バリの新年ニュピ前日に行われるオゴオゴパレードは奇祭珍祭だった!
半年ぶりのバリです。今回自分に課したミッションは、「ニュピ体験」。
ニュピとはバリの新年を迎える日のことです。とはいえ、日本のように「毎年1月1日がお正月」という風にはなっていないんです。
日本には全く馴染みのないサカ暦というものに従うカレンダーを使っていて、毎年新年の日が変わるんですね。しかも決まるのは秋ごろ。つまりそれまで今度の新年はいつになるのか誰も知らないという、なんとも不思議な暦。
「新年がいつになろうとどうでもいいい」というわけにはいきません。ニュピの日はバリにいる人全てが活動を停止して、静かな日を過ごす静寂の日としてすごさなくてはならないからなんです。どのくらい静かな日になるのかというと、ニュピの日は電気の使用禁止、ビーチ立入禁止、空港も閉鎖される(!)くらい静かな日になります。
「空港も閉鎖される」で思い出したのが、今回のバリ行きの航空会社は成田空港からの直行便、ガルーダ・インドネシア航空。ハワイや欧米方面なら迷わずエコノミークラスを選ぶところなのですが、航空料金が安めのアジア方面では、ビジネスクラスも検討。すると10万円台から購入可能ということが判明(取材時)!
今回は気楽な一人取材ということあり、「これがいわゆるプチ贅沢ってやつですね」と、ビジネスクラスをポチッと。ピーク時のハワイ往復のエコノミークラスの料金同等、もしくはそれ以下の金額でビジネスクラスに乗れるというのも、アジアの航空会社の魅力のひとつなんだと思います。
もちろんFSC(フルサービスキャリア)。シャンパン、ワインからの前菜〜メインと食べつつ、機内エンターテインメントで観たのはボヘミアン・ラプソディ。泣いた、泣かせてもらいました!
そんなことを言っているうちにデンパサール到着ですよ。
新年のお祝いは、数日間にわたって村をあげて盛大に!
さてさて、バリの新年ニュピですが、前夜のお祭りから参加するのが楽しいんです。
今回ニュピを体験するために選んだエリアはサヌール。
この土地を選んだ理由は、約半世紀も前に日本の建築会社によって建てられたハイアットリージェンシー バリが5年間の全面改装を終えリニューアルオープンしたというので、泊まってみたかったから。
宿の他にも、サヌールというエリアは、どうやらものすごくたくさん且つ豪快なオゴオゴパレードを見ることができるらしいという、噂を耳にしていたことも重なって、ここに決めました。
「ところでオゴオゴってなんですか?」ですよね。
新年はニョピ当日の日ですが、ニョピモードにはすでに数日前から入っていて、村ごとに祭事が始まります。神聖なものやお供えものを村人が行列して運んでいく行列など、普段の観光バリでは見ることのない光景と島のあちらこちらで遭遇するようになります。
余談ですがこの行列などに遭遇してしまうと30分位車も動かなくなります。バリではすべてに祭りや村の祭事が優先されるんです。
圧巻のオゴオゴパレードを見る前に…
そんな村単位の祭事メインイベントとも言えるお祭りが、ニュピの前夜に行われるオゴオゴのパレード。
村人たちによって追い払われた悪霊が取り付いたハリボテを村の男どもが担いで町をパレード。このときガムランを思いっきり叩いて大きな音で響かせるのですが、それは悪霊は大きな音が苦手だからだそうです。
観光客の我々にとって大切なのは、オゴオゴをどこで見るかという、この一点に尽きます。ズバリそこは交差点。何故ならあちらこちらの村から担がれてやってきたオゴオゴを豪快に回したり揺らしたりしてアピールして通っていくその様子をじっくり見ることができるからです。
サヌールのBESTポジションはこちらの交差点。通称マクドナルドジャンクション。
当日は歩行者天国になります、などとは特に決められてはいないのですが、交差点はほぼ無法状態、ローカルも観光客も入り混じっての大混乱のスマホ撮影ポイントの陣取り合戦状態。
「18時半ころかなぁ」と教えられ交差点に行ったときにはまだこんな状態。しかしなかなかオゴオゴはやって来ず。すると近所のローカルが「どうやら20時過ぎだってさ」と教えてくれて、それでも始まらず、結局やってきたのは21時をまわった頃。いやぁなんともなバリ時間です。
交差点で小雨に打たれながら待つのは辛いので、地元で美味いと評判の人気店でバビグリン&ビンタンビールで待つことに。バビグリンとは簡単に言うと豚を一頭丸ごと焼いて、すべての部位を食べるというもので、バリのソウルフードでもあります。
そうそう、ニュピ前日は昼過ぎからお店もほぼ閉まるので必要なものは買い出ししておかないとです。こちらのバビグリンハウス、営業しているのが奇跡! とも思ったのですが、毎年「この日が一番の稼ぎどき!」と、新年なんて関係なくお店を開けているのかもしれませんね。
オゴオゴたちがやってきた!
待ちに待ったオゴオゴたちが登場です。ほんの一部ですが、ご紹介します。
ちょっとエロイのとか
MX的なものとか
マッチョなものとか
これ、どう見ても蚊に見えるんですけど、なものとか
「悪い子はいねぇーかー」と子供は絶対泣いちゃうだろうなぁ、なタイプとか。
もう何でもありな感じですが、実は全てラーマーヤナの神話をベースに作られたものなのだそうです。
交差点にあふれる無法地帯がさらに入り乱れての約2時間。オゴオゴのパレードも終わり、人々はホテルに帰っていきます。
明日は新年ニュピを迎え、島の活動が一切停止する静寂の日。果たしてそのときホテルはどうなってしまうんでしょうか? その様子は次回に!
撮影協力
山下マヌー Manoue Yamashita
雑誌編集者を経て旅行コラムニスト/作家に。渡航回数350回超、最新刊『 山下マヌーのランキンハワイ最新版』で著作は62冊に。
Travel columnist&writer after a magazine editor.
Over 350 times to foreign travel, and over 60 books of the copyright so that work.