#5「東京で働く女性の“キャリア観”」vol.5
昨今、さまざまな企業で「副業解禁」が推進され、働く女性にとって身近になってきました。しかしいざ解禁になったものの、「自分に何ができるのかわからない」「興味はあるけど始め方が分からない」という声も多く聞きます。
今回は、軸となる仕事を持ちながらも、パラレルワークという形でさまざまな仕事にトライしている女性にインタビューしました。副業・複業のリアルについて迫ります。
前回記事:転職・結婚ってみんなどう考えてる? 経験アリの働く女性に聞いてみました!
〈お話を聞いたのは、金森郁花さん〉
大学在学中にサイバーエージェントグループが運営する、小学生向けプログラミングスクールにて講師を始めたことをきっかけに、新卒でIT企業へ入社し、広告代理事業に携わる。Webデザインスクールに通いながら営業職からクリエイティブディレクターに転身した後、複業デザイナーとして独立。小学生向けのオンラインプログラミング学習サービス「QUREO」を全国の子供たちに届ける傍ら、デザイナーとして個人でも活動中。
◆「パラレルワーカー」という選択
学習サービスの営業・企画をしながら、フリーランスのデザイナーとしても活動をされていますが、今のような働き方になった経緯は?
金森:デザインには以前から興味があり、仕事を退職し、転職活動をしながら講座を受けました。ただもともとは教員志望だったので、大学も教育学科に通っていて、いつか教育系の事業に携わりたいという思いもずっとあったんです。
そんなとき、学生時代にアルバイトをしていた教育系の会社の方から「新しい事業を始めたから一緒にやらないか」と声をかけていただきました。デザインのお仕事も本格的に始めていきたいと思っていたので、思い切って退職し、2足のわらじで活動することを決めました。
デザインの副業をする中でよかったと感じる点は?
金森:部署やチームで動いていた会社員時代は、仕事において、自分の影響力が分かりづらいと思っていました。大きな金額を任せていただいても、自分に大きく跳ね返ってくる訳ではないので。でもデザインの仕事は自分の裁量でやっているので、やったら報酬をもらえるし、やらなかったらもらえない。責任がある分、達成感もあります。
会社員としてひとつの仕事に専念していたときと比べると大変なこともあるのでは?
金森:繁忙期が重なると、寝る間も惜しんで仕事をすることになるので、体調管理など自分自身をコントロールする必要が出てきました。抱え込みすぎないよう、仕事をお断りすることもときにはあります。予算感と仕事にかかる時間を考え、時給をいくら以上は担保したいという基準を自分なりに決めてています。自分を律しながら仕事をしていますね。
◆賢く自分をコントロールする時間管理術
複数の仕事の掛け持ち。時間管理はどうしてる?
金森:とにかく予定が入ったらすぐにスケジュールに入れる、そして入ったタスクはその場ですぐに終わらせるか、メモして管理することを徹底しています。
使っているのは、Google Chromの拡張タスク管理アプリ「TASKADE」。Google Chromeを開きながらやるお仕事が多いのですが、これを使えばブラウザのタブでタスク、メモ、チェックリストも管理できます。
気持ちの面では、自分を責めすぎないようにしていて。何かミスをしても、その度に落ち込まない、必要以上に自分を責めないことを心がけています。責めるより、自分のペースで進められる働き方に近づいた方が良いと思っています。
◆副業で得た収入はさらなるスキルアップに
副業で得た収入は何に使う?
金森:今の生活をゴールにしたくなくて、この先に実現したいなと描いている事があるんです。だから報酬に関しては、スキルアップとか習い事に投資する事が多いです。それが次の副業に繋がるかなと考えているので。
投資する学びのジャンルとして、今新たに興味があるのはコーチング。指導することを学んだり、キャリアコンサルタントの資格をとるのも良いなと考えています。将来的には若年層向けのキャリア教育をメインに、誰かの新しい夢を引き出すことができる存在になりたいです。
これから副業・複業を始めたいと思っている人たちへアドバイスをお願いします。
金森:まずは「できます」と周りに公言すること。周りの人からも「どうやって仕事をとってくるんですか?」って質問をいただきますが、SNS等で不特定多数に対して自分が作ったものを発信するようにしています。そして私はデザイナーです、などと名乗ってみる。
始めたばかりの頃は、まだデザイナーって名称を使ってはいけないのでは、と慎重になってしまったりすると思います。でも先に名乗ってしまって、その上でいただいたお仕事に責任を持ってやりきる事ができれば、自分の成長に繋がるのではないかと思います。
◆副業・複業で新しい知見が得られるかも? まずは最初の一歩を
副業解禁が広がり、カジュアルに自分の好きな仕事にチャレンジできる時代がやってきています。今回お伺いした金森さんのように、副業や複業を通して、新たな自分の価値や人生のヒントなど収入以上に嬉しい気づきがもたらされるかもしれません。
「転職をするほどではないけれど、どこか今の自分のキャリアに満足がいっていない・・・」そんなモヤモヤを抱える人は、日常にスパイスを与える選択肢のひとつとして“副業”へのチャレンジを検討してみては?
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SHE株式会社広報 小池彩加(ayaka koike)
1990年生まれ。京都大学卒業後、2013年にオルビス株式会社に入社。マーケティング部門を中心に、会報誌の編集など広告企画制作に従事。その後PRチームに異動し、ブランドの象徴商品のPR・商品発表会などを推進。ポーラ・オルビスグループの社内研修にて出資先であるSHEと出会い、目指す世界観に共感。2019年4月にSHEにジョイン。