日本と韓国のドラマ制作の違いは…
『梨泰院クラス』『スカイキャッスル』『財閥家の末息子』『今私たちの学校は…』など、数々の世界的ヒットタイトル生み出し、昨今の韓国ドラマブームを牽引する韓国・SLLとテレビ朝日の日韓共同制作による完全オリジナルドラマ「魔物（마물）」が4月18日(金)よる11:15〜スタート（※一部地域のぞく）。不倫、DV、セックス…など愛と欲望にまつわる過激なテーマと、満たされない人間たちの歪んだ人間模様を美しい映像とともに描く禁断の問題作を麻生久美子さん×塩野瑛久さんの演技派俳優二人が描くことでも話題に。美しく魅惑的な男、源 凍也を演じる塩野瑛久さんに本作の見どころを直撃インタビュー。初回放送前に必読です！
――今回SLLとの作品が決まって、観た韓国の作品があれば教えてください。
SLLの作品は『梨泰院クラス』『今、私たちの学校は…』『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』『39歳』『ペーパー・ハウス』などたくさん観ていますが、韓国ドラマから学ぶことは多いです。
日本のドラマの良さももちろんたくさんありますが、韓国の作品は恋愛ドラマの登場人物たちを美しく見せる照明の当て方や撮り方にすごくこだわりをもっているのが感じられます。登場人物たちがかっこよく、かわいく見えたほうが憧れも抱きやすいし、話の構成もよく練られていてつい続けて観てしまうあの展開のもっていき方はかなり計算されているのだろうと思います。
――数々の名作を作り出してきた韓国SLLとの共同制作となりますが、塩野さんがこの作品に期待することはなんですか？
日韓合作の作品に出られてうれしいです。衣装合わせや本読みをしたときに、チン・ヒョク監督が「何か引っ掛かることやこうしたいということがあれば、どんどん伝えてほしい」と何度も声をかけてくださったんです。監督の中にプランがないわけではもちろんなく、むしろたくさん構想はもっておられる。それでもそういう言葉を投げかけてくれることで本気で向き合おうとしてくださっていると伝わってきましたし、この作品への期待度も増しました。実は衣装合わせの際も簡単には決まりませんでした。というのも、こだわりやビジョンがしっかりあるため、その日に決まりきらず、後日に持ち越すことに。日本のスケジュール感で言うと、このペースやこだわり具合だと間に合うかやや不安になりながらも、ここまで丁寧に時間をかけてつくっていく過程が僕はすごくうれしかったです。
――作品に携わる中で日韓の作品の違いを感じたことは？（取材はクランクイン前）
台本ひとつをとっても、その国によって違いが出ることだと思いますが、日本は「月がきれいですね」と愛を伝える文化がある。多くは語らず、いろんなことを察する能力に長けていて、台本もト書きが少ないんです。日本人のすばらしいところは、たとえ詳細を書いてなかろうと求められている美術を用意する能力。書いていないことの余白を受け取って考える力がみんなに備わっている。とはいえ、解釈を共有しきれないことが往々にしてあるのも事実。
今回、原案内容をきちんと把握するまでは少し時間がかかりましたが、細かい描写や心情が詳細に書いてある丁寧さがあるから、登場人物の心情もすでに深いところまで見えてきていて、過去に何があったのかどういう思いを抱いているのか、凍也という人物を理解するのは早かったかもしれません。ここまで細かく書き込んである台本は、役者人生で初めて見ました。
――今回演じる凍也はどんな人物だと捉えていますか？ 表現する上で動作や表情、声色など特に意識していること、この作品のために準備したことがあれば教えてください。
今は一周回ってあえてフラットでいようかなと思っています。凍也のハードルがものすごく高いんですよ。ト書きでは「魅力的な人物で美しい肉体をもち、鋭い目つきをしている」と書かれている。外見的要素も含め、やや抽象的な表現が散りばめられているので、どう表現するか自分に委ねられているような感覚もあり、果たして己がそこに耐えられるのかというプレッシャーを感じます。
台本での描写がしっかりしているから、凍也の過去や幼いころの記憶にフォーカスを当てて深掘りして…常に備えて挑んでいけば優しさを感じるシーンだろうと笑顔やほほえましい表情のシーンだろうと、そこに凍也として立てる気がしているんです。
だから、あまりセリフをこう言おう、ああ言おうと決め込むことはせず、凍也として一本筋が通って成立してそこに彼が生きていれば大丈夫だと思うようにしています。
正直なところ、この作品に共感は得にくいのかなと思います。登場人物に感情移入しにくい中で、凍也がいかになぜだかのぞきたくなってしまう惹きつけられる存在でいられるかが大事だと考えていて。設定だからそう振る舞っているように見えると、あまりにドラマチックすぎるし「ああ、こういうドラマが始まったんだ」になってしまう。凍也という人物がとても気になるように没入させることが目標。そのプレッシャーとの戦いが課題です。
――“禁断の恋”が描かれる作品ですが、塩野さんにとっての禁断の〇〇とは？
今は節制しているので、“禁断のカツカレー”です（笑）。
――美しい肉体を持つ魅力的な男と人物紹介にあります。この作品のために鍛えられておられると思いますが、トレーニング成果はいかがでしょうか？
今はある一定のところから伸びない感覚があるんです…。1月から鍛え始めて変わってきた感じはありますが、まだまだ足りない。「まだまだ肉体美というには足りないな」とチン監督に思われてしまわないかという不安があります（苦笑）。すごく優しい方ですし、実際はそんなことは言われないと思いますが、韓国と日本では魅力的な男の位置づけが少し違うと思うんです。そこの中間を目指しています。今後、韓国の方にも観ていただく機会があるかもしれないですから、日本で凍也というキャラクターが成立していても、あちらでは成立していない可能性がある…そう考えると向き合わずにはいられないですね。
でもたぶん、凍也は嫌われると思います（笑）。だから、本作を観てくれたすべての方に併せて『無能の鷹』の視聴をおすすめしたいです。そうすればもっと僕のことを知りたいと思ってもらえるかなあ…なんて（笑）。
【撮影現場ビハインド♡ 〝しおらしい〟取材メモ】
・実は前日にOggi5月号『もしも、塩野瑛久がグラフィックデザイナーだったら』企画（絶賛発売中！詳細はこちら▶ https://oggi.jp/7452094 ）の撮影をしていたため、連日取材させていただきました。前日「じゃあまた明日！」と手を振りながら現場を後にし、翌日「あ、Oggi！ お疲れ様です。今日もよろしくお願いします！」と気さくに声をかけてくださり、ほっこりした取材チームでした。
・塩野さんの取材現場にはいつも大量の差し入れを持っていってしまう編集部ですが、この日の手土産はそば粉のクレープ。素敵なビジュアルのクレープをどうしても見てほしくて「ぜひ、その場で開けてほしい」とリクエストすると「なになに？ おー！ これは撮影したい！」とスマホで撮影してくれ、「これは後で僕が全部食べます…嘘です！（笑）」と抜群のリアクションを見せてくれました。
・クランクイン前に行われた撮影だったのですが、「麻生さんが本当に素敵な方でした。共演したことのある人から“骨抜きにされるほど魅力的な方”だと聞いていたのですが、すでに僕も骨抜きにされそうな感じがしています（笑）。取材で写真を撮るときに照れる姿がすごくチャーミングで、お話もたくさんしてくださって、撮影に入るのが楽しみになりました」と前向きに語り、「この作品を面白くしたい！ 頑張ります」と気合いの入った宣言でインタビューを締め括った塩野さん。
俳優 塩野瑛久
しおの・あきひさ／1995年1月3日生まれ。東京都出身。【公式Instagram ＠akihisa_shiono_official】どんな難役も演じ分けることから“カメレオン俳優”と呼ばれる実力派俳優で、話題作に多数出演。2024年は大河ドラマ『光る君へ』で一条天皇を熱演し話題に。その他、ドラマ『無能の鷹』、『天狗の台所 Season2』、映画『チャチャ』、映画『八犬伝』、連続ドラマW『ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』等が放送・公開。2025年ドラマ「五十嵐夫妻は偽装他人」にてW主演を務める。4月18日放送スタートのテレビ朝日系 金曜ナイトドラマ「魔物（마물）」に出演。ファッション好きとしても知られ、センスのよさから数々のファッションイベントに呼ばれる今、まさに旬の人。2024年1月より、Oggi.jpでファッション連載中！ ＜＜＜2025年4月始まりのカレンダーが発売中。詳細はカレンダー公式X @akijikan_calをチェック！
撮影／JOJI スタイリスト／能城 匠 ヘア＆メイク／時田ユースケ 構成／佐々木怜菜、岡野亜紀子
金曜ナイトドラマ「魔物（마물）」
4月18日(金)よる11:15〜 ※一部地域のぞく
主人公・華陣あやめは、有名法律事務所に勤める中堅弁護士。
その優秀さで同僚の男性たちから頭ひとつ抜けた存在として、所長はじめ周囲から将来を嘱望されている。しかし、一見順風満帆にみえる華やかなキャリアとは裏腹に、彼女自身は男性優位の法曹界における出世競争に深く疲弊し、それを癒す時間も術もなく、孤独を深めていた。そんな中、恩師である大学教授の名田と実業家である最上理事夫妻を通じて、ある女性と出逢う。源夏音と名乗るその美しい女性は、夫・源凍也から喧嘩の際に暴力を受けたことを告白…しかし、「愛しているから殴るんです」「私の味方は彼しかいないんです」と彼女が話す。
さらに実際に対面した源凍也は、この世の者とは思えないほど美しく、魅惑的である…。
やがて２人は許されない恋に落ちてゆく―。
そして数日後、とある事件が発生…。目撃者の陳述により、凍也は容疑者として逮捕された。夏音に懇願されたあやめは、凍也と面会しに留置所へ向かう。
しかし、あやめが凍也を訪ねたのは、夏音に頼まれたからでも、恩師の死の真相が知りたいからでもなく、彼女の心の奥底にある、決して誰にも言えない、別の大きな理由が背中を押していた… 。「華陣あやめです。今日から私が源凍也さんの弁護士になります。」
