目次Contents
「おくびにも出さない」の意味や由来
「おくびにも出さない」とは、心で思っていることや本当の事情などを、言葉や態度にまったく出さないことです。
2つ以上の言葉を組み合わせ、もとの言葉とは違う意味を表す「慣用句」にあたります。
そもそも「おくび」は「げっぷ」のことです。げっぷは生理現象で、胃にたまった空気が口から出てくる様子を表します。
「おくびにも出さない」は、げっぷのように自然に出てしまうものさえも、外に出さないという意味合いから生まれたとされる言葉です。おもに感情や考えを隠し、あたかも何もないかのように振る舞う様子を言い表します。
噯にも出さ・ない
出典:小学館 デジタル大辞泉
物事を深く隠して、決して口に出さず、それらしいようすも見せない。おくびにも見せない。「自分の苦労など―◦ない」
「おくびにも出さない」の使い方や例文
「おくびにも出さない」を使うと、怒りや悲しみ、本当の事情などを態度にまったく出さないさまを表現できます。相手の落ち着いた態度や、本音を隠している様子などを伝えられる言葉です。
単に黙っているというより「少しも表に出さない」「まったく気配を見せない」といったニュアンスを強調できるでしょう。
・つらい出来事があったはずなのに、彼女はそれをおくびにも出さず仕事を続けていた
・彼は不安や緊張をおくびにも出さず、堂々とプレゼンを行った
・彼女は怒りの感情をおくびにも出さず、静かにその場を離れた
・相手の不躾な対応に対し、彼女は不満をおくびにも出さず、終始穏やかな態度で接した
・実は大きなプロジェクトを手掛けていることを、彼はおくびにも出さなかった
・「彼、そんなに大変な状況だったの? 」「そうらしいよ。でも本人は、それをおくびにも出さなかったんだ」
「おくびにも出さない」の類義語や言い換え表現
「おくびにも出さない」と似た意味を持つ言葉には、何かを隠したり、表に出さずに行動したりする様子を指すものが多々あります。
・素振りも見せない
・潜行して
・音もなく
・目に触れないところで
・ひっそりと
・水面下で
ここでは、それぞれの意味や例文を紹介します。使用例も参考に、場面に応じて使い分けてください。

「素振りも見せない」
「素振り(そぶり)」とは、表情や態度、動作に現れた様子のことです。「素振りも見せない」とすることで、それらをまったく表に出さないことを意味します。
「おくびにも出さない」と同様、本当の気持ちや事情を周囲に気づかせないさまを表す言葉です。日常生活でも、似た場面で使用できるといえます。
・彼女は体調が悪い素振りも見せず、淡々と業務を続けた
・内心は怒っていたなんて。そんな素振りも見せないから気付かなかったよ
「潜行して」
「潜行(せんこう)して」とは、人に知られないように、ひそかに行くことです。「潜行」には「水中をもぐって行く」という意味もあります。日常会話では、人に気づかれないように、物事を密かに進めるさまを指すのが一般的です。
感情などを表に出さない様子を指す「おくびにも出さない」に対し「潜行して」は「表立って行動しない」というニュアンスを強調できます。
・彼は計画を潜行して進め、準備が整ってから初めて公表した
・競合他社に気づかれないよう、市場調査は潜行して行われた
「音もなく」
「音もなく」は、周囲に気づかれないほど静かな状態を指す言葉です。
物理的な静けさや気配のなさを表す場合が多いものの、以下のように「人に気づかれないように行動する」というニュアンスでも活用できます。
・彼女は書類をデスクに置くと、音もなく部屋を出ていった
・猫が音もなく近づいて、気付けば足元に座っていた

「目に触れないところで」
「目に触れる」とは、物事が視界に入ることです。「目に触れないところで」とすることで、人知れず何かを行うさまを表します。
日常生活では、密かに準備を進めている場面や、裏で努力している様子を表す際に活用できます。
・その計画は、メンバーの目に触れないところで密かに進行していた
・彼女は人の目に触れないところで、こつこつと努力を続けていた
「ひっそりと」
「ひっそりと」は、人に気づかれないよう静かにしている様子や、目立たないように行動するさまを表します。周囲の注意を引かないよう、控えめに存在している状態や、静かな雰囲気などを表現できる言葉です。
「おくびにも出さない」と意味が近い言葉ですが「ひっそりと」とすることで、とくに静かで控えめな様子を強調できます。
・彼女は軽く会釈し、ひっそりとその場を後にした
・資格試験に向け、彼女はひっそりと努力を重ねていた
「水面下で」
「水面下(すいめんか)」には「水中」や「表面に現れないところ」などの意味があります。
「水面下で」は、人の目に触れないところで、密かに物事が進む様子を指す言葉です。
水の下の動きが見えないように、表には出ていないものの、裏で物事が進んでいる状況を言い表せます。
ビジネスでは、計画や交渉などの進行状況を表す言葉として使用することが多いでしょう。
・私たちが知らないだけで、新しい企画は水面下で進められているようだ
・表だった情報はないものの、両社の交渉は水面下で続いていた
▼あわせて読みたい
何かを心に秘める様子は「おくびにも出さない」と表そう
「おくびにも出さない」は、心の中にある思いや事情を少しも表に出さない様子を表す慣用句です。会話で使うと、怒りや悲しみ、秘密などを抱えていても、それを周囲に気づかせない冷静さや慎重さが伝わります。
「おくび」が「げっぷ」を意味することからもわかるように、「本来なら外に出てしまいそうなものさえ出さない」という強い意志が伝わる表現です。ただ黙っているのではなく、徹底して感情や事情を隠している様子を強調できます。
類義語と上手に使い分ければ、さらに表現の幅が広がります。何かを心に秘めている様子を表したいときは、「おくびにも出さない」をはじめとする語句を活用してみましょう。
メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock



