#4「東京で働く女性の“キャリア観”」vol.4
今回は、自分らしいキャリアを積み上げながら、理想のパートナーシップも実現している2名の女性にインタビューしました。キャリア女性にとっての、転職や結婚のリアルを探っていきます。
前回記事:個人名で働きたい=独立したい、ではない? 憧れの職業ランキング
【お話を聞いたのはこの2人】
右)金井愛理(Airi Kanai)
1991年生まれ。大学在学中は、インドネシア留学・カナダ留学・香港のコンサル会社インターン等、多くの海外経験を積む。2013年にリクルートに新卒入社し、飲食店を対象とした新規開拓営業、大手法人経営者層向けコンサル営業、マネジメント業務に従事。その後、事業推進部にて商品企画と営業推進を兼任した。2019年4月にSHEに入社。
左)大本美友(Miyu Omoto)
1992年生まれ。大学卒業後、信託銀行に新卒入社。ローンや資産運用コンサルティングに従事したのち、2019年1月にSHEに入社。現在は社内の労務や組織改善などコーポレート業務に従事。
◆30歳を節目に感じる「働く」に対する意識の変化
おふたりとも30歳を手前に転職、結婚を経験してますが、20代前半と30歳の節目を目前に控えた今とでは、働き方や意識に変化はありますか?
金井:会社に入社したてのときは、とにかくいろんな経験がしたいというモチベーションで働いて、できるだけ早く影響力の大きい仕事をしたいと思っていました。辛いこともあったけど、スキルアップのためだったらガムシャラに頑張れていました。
でも結婚を機に、仕事が人に与える影響を考えるようになりました。モチベーションのベクトルが自分だけじゃなく、社会や顧客へ向くようになったのが大きな変化ですね。
変化をもたらした契機はなんだったんでしょうか?
金井:ひとつは単純に自分のできることが増えたこと。もうひとつは、結婚を機にキャリアアップや肩書きへの執着が薄れてきたことですかね。旦那さんがいることによって、人と支え合うことの尊さも感じて。生きていくなら社会でも、人と支え合っていきたいと、働き方への意識も変わりました。
大本:私は大手金融機関で毎日お客様と接する仕事をしていたのですが、20代前半はキャリアアップしたいという意識よりは、目の前のお客様の役に立ちたいという気持ちを仕事の軸に置いていた気がします。
でも5年近く同じ環境にいる中で、世の中の変化を感じるように。金融の世界では、今この業務が、5年後・10年後にはAIで事足りてしまうかもしれない可能性がある。その中で、どうしたら生き残れるのか。人間にしかできない感性を活かした仕事をしてみたいと思うようになりました。
結婚をしたことも、働き方に与えた影響は大きかったんでしょうか?
大本:小さい頃は結婚がゴールみたいに思っていました。でもいざ結婚してみると、自分のキャリアプランが終わることはなくて、旦那さんのキャリアプランと並行して、一緒に進んでいくものなんだなと感じるように。結婚することによって共に補い合いながら高め合うことができるので、働き方も柔軟に考えられるようになり、選択肢が広がったかなと思います。
◆「転職」という決断を経て思うこと
「転職」はどんなタイミングで意識し始めましたか?
金井:私は元々いろんな会社を見てみたいなと思っていました。20代前半の仕事はキャリアアップの土台作りのつもりで働いていたので、ある程度スキルが身についたタイミングで転職したいという気持ちがありました。転職を具体的に意識し始めたのは、スキルがついてきた3年半くらいのタイミング。そろそろ、自分のやりたいことへフィールドを移してもいいんじゃないかなと。結果、土台ができた20代後半のタイミングで転職したことは、自分にとってベストタイミングだったなと思います。
大本:私が以前勤めていた銀行では、働きやすい環境も整っていて、長く勤め上げることを期待されていました。でも自分自身学生時代にチームで目標に向かって駆け抜ける熱狂体験をしてきたのですが、社会人になってからそのときの自分を超える経験がなかなか味わえていないことにモヤモヤを感じていて。その中で、さまざまな業界の人に会ったり情報収集をしたりして、いつか新しいことに挑戦して熱狂できるものを見つけたいなと思い始めるようになりました。ちょうど3年目くらいのときですね。
実際に転職へ踏み切ったきっかけはなんだったんでしょうか?
金井:同世代の女性が自分たちで生き生きしながら社会的意義の高い事業をやっているのを見て、自分も関わりたいと思うようになりました。大企業だと、ステークホルダーも多いのでどこか“自分じゃなくてもいい感”を感じることってあると思うんです。調整ごとも多くて、「仕事をするための仕事」が発生してしまうこともある。だったら規模が小さくても裁量権があって、自分がいないと事業が回らない、そんな危機感を持ちながら奮闘する働き方をしてみたいと思い、決断しました。
大本:私は結婚が転職の契機になりました。ちょうど結婚したタイミングで、突然いろんな選択肢が目の前に現れた感じです。旦那さんとはもともと遠距離だったので、地方の支店に異動するか、辞めるか、そういういろんな選択肢を考えたときに、自分の働き方って制限されてる部分があるのかなと感じました。結婚したからこそ、環境を大きく変えるなら今がチャンスだと思い、大企業からスタートアップ企業への転職を決めました。
◆これからのキャリアやライフスタイルはどうなる?
転職と結婚を経て、今後のキャリアやライフプランはどう考えていますか?
金井:結婚したから終わりとか、出産したから終わりとか、そういう考え方は持ちたくないなと思います。結婚や出産ってプライベートのひとつの大きなイベントではあるものの、一方で自分がやりたい仕事をしていくことも、人生をかけて実現していきたいこと。ライフイベントに応じて働き方は柔軟に変化させつつも、自分が社会貢献をしたいと思うことや取り組みたいことは長く続けていきたいです。
大本:女性に生まれたからには結婚もしたいし、子供を産んで育てる喜びも経験してみたいという人はきっと多くて、それに伴っていろんな働き方があるのかなと思います。何歳になっても新しいことを始めたりすることはできるし、よりさまざまな選択肢をもてる自分になっていたいです。
◆今のキャリアに迷いを抱えるアラサー女子にメッセージを
働くことは好きだけど「今のままでいいのかな?」と思っているアラサー女子も多いようです。キャリアチェンジについて、アドバイスをお願いします。
金井:今いる領域での知識や人脈しかない状況で、新しい場所へと動くのはとても勇気がいること。でも、その後どうなるかは自分のやり方や働き方次第のはずなので、まずは行動してみることをおすすめします。あとは今の仕事にちゃんと向き合って“やりきった”って思える経験をすることが大事だと思います。それがないと自己肯定感が下がっちゃう。「あの時あれを乗り越えたから、たとえ新しい場所に行ったとしても大丈夫」って自分を肯定してあげられると、転職活動も気楽にできるかもしれません。
大本:転職も結婚も、そのもの自体が目的になるのは違うと思っていて。転職したら、より自由な自分になっていたいとか、そういう先までイメージした上でその選択肢が本当にいいのか自分に向き合って考えることが大事だと思います。ご縁とタイミングもあるので。無理に「転職」を目的にするのではなく、自分の本当の目的はなんだろうということに考えを巡らせていると、「今だ!」っていう瞬間がやってくる気がします。
◆選択肢は無限大! 自分の理想のライフプランを描いてみましょう
いかがでしたか? 転職して新しい領域にチャレンジしたり、今のキャリアを突き詰めたり、主婦として家庭を大事にしたり…自分らしく輝ける選択肢は無限大です。
まずは今、目の前にあることをとことんやりきって自己肯定感を高めること、そして“なりたい自分”を明確にイメージした上で前に進んでいくことが、数ある選択肢の中から自分が選んだ道を正解にする1番の近道なのかもしれません。
SHE株式会社広報 小池彩加(ayaka koike)
1990年生まれ。京都大学卒業後、2013年にオルビス株式会社に入社。マーケティング部門を中心に、会報誌の編集など広告企画制作に従事。その後PRチームに異動し、ブランドの象徴商品のPR・商品発表会などを推進。ポーラ・オルビスグループの社内研修にて出資先であるSHEと出会い、目指す世界観に共感。2019年4月にSHEにジョイン。