ニキビといえば、顔にできるイメージが強いと思いますが、アクネ菌は全身の皮膚に常在しており、条件さえ揃ってしまえばどこにでも発症する可能性があります。
今回は、誰にも言えない皮膚トラブルとしてありがちなおしりニキビについて詳しく解説します。
【目次】
・【おしりニキビ】が出来る理由
・【おしりニキビ】の治し方
・【おしりニキビ】跡を消すには?
・【おしりニキビ】ができたら何科に?
【おしりニキビ】が出来る理由
おしりにニキビ!? と思われる方も多いかもしれませんが、実はおしりはニキビができやすい部位なんです。
ニキビは以下のような3つの条件が揃うとできやすくなります。
ニキビができやすくなる3つの条件
1.皮膚常在菌のアクネ菌が多く存在する
2.皮脂の分泌が多い
3.毛穴汚れなどによる詰まりがある
おしりはニキビができやすい環境が揃ってる!
おしりは下着や衣類などによって通気性が悪く、汗や皮脂などが蒸れやすいため、雑菌が繁殖しやすい部位です。このため、汗をかきやすい夏場などは特にアクネ菌が大量に繁殖し、ニキビができやすい環境となります。
また、おしりの毛穴は長時間の座位などによって圧迫されやすく、汗や皮脂の分泌が妨げられて毛穴詰まりを生じることも少なくありません。
このように、おしりはニキビができる条件が揃いやすく、実はニキビができやすい部位なのです。
しかも、雑菌が繁殖しやすいおしりにできるニキビは、詰まった毛穴内で化膿することも多く、押すと強い痛みを伴うニキビに悪化しやすいのが特徴です。
長時間のデスクワークをしている人などは、座っているだけでおしりのニキビが痛くてつらいという経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?
【おしりニキビ】の治し方
では次に、おしりのニキビはどのように治していくべきかについて解説します。
ドラッグストアや薬局にはニキビの治療薬が数多く販売されています。多くは炎症を鎮める成分が含まれており、詰まった毛穴内に浸透して炎症を改善することで、ニキビの治りを促す効果が期待できます。
クリームタイプやジュエルタイプなど様々なものがありますので、お好みに合わせて使用してよいでしょう。
市販のニキビ治療薬が効かないときは…
しかしながら、おしりのニキビは強い炎症を生じているケースが多く、市販のニキビ治療薬では効かないことも少なくありません。
市販薬を使用して2~3日ほど経っても症状が改善しない場合は、抗生物質入りの塗り薬など医師でなければ処方できない薬が必要になることもありますので、放置せずに早めに病院を受診しましょう。
また、おしりのニキビは再発を繰り返すこともあります。ニキビができやすい人は、以下のような生活習慣を心がけましょう。
おしりニキビを作らないために出来ること
・入浴時はおしりを丁寧に洗う
・湯船に浸かって、毛穴内の汚れを浮き上がらせる
・スキニージーンズなど身体のラインに密着するような衣類は長時間着用しない
・運動後などに多量の汗をかいたときにはこまめに着替えをする
・長時間の座位は避け、デスクワーク中でもこまめに歩くなどおしりが蒸れやすい環境を避ける
【おしりニキビ】跡を消すには?
おしりのニキビは重症化することがあります。重症化したニキビは、毛穴周囲にまで炎症が波及して皮膚に大きなダメージを与えます。その結果、治った後に皮膚にでこぼこのクレーターのような痕を残すことも少なくありません。
また、炎症によって皮膚のメラノサイトが活性化されると、メラニンの産生量が増え、色素沈着を引き起こしてシミになることもあります。
ニキビ痕のシミは、皮膚の正常なターンオーバー(新陳代謝)が行われれば数か月で自然と改善することもあります。一方、皮膚の一部がへこんでしまうクレーター痕は完全に元の状態に戻すのは難しいと考えてよいでしょう。
おしりニキビの跡を目立たなくするためには…
おしりは下着で隠れる場所なので、ニキビ痕が残っても気にならないと言う人も多いでしょう。しかし、水着や下着で隠れない位置にできてしまった場合には、痕が気になって精神的にも大きなダメージを受ける可能性があります。
少しでもニキビ痕を目立たなくするためには、おしりの乾燥を防いで皮膚の弾力性を維持し、おしりに刺激を与えないことが大切です。
おしりニキビ跡のセルフケア
・入浴後には保湿効果の高い化粧水や乳液を使用する
・長時間の座位は避ける
・密着度の高い矯正下着は避ける
上記のセルフケアを心がけましょう。
また、おしりのニキビ跡が気になって水着になれない、入浴施設に行けない、恋人の前で裸になれないなど、日常的な楽しみや行動に制限が生じているような場合には、皮膚科や美容外科でレーザー治療などを受けるのも一つの方法です。
【おしりニキビ】ができたら何科に?
市販薬などのセルフケアを行ってもおしりのニキビが改善しない場合は、重症化する前に皮膚科を受診しましょう。
診察を受けるのが恥ずかしいという場合は、事前に女性医師の在籍するクリニックを探しておくと安心です。
また、目立つニキビ跡ができた場合は、皮膚科を受診してもよいですが、美容上の皮膚トラブルを専門に扱う美容外科や美容皮膚科、形成外科などを受診するのがおススメです。
おしりのニキビは女性にとって非常にデリケートな皮膚トラブルです。病院に行くのに抵抗がある人も多いと思いますが、おしりニキビは悪化すると一生消えない跡を残すことがあり、跡を目立たなくするには長期間の治療や根気強いセルフケアが必要になります。
そうなる前に安心して受診できる病院を探し、適切な治療を受けるようにしましょう。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。