敬語を使って、丁寧に話そうとするあまり、変な日本語や、変な敬語を使っていませんか? あまりにも間違った敬語が広まっていて、違和感がないという方も多いのではないでしょうか。しかし間違った言葉遣いは不快に感じる方もいるので注意が必要です。
会計時によく聞くおかしな敬語
コンビニや飲食店、ショップなどのお会計時によく聞く間違い敬語。身近なところで聞いていると、間違った敬語が当たり前という感覚になってきますね。気になっていても、あえて指摘してくる方はほとんどいません。お客様のモヤモヤポイントを確認して、正しい敬語を覚えましょう。
<間違い敬語その1>
誤:「7500円ちょうどお預かりします」
正:「7500円ちょうど頂きます」
何が間違いかすぐわかりましたか?
支払い金額ピッタリの場合、返すお金はありません。ということは、「ちょうどお預かりします」は日本語として変ですよね。「お預かりします」を使うのは、「8000円お預かりします、500円お返しします」というように、お釣りが発生する場合です。
<間違い敬語その2>
誤:「10000円からお預かりします」
正:「10000円お預かりします」
こちらもよく聞きますよね。丁寧だと思って使っているのかもしれませんが、意外と耳障りな言葉と言われます。からをつける必要はありません。シンプルに頂いた金額を復唱して預かりましょう。
<間違い敬語その3>
誤:「お会計のほうは、1000円になります」
正:「お会計は、1000円でございます」
こちらも一見丁寧に聞こえますが、~のほうも実は間違い敬語です。これは口癖になっているケースがほとんどで、上司やお客様との会話の中で、何十回も使っている人もいます。会話よりも癖が気になって、ついつい数を数えたくなってしまいますね。~のほうをつけるのは、方角を示すときに使います。「右の方」、「あちらの方」という感じですね。
また、~になりますも間違い敬語。これは、変化したものに対して使います。例えば、「私は今年35歳になります」「もうすぐ春になりますね」という感じです。
受付や電話でよく聞く間違った名前の聞き方
受付で記帳をしたり、電話で名前を聞かれたりすることはよくありますよね。このときも、変な敬語を使っている方が非常に多いのです。
誤:「お名前を頂戴してよろしいでしょうか」
正:「お名前を伺ってよろしいでしょうか」
「頂戴」は物を頂く時に使う言葉です。名前は、頂くものでもあげるものでもないですよね?
相手を敬いたい時に、正しい敬語と間違った敬語、どちらの方が敬意が伝わるでしょうか? また、同じメッセージを伝えたいと思った時に、敬語を知っていて伝えるのと、知らずに伝えるのでは、どちらが相手に気持ちが届くでしょうか? 言葉は単なる道具ではなく、コミュニケーション、気遣いを表すことができます。
若者言葉「ヤバイ」は、聞いている周囲が不愉快な気持ちになることも
若者言葉として浸透している「ヤバイ」という言葉。財布を忘れても「ヤバイ」、変な人を見かけても「ヤバイ」、想像以上にタイプの異性が現れても「ヤバイ」。しごとなでしこ世代もプライベートでは頻繁に使っているのではないでしょうか。10代、20代にいたっては、何でも「ヤバイ」で片づけますよね。これ、本当にヤバイです(笑)。
もし後輩などの口癖になっていて気になるようならば、一週間だけでも「ヤバイ」禁止令を出してみてはいかがでしょうか? どれだけ表現が乏しくなっているか、美しい日本語とかけ離れてしまっているか本人も気がつくはずです。
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普段から使わない言葉を大事な時にだけ使えることはありえません。言葉は毎日使うもの。その場、その相手にとってふさわしい言葉なのか、言葉を「使う」から「遣う」ことが求められます。言葉を磨いて大人の女性としての品格も身につけていきたいですね。
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初出:しごとなでしこ
【現役ホテルマンに習うマナーの真髄】古岡めぐみ ホテルマン・マナー講師
沖縄「カヌチャベイリゾート」や、大阪「大阪マルビル大阪第一ホテル」など、名だたるホテルでの勤務経験をもつ現役ホテルマン。お客様からの多くの支持を集め、また後輩育成にも力を注いできたことを認められ、過去に社内表彰されること多数。
現在は富山県内のホテルフロントスタッフとして勤務しながら、これまでの自身の経験をもとに接客マナーやホスピタリティなどのセミナー講師としても活動している。