俳優・アーティスト ファーストサマーウイカさんインタビュー

《Profile》ふぁーすとさまーういか/1990年生まれ、大阪府出身。2013年にアイドルグループBiSに加入。解散後はBILLIE IDLE®を結成。2021年にソロデビュー。俳優としての最近の活動は、NHK大河ドラマ『光る君へ』、TBS系ドラマ『時すでにおスシ!?』など。2026年公開の映画は劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~CAPITAL CRISIS』(公開日未定)をはじめ、『バナ穴 BANA_ANA』(公開中)、『シャドウワーク』(9月25日公開)、『ファーストボイス』(10月2日公開)がある。
自分を飽きさせない、焦らせない。鷹揚でご機嫌なキャリア設計
ルーティンも繰り返しも苦手です
キャリアのスタートは、地元大阪の舞台だった。その後小劇場で経験を積み、音楽活動と並行してさまざまな活動が始まった。バラエティ番組でのキレのいい発言、ドラマでの自立した女性像に共感が集まるようになったのは、2019年ごろから。
「ひとつのことに絞らず、いろいろやる。この働き方は私の性に合っていると思います。ルーティンをつくったり、同じことを繰り返したりするのは苦手。今日はバラエティ、明日はドラマ、映画… 日々フォーカスするものが変わることで、自分を飽きさせずに楽しめている気がします。それに、違う仕事があってこそ、相乗効果もある。たとえば、舞台で培った大きな声やリアクション、映像で身についた集中力が、バラエティ番組で生きるんです」
自分自身とその仕事について、客観的に分析するウイカさん。俯瞰する力、言語化する力は、自身の強みでもある。
「とはいっても、積極的に自分の映像を見返して研究するわけではなく、現場の空気や作品の感想、いろんな感覚を言語化しておく。『なぜそうなったか、なぜそう思ったか』ロジカルに整理して、同じ失敗を繰り返さないようにします。そして、人と関わって仕事をするうえでは、何よりも〝機嫌がいい〟ことが大事。
私ですか? 怒りっぽいですし、思ったことはすぐ口にするので、自分の機嫌はとれますが、他人から見たらご機嫌さんではないかも。それでも、冷静さを失わず、気持ちに余裕をもって、機嫌よく接することができる人でありたい。何かが起きたとき、危機的な状況であるときほど、その資質が問われるのではないでしょうか。これは、『TOKYO MER』シリーズにも通じることです」

これがやりたかった、と鳥肌が立ちました
ウイカさんは、シリーズ最新作となる劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~CAPITAL CRISIS』に新メンバーとして出演する。演じるのは、MERメンバーとしては新入り、医師としては中堅のキャリアをもつ池尻久仁子。
「池尻先生は、麻酔科医という立場もあり、少し引いてチーム全体を見てバランスを取ってくれる、いわば潤滑油のような、頼もしい存在です。今回の映画では、首都直下地震という危機的状況にチームが立ち向かいますが、そんなときに必要な言葉を選んで簡潔に伝えることができる。言いすぎず、ポイントは押さえる、優秀なメンバーです」
その姿は、まさに「冷静さを失わず、気持ちに余裕をもって」接する人。と同時に、チーム全員がそれを実践できるよう、表に見えていないところでも率先して動いていたのが、TOKYO MERチーフドクター・喜多見幸太を演じた鈴木亮平さんだったという。
「亮平さんは常に完璧。つい、『亮平さん』ではなく『喜多見チーフ』と呼んでしまうほどずっと頼もしくて(笑)。MERならではのテクニックやオペのコツを個別レッスンしてくださったり、クランクアップ後にはたこ焼きパーティを主催してくださったり。常に私たち新メンバーも自然に溶け込める環境をつくってくださいました。
私自身は、これまで映像で見ていた出動シーンやオペシーン、そしてあのヒーロー感(笑)を体感できたことがうれしくて。そうそう、これがやりたかった、と鳥肌が立ちました」

〝やめたら罰金〟くらい自分に課そうかな
映画の中にいながらも、やはりどこかで自身を俯瞰しているウイカさん。そうしながら今回も「デキる」女性を好演し、働き方のひとつのお手本を提示している。
「ただ私には、具体的な目標や人生設計がありません。一日のスケジュールさえ、きっちり決め込むのが苦手で、いい意味で〝適当に〟やるほうが、合っている。ちなみに、家では毛玉だらけのジャージにゴムの伸びたソックスです。
それでも、少しずつ焦りが生まれてくるのが30代。このままでいいのか、という漠然とした不安も避けられません。思えば、20代は未来に向かって躍起になって、他人はおろか、自分を労ることも二の次になっていました。それが30代になると急に自分にフォーカスを当てるようになる。体調やスタイルの変化、結婚・出産の問題、仕事や生活の変化…。いろんなことが目の前に迫ってきて、視野が狭まって、不安になったり、前に進みづらくなったり。それでいて、お尻に火が付いたような、何かに追い立てられるような感じもある。
人生の先輩方からは、40代になるとまた視野が広がり、さらに楽しくなると聞きます。だから30代は迷いながら、焦りながらでいいからやり続けることが大事だなと。また、自分のための頑張りでも、知らぬ間に後に続く人の力や救いになることもある。ワクワクと焦りが交錯する30代だけど、お尻に付いた火を絶やさず、心もメラメラ燃えるような情熱的なアツい毎日にしたいですよね」

飽きっぽい自分の「火を絶やさない」ために、「何か突き詰めることを見つけたい」と言うウイカさん。
「やりたいことは多々あれど、私自身は飽き性で、せっかく付いた火もすぐに鎮火しやすいので、〝やめたら罰金〟くらい自分に課そうかな。それでも、焦らず自分の機嫌をとりながら。お尻に火が付いていてもゆっくり眠れるくらい余裕があるほうが、長生きできそうでいいかも(笑)」
劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~CAPITAL CRISIS』

劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~CAPITAL CRISIS』/
021年に発足した都知事直轄の救命医療チーム「TOKYO MER」。映画3作目となる本作は、首都直下地震の災害現場となった東京全域を舞台に、新生TOKYO MERが始動する。首都機能が壊滅した東京を救うことができるのか。出演/鈴木亮平 賀来賢人 赤楚衛二 ファーストサマーウイカほか 8月21日全国公開
ジャケット¥93,500・パンツ¥85,800・ブラウス¥91,300(AKIKO OGAWA.) ピアス¥39,600(H.P.FRANCE〈chigo〉) その他/スタイリスト私物
AKIKO OGAWA. 03-6450-5417
H.P.FRANCE
2026年Oggi9月号「この人に今、これが聞きたい!」より
撮影/中田陽子(Maettico) スタイリスト/近藤伊代 ヘア&メイク/吉田真妃 構成/南 ゆかり
再構成/Oggi.jp編集部
Oggi編集部
「Oggi」は1992年(平成4年)8月、「グローバルキャリアのライフスタイル・ファッション誌」として小学館より創刊。現在は、ファッション・美容からビジネス&ライフスタイルテーマまで、ワーキングウーマンの役に立つあらゆるトピックを扱う。ファッションのテイストはシンプルなアイテムをベースにした、仕事の場にふさわしい知性と品格のあるスタイルが提案が得意。WEBメディアでも、アラサー世代のキャリアアップや仕事での自己実現、おしゃれ、美容、知識、健康、結婚と幅広いテーマを取材し、「今日(=Oggi)」をよりおしゃれに美しく輝くための、リアルで質の高いコンテンツを発信中。
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