「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざを聞いたことはありますか?
由来は諸説あるようで、解釈によってその意味は大きく変わります。代表的な3つの解釈を、薬膳の視点から見る解説も交えてご紹介します!
代表的な3つの解釈
「秋茄子は美味しいから食わせない」嫁いびり説
ひとつめは、「秋茄子は美味しいから、憎たらしい嫁には食べさない」という説。姑による嫁いびり、というワケです…。ちょっと怖い由来ですが、では秋茄子はなぜ美味しいと言われるのでしょうか? 茄子は暑い夏の時期に比べると、秋の方が実り多く、さらに栄養が実に回りやすいので旨味が多いのだとか。でも逆に、夏の茄子は秋茄子よりも水分が多く、みずみずしいという特徴もあります。
「子供を産めなくなるから食わせない」子宝に恵まれない説
ふたつめ、秋茄子には種子が少ないので、「子種に恵まれない」という迷信から。これは単なるゲン担ぎのような解釈ですね。
「女に冷えは大敵だから食わせない」体を冷やす説
3つめは「秋茄子は体を冷やすから」と、嫁を気遣って食べさせないという説。ひとつめと打って変わって、嫁に優しい解釈です。これに関しては薬膳的解釈からご説明しましょう。
秋茄子は体を冷やすのはホント?
薬膳において茄子の効能は、清熱・利水・活血など。体の余分な熱をとり、水分代謝や血の巡りをスムーズにしてくれます。寒熱の性質としても「涼」に属するため、体を冷やす作用があるというのはホント。ただし、これは秋茄子に限ったことではなく、夏の茄子も同様。むしろ水分量の多い夏の茄子の方が、その作用はやや強いと言えるかもしれません。また、体を冷やす作用の強さとしてはさほど強いものではないため、茄子ばかり食べる…なんてことをしなければ問題ないでしょう。
秋茄子に旨みをたっぷり含ませる「秋茄子と牛肉の味噌炒め」
豚肉とよく合わせることの多い茄子ですが、味が染み込みやすい茄子は牛肉の旨みを吸わせるのも美味です! 体を温める作用のある生姜とニンニクを合わせて、茄子の「涼」の性質を中和しています。きのこもお好きな種類でどうぞ。
1.味噌大さじ2、酒・醤油・砂糖・みりん各大さじ1を混ぜ合わせておく。ニンニクひとかけ分と、同じくらいの大きさの生姜はみじん切りに。茄子3本は大きめに切ったあと表面に斜めに何筋か切れ目を入れ、水にさらしておく。しめじ・舞茸・エリンギなどお好みのきのこは1/2パックほど用意。
2.フライパンにサラダ油を熱し、ニンニク・生姜を炒める。(辛いのが好きな方は、ここで輪切りにした鷹の爪も1本分加えて。)牛薄切り肉200gを加え、赤みがなくなるまで炒める。
3.一度牛肉をフライパンから取り出し、茄子がしんなりするまで炒め、その後きのこを加えさらに炒める。
4.牛肉を加え、合わせておいた調味料を入れて、水気が8割ほど飛ぶまで炒めて完成。お好みで白いりごまをふる。
茄子の詳しい薬膳的効能はこちらで紹介しています。