エストロゲンがたくさん分泌されている排卵期とそれ以外の時期では、好みの男性のタイプが変わる
通常、排卵が起こってから次の生理までの長さは約14日です。したがって、基礎体温グラフの周期が安定してきれいに描かれている人に限っては、シンプルに次の生理予定日から14日マイナスした日が排卵日と考えられます。
しかし、周期が一定でない人は、排卵までの低温期の長さが一定でないのです。排卵日は、月経の10日目から21日目と幅があり、なかなか基礎体温だけで排卵日を正確に予測することは難しい場合もあります。
排卵日を正確に知るためには、エコー検査や市販の排卵検査薬などを利用するなどの方法もありますが、自然の摂理というのはたいしたもので、排卵日のころの女性、つまり妊娠しやすい時期の女性は、本人も気づかないうちにあるサインを出しているんです。
■排卵期は「モテ期」
イギリスとチェコの共同研究で、男性に19~33歳の女性それぞれの排卵期と排卵期以外の顔写真を見せて、どちらが魅力的か選んでもらう実験をしたところ、排卵期の女性の写真を選ぶ男性が圧倒的に多かったのです。
排卵の2〜3日前には卵巣からエストロゲンの分泌が増えるわけですが、この女性ホルモンが女性をさらに魅力的に見せ、男性を引き寄せる作用があると考えられています。
エストロゲンは肌のつやをよくし、さらに瞳孔を少し大きくするということもやってくれます。そして男性は、黒目の大きい女性に引き寄せられやすいということがわかっています。
このように、排卵期の女性に男性は惹かれるようにできている。女性にとって、排卵期は「モテ期」なんです。
でも、注意してください!
女性ホルモンによって私たちは、気づかないうちに男性にサインを出しているだけでなく、自分自身も操られています。
女性は、エストロゲンがたくさん分泌されている排卵期とそれ以外の時期では、好みの男性のタイプが変わるようなのです。
排卵期にはイケメンにときめいいてしまうようなのですが、お心あたりはありませんか?
それ、実はホルモンのせい。
イケメンの特徴は左右対称性です。動物では左右対称のものは免疫力があり、生命力があると考えられています。
排卵期、すなわちセックスで子どもができやすい時期は、イケメンを選びやすい。そして、排卵日以外のときは、誠実な善き夫・善き父になりそうなイクメンタイプに惹かれる。
これを進化心理学的(※1)に考えてみると、メスの本能としては「生物学的に優れたオスの子どもつくり、別のオスに子育てを協力させる」ということになります。この説が正しいのか、正しいのなら現代にも有効なのか。彼女の排卵周期、男性は知らないほうがいいかもしれませんね。
ともあれ、赤ちゃんのおむつ替えも厭わず、あなたと一緒に子育てをしながら平らかな家庭を築くことを最優先にする男性との結婚を望んでいるのなら、排卵期の一目惚れにはご注意を。
※1 進化心理学とは…
人間はほかの生物と同様に、環境に適応できるように進化を遂げてきたため、人間の心理についても生物として生きるために適応の歴史を繰り返してきたと考えられる。進化心理学とはそれをロジカルに追求し、私たちの行動や心の動きの理由の説明をつけようとする学問のこと。
船曳先生の著書『あなたも知らない女のカラダー希望を叶える性の話』(講談社/¥1200)では、男女の性器の仕組みから、生理がなぜ起こるのか、妊娠や出産までの仕組みをいったものを、イラストを用いながら誰でもわかりやすく解説しています。こちらもぜひチェックしてくださいね。
初出:しごとなでしこ
教えてくれたのは…産婦人科専門医・生殖医療専門医 船曳美也子さん
1960年神戸生まれ。1983年神戸大学文学部心理学科卒業後、医師を志し、1991年兵庫医科大学医学部を卒業。兵庫医科大学病院、西宮市立中央病院、パルモア病院を経て、大阪・東京で展開する医療法人オーク会にて不妊治療を専門に診察にあたっている。自らも体外受精を行い、43歳で初めて妊娠、出産という経験をもつ。2013年、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を出版。2014年、健康な女性の凍結卵子による妊娠に成功。現在、著書『あなたも知らない女のカラダー希望を叶える性の話』(講談社/¥1200)が好評発売中。