ニキビは、皮脂やメイク汚れなどで詰まった毛穴内に炎症が生じることによって引き起こされる皮膚症状の一つです。思春期頃の皮脂分泌が盛んな年代に多く見られ、一般的には年齢を重ねることに落ち着いていきます。
そんなニキビは、顔のお肌トラブルというイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、ニキビは詰まった毛穴があるところであれば、全身のどの部位にも発症することがあるのです。
【目次】
・ニキビができやすい主な部位とその発症原因
【ニキビができる位置】原因にどんな差があるの?
ニキビとは、皮脂や垢などの老廃物やメイクの汚れなどが毛穴を詰まらせ、その内部でアクネ菌が異常増殖することによって発症します。
アクネ菌は皮膚の常在菌であり、通常は悪さをすることはありませんが、皮脂などのタンパク質を餌にして異常増殖すると毛穴内に炎症を引き起こします。その結果、毛穴の位置に一致した皮膚の盛り上がりや痛み・かゆみなどを引き起こすのです。
ニキビができる2つの条件
ニキビができる条件は、「毛穴の汚れや詰まり」と「アクネ菌の存在」です。皮脂分泌が多く毛穴が詰まりやすい顔はニキビができやすいですが、この条件さえ揃えば顔以外の部位にできることもあります。
また、顔の中にもできやすい部位とできにくい部位があり、その発症の引き金となる原因は発症部位によって異なることがあります。
ニキビができやすい主な部位とその発症原因
Tゾーン(おでこ、鼻周り)
顔の中でも皮脂分泌が盛んなTゾーンはニキビができやすい部位です。過剰に分泌された皮脂が毛穴を詰まらせることによって、ニキビを発症します。また、Tゾーンにできるニキビは、次から次へと分泌される皮脂によって炎症を起こしやすく、痛みや発赤を伴うことも少なくありません。
頬
頬は比較的皮脂の分泌が少ない部位ですが、毛穴が開きやすく、ファンデーションやチークなどのメイク汚れが詰まることがあります。メイクの汚れにもアクネ菌の大好物たんぱく質が含まれているため、ニキビができてしまうことがあります。
あご
顎は皮脂の分泌が少ないため、本来であれば乾燥しやすい部位です。皮膚の乾燥に保湿効果のある化粧水などを使う女性は多いと思いますが、顎は思いのほかケアが行き届きにくい部位です。過度に乾燥した皮膚は、乾燥から皮膚を守るために皮脂の分泌が促されます。その結果、過剰に分泌された皮脂がニキビを引き起こすことがあるのです。
口周り
口の周りは皮膚の表層を覆う角質層が他の部位より薄いため乾燥しやすく、余分な皮脂ア分泌されることがあります。また、リップなどのメイク落としの際に力を入れて擦りがちな部位であるため、ダメージが加わりやすい部位でもあります。このため、過剰な分泌を促された皮脂が毛穴内に詰まりやすく、ニキビの原因となることがあります。
こめかみ
こめかみには多くの皮脂腺が存在しており、思いのほか皮脂の分泌が盛んな部位です。また、頭髪の汚れやフケなどに晒されやすく、シャンプーなどの洗い残しが毛穴を詰まらせる原因になることも少なくありません。
こめかみにできるニキビは汚れや刺激物に晒されやすいため悪化することが多く、悪化しやすいのが特徴です。
背中
ニキビは顔以外の部位にもできることがあります。特に背中は、皮脂や汗をかきやすく、下着や衣類で蒸れやすいため、細菌が繁殖しやすい環境にあります。その上、皮膚が厚く毛穴が詰まりやすいため、ニキビができやすい部位なのです。
背中のニキビは痛みやかゆみなどを伴わなければ気づかないことも多く、適切な対処が行われないままの状態が続くことで悪化しやすいのが特徴です。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。