現役ホテルマンの古岡です。私の経験にもとづいて、女性がよりしなやかに働けるよう、マナーについてご紹介しています。
冬のオシャレは女子の楽しみ。でも、ビジネスマナーでは、オシャレより身だしなみでしたね! 会社訪問の際、マフラーや手袋、コート等、冬のアイテムで注意することがあるのか、確認してみましょう。
会社訪問、基本の心構え。もっとも避けたいのは遅刻。
冬に限ったことではありませんが、会社訪問は、出発時から始まっているという心得を忘れずに。会社の代表として、誰にバッタリ会っても恥ずかしくない身だしなみや行動ができているか、振り返ってみましょう。
例えば、赤信号なのに横断歩道を横切ったり、ずっとスマホを見ながらご飯食べたりしていませんか? 実はこれ、過去の私なんです。「誰も見ていないからいいや」と思っていたことを上司から注意されたことがあります。ハッとしました。仕事の事を注意してくれても、日常のふるまいの部分を注意してくれる人は少ないですから。もし、思い当たる節があれば、今日から改善していきましょうね。
それから、最も避けたいのが遅刻。冬は急に雪が降って電車が遅れたり、交通渋滞が起きたりすることも予想されますね。天気が悪いとわかっている時は特に、余裕を持って出発しましょう。遅刻からのスタートは、挽回に時間がかかってしまいますし、何より時間をつくってくださった相手にも迷惑を掛けてしまいますね。
会社訪問時、コートを脱ぐタイミングは?
冬の会社訪問の際に迷うのがコートを脱ぐタイミング。寒いので受付前で脱ぎたい気持ちはわかりますが、ビジネスマナーでは建物に入る前が好ましいとされています。マフラーや手袋等も、同じタイミングで外します。これには理由があります。
ひとつ目は、「寒さを持ち込まない」という気遣い。ふたつ目は、「コートについた雨のしずくやほこりなど、外の汚れを持ち込まない」という気遣い。脱いだコートは、ぐちゃぐちゃにせず、裏返して二つ折りにたたんで持つのがスマートです。
コートを着るタイミングは、建物から出た後。男性のように、大きくバサーッと羽織るのではなく、片腕ずつ袖を通して動きをコンパクトにすると、女性らしいエレガントな振る舞いになりますよ。
会社訪問時、脱いだコートはどこに置く?
裏返して二つ折りにたたんだコートは、どこに置けばいいでしょうか? 会社訪問では、ハンガーを見つけても、勝手にかけてはいけません。これは会社に限らず、家に招かれた時であってもそうですよね。あなたの自宅に初めて彼氏や友人が来たとして、勝手にクローゼットを開けてコートを掛けたら驚きますよね(笑)。相手から「どうぞハンガーをご利用ください」と言われたら、お礼を言って使わせていただきましょう。
勝手に机の上に置くのも、寒いからといって膝の上にかけておくのもNGです。では、どこに置いておけばいいかというと、自分のカバンの上が正解です。足元に置いているカバンの上にコンパクトにたたんだコートを置いてくださいね。
会社訪問、ブーツはあり?それともなし?
会社訪問でのブーツは好ましくありません。基本はパンプスです。足元から冷えるので、ロングブーツを履きたい気持ちはわかりますが、ブーツはカジュアルに見えてしまいます。
ただ、雪国の場合は難しいところですよね。私が住む富山は、雪が積もることもありますし、融雪で道がびちょびちょの場合もあります。以前、冬にマナー講座を開催した時、積雪がすごかった時があったんです。その際、「長靴での参加で申し訳ございません」と先に一言おっしゃってから受講された方がいらっしゃいました。気遣いを感じましたね。
雪国であっても、パンプスで行った方がいい企業や状況もあるでしょう。その際は、パンプスを持参して、事前に履き替えるというのもひとつです。私はホテルマンとマナー講師という職業柄、長靴で人前に立つわけにはいきませんので、履き替えています。
マナーに「絶対」はありません。土地柄や状況、相手に合わせてマナーは変化していきます。まずは基本を身に付けること。そこから、「こういう時はどうすればいいんだろう?」と疑問に感じることも出てくるはず。その問いかけは、相手への気遣いが始まっている証拠です。どんどん、マナーを磨いていきましょう!
初出:しごとなでしこ
古岡めぐみ 現役ホテルマン・マナー講師
沖縄「カヌチャベイリゾート」や、大阪「大阪マルビル大阪第一ホテル」など、名だたるホテルでの勤務経験をもつ現役ホテルマン。お客様からの多くの支持を集め、また後輩育成にも力を注いできたことを認められ、過去に社内表彰されること多数。
現在は富山県内のホテルフロントスタッフとして勤務しながら、これまでの自身の経験をもとに接客マナーやホスピタリティなどのセミナー講師としても活動している。