多くの女性が悩みを抱える肌トラブル、ニキビ。ニキビは、毛穴が詰まって、その内部に炎症が生じることによって発症します。
発症段階では、ポツポツとしたできものみのニキビですが、毛穴内の炎症が悪化すると痛みやかゆみを伴うようになり、膿が溜まって潰れることも少なくありません。
ニキビは炎症の程度によって症状が異なってきます。それと同じように、見た目も変化するのが特徴であり、特に色調の変化はニキビの重症度を表す指標にも。
そこで今回は、悪化した「赤ニキビ」の原因や治し方について詳しく説明します。
【目次】
・【赤いニキビ】の原因って?
・【赤いニキビ】に効く、市販薬って?
・【赤いニキビ】の治し方
・【赤いニキビ】潰していいの?
【赤いニキビ】の原因って?
ニキビの正体は、詰まった毛穴の炎症です。毛穴の詰まりが改善すれば、毛穴内に溜まった皮脂などの老廃物や細菌が排出されるためニキビは改善に向かいます。
しかし、一度詰まった毛穴は開きにくくなり、毛穴内の炎症が悪化することも少なくありません。このため、ニキビは時間が経過するにつれて症状が悪化していく傾向にあります。
発症直後のニキビは白っぽい
まず毛穴を中心とした皮膚の一部にポコッとした盛り上がりができます。これは、皮脂や垢などの老廃物が毛穴内に溜まることによって引き起こされる症状です。
通常は白っぽい色をしており、痛みやかゆみなどを伴うことはありません。そして、毛穴が開きかけると、内部に溜まった皮脂が酸化して黒っぽくなり、ニキビ全体が黒く見えることがあります。
このようなニキビを「黒ニキビ」と呼びますが、溜まった汚れが全て排出されると徐々に回復しています。
一方、毛穴内の炎症がひどくなると、皮膚の盛り上がりが大きくなるだけでなく、ニキビ全体が赤くなって熱感を帯びるようになります。
これを「赤ニキビ」と呼びますが、痛みやかゆみを生じるようになるのもこの段階のニキビです。そして、さらに炎症が悪化して毛穴内に膿が溜まると、毛穴から膿が押し出されて見えたり、ニキビが全体的に黄色っぽく変化していきます。
このように、ニキビは炎症の強さによって症状が異なり、「赤ニキビ」は比較的症状が悪化したニキビであると言えるのです。
炎症が悪化する原因としては、皮脂のさらなる過剰分泌、ストレス、食生活の乱れ、生理前後、など様々なものが挙げられます。
【赤いニキビ】に効く、市販薬って?
赤いニキビは、毛穴内の炎症が悪化した時に生じるものです。炎症を悪化させる原因は様々ですが、いずれも毛穴内の細菌が大量に繁殖することによって引き起こされます。
このため、赤いニキビを治すには、炎症を鎮め、毛穴内の細菌を退治する必要があります。ニキビに対する薬は様々なタイプや成分のものが市販されています。
しかし、市販薬は有効成分の含有量が少なかったり、効き目の少ない有効成分のみが含まれているものが多く、重症化した赤いニキビには太刀打ちできないことも少なくありません。
また、非常に強い痛みがあるなど、毛穴内に膿が溜まっていることが考えられる場合は、細菌を退治するための抗菌薬が必要になります。
赤いニキビでは、抗菌薬の塗り薬や飲み薬が使用されることが多いですが、いずれも病院を受診して医師から処方してもらうほかありません。
赤いニキビは皮膚の深層にまでダメージが加わっていることもあり、ニキビ跡を残してしまうこともあります。消えないニキビ跡に悩むことになる前に、市販薬が効かない場合や、非常に強い症状がある場合はなるべく早く病院で資料を受けましょう
【赤いニキビ】の治し方
赤ニキビをきちんと治すには皮膚科での治療が必要になるケースが多々あります。
皮膚科では、皮膚を柔らかくして毛穴を拡げる作用のあるビタミンAが含まれたレチノイド外用薬が第一選択で使用されることが多いです。
しかし、炎症が悪化して赤みを帯びたニキビには細菌を退治するための抗菌薬入りの軟膏や飲み薬が必要になることも少なくありません。
医療機関によってはこれらの薬物療法だけでなく、自費診療でケミカルピーリングや光線療法などが希望によって行われることがあります。
また、赤いニキビを治すには、生活習慣を改善して肌の状態を整えることが大切です。
そのためには、ニキビの悪化を助長する皮脂の過剰分泌を抑えるため、脂肪分や糖分の多い食事や香辛料などの刺激物が多く含まれた食事は控えるなどの対策が必要です。
皮膚の状態は女性ホルモンの影響を受けやすいため、ストレスや寝不足、疲れなどを溜めずに正しいホルモンバランスを維持するよう心がけましょう。
【赤いニキビ】潰していいの?
赤いニキビの内部には、皮脂や垢などの老廃物のほかに膿が溜まっていることがあります。
膿は痛みやかゆみの元凶となり、毛穴を大きく膨れ上がらせる原因でもあります。このため、赤いニキビに悩んだときはついついニキビを潰して膿を出してしまいたくなるものです。
膿が溜まったニキビは潰すと早く良くなる…はうそ!
これは非常に危険なので自分やでるのはNGです。
確かに、皮膚科で行われるニキビ治療の中には、「圧出療法」と呼ばれるものあり、毛穴内の皮脂や膿を押し出す処置が行われることがあります。
しかし、「圧出療法」は皮膚をしっかりと消毒した上で、滅菌されて器機用いて行われるものです。安易に自分でやろうとすると、毛穴内に細菌を送り込んでしまうこともあり、かえって症状が悪化することも少なくありません。
また、炎症が皮膚の深部にまで波及している場合には、無理に膿を押し出すとクレーターのようなニキビ痕はできてしまうことがありますので、溜まった膿が気になる場合でも自己判断で行うのは控えるようにしましょう。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。