり、現在に至るというわけです。
「バブみ」以外にも、若者言葉の語源を調べてみると、もともとはインターネット上で使われていたオタク用語だった、というケースはたくさんあるのです。
「バブみ」を感じるのはこんな人?
では、実際どんな人に対して私たちは「バブみ」を感じるのでしょうか? 具体的なアニメキャラクター、芸能人の名前を挙げてみていきましょう。
◆アニメキャラクター
まず、男性視点でバブみを感じるキャラクターとしてよく名前が挙がるのが『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイ。
クールな印象のあるキャラクターですが、「わたしが守るもの」など、主人公に対して包容力を見せる場面も多く、また作品自体も人気なことから、彼女に甘えたいと思う人は多かったようです。
一方、バブみを感じる男性キャラクターで有名なのは『機動戦士ガンダム』の人気キャラ、シャア・アズナブル。
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』内において、1stガンダムで自分をかばって死んだララァ・スンのことを「私の母になってくれたかもしれなかった女性だ!」と言ったことが理由のようです。
◆芸能人
また、芸能人に対して「バブみ」を求める人もいます。
よく名前が挙がるのは、女優の有村架純さんや石原さとみさん。ネット上では、「有村架純さんにママになってほしい」、「石原さとみさんに聖母の恰好してほしい」などというファンの発言も見受けられます。
一方、男性アイドルの女性ファンが、アイドルの行動を見て「〇〇くんって赤ちゃんみたいに無邪気で可愛い」というふうに使う場面も。
関ジャニ∞の横山裕さんは、特に見た目も年齢のわりに童顔であることから「ヨコにバブみを感じる」というファンが多くいるようです。
「バブみが深い」はどういう意味?
普段よりもさらにディープな「バブみ」を求めたい時に使いたい言葉が「バブみが深い」。具体的に、どのように使う言葉なのでしょうか?
◆意味について
まず、「深い」とは気持ちの入り込みの深さを表す表現。「いつも以上にその気持ちを感じている」という場面で使います。
究極的に「バブみ」を感じた場面で「バブみが深いなあ」というふうに使えば、さらに若者言葉を使いこなす人のように見えるでしょう。
◆こんなシーンで言われやすい?
実際に「バブみが深い」という言葉を使う場面ですが、実は日常ではそう多くないように感じます。
やはり、相手がアニメキャラや有名人など手の届かない存在だからこそ、自分を子どもに例えたり、逆に相手を子どもに例えたりして愛でることができるのですね。
逆に、会社の上司や同僚、また友人などに対して使用すると、ちょっと気持ちが悪いと思われてしまうかもしれません。タイミングを正しく見定めて、「バブみ」を使いこなしていきましょう!
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