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LIFESTYLE

2025.03.24

“世界一美しい島”プリンスエドワード島と『赤毛のアン』の関係

『赤毛のアン』の舞台としても知られるプリンスエドワード島。カナダで最も小さな州の魅力を、旅行コラムニスト・山下マヌーさんがお伝えします。

山下マヌー Manoue Yamashita

「物語の中の物語」を旅する

プリンスエドワード島

「プリンス・エドワード島は世界でいちばんきれいな島。自分がそこに住むことは想像したことはあっても、まさか本当に済むことになるとは夢にも思わなかった!」(L.M.モンゴメリー作/Anne of Green Gables.日本語タイトル 赤毛のアン)より。

プリンスエドワード島

その「世界でいちばんきれいな島」、プリンスエドワード島はカナダ東部に位置する、面積約5,660平方キロメートル、人口約18万人(2024年現在)のカナダで最も小さな州。作家ルーシー・モード・モンゴメリの名作、前述した『赤毛のアン』の舞台ということを知っている人は少なくないと思います。モンゴメリ自身がこの島で育ち、物語には彼女の経験や風景が物語に生かされています。温暖な夏と寒冷な冬があり、四季折々の自然の変化もこの島の魅力で、赤土の大地、青い海、緑の牧草地が広がり、冬には一面雪景色という、まさにアンの言葉通りの風景が広がるのです。

プリンスエドワード島

『赤毛のアン』の中でアンは、「夕焼けで空が染まると、島全体がバラの色に染まる」と語り、プリンスエドワード島の美しい風景に魅了されているのですが、実際、島を訪れてみるとその言葉どおりの光景が。アンが「自然の神秘」と呼んだその美しさは、本が出版されてから120年を過ぎた今でも守られ、自然豊かな物語の世界が広がっています。

プリンスエドワード島

季節ごとに表情を変える島の景色、夏の鮮やかな緑と空の青さ、冬の厳しくも美しい流氷の光景は、一度見たら忘れられないことうけあい。と同時にその感動的な景色を見れば、自分(筆者マヌーのことね)のような心の汚れた人でも心が洗われ、暫くの間純粋な心の持ち主へとなること確実。

〈本物のスローライフを体験〉本質的な豊かさってなんだろう?

プリンスエドワード島

プリンスエドワード島の人々の生活が、高いQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を保ちながら、自然と調和した暮らしを大切にしているように感じるのは、島の限られた資源を大切にするということがあるのかもしれません。その結果として、サステナブルな生活スタイルが実現しているのですね。

プリンスエドワード島

意外だったのは物価がそれほど高くないということ。値段は日本と同等、もしくは量を考えたらむしろ安いと感じるものも。トランプ米大統領の関税政策でカナダドルの価値が変動しているという皮肉はあるものの、日本人観光客にとってはちょっと嬉しい側面も。

プリンスエドワード島

とはいえ島の人々はそうした経済的な浮き沈みにあまり左右されず、シンプルで豊かな暮らしを続けているのだと思います。訪れる人は少なくても、その「観光地化しないことが人を惹きつける」という逆説的な魅力を持つ島の暮らしこそ、本質的な豊かさを示しているように思えるのです。

洗練されたヴィンテージ空間のカフェやレストラン

プリンスエドワード島

州都であるシャーロットタウン及び周辺には、古い建物の趣を活かしたカフェやショップが点在。アンティークなブルワリーやバー、手作りの雑貨が並びます。冬景色だったというせいもあるかもしれませんが、それでも観光地化されすぎず、島の自然や歴史がそのまま残されているのは確か。アンティークな品々や建物が今でも生き生きと活用されているのが印象的でもあるんです。

プリンスエドワード島

町中には“映え系”カフェやショップも多く、またヴィンテージの家具や食器を使用したカフェでは、丁寧に淹れられたコーヒーと手作りのスイーツが楽しめます。ハンドメイドの雑貨や衣類を扱う店も多く、地元のアーティストによる作品は、島の風景や文化を反映した独創的なデザインが目立ちます。

これらの店舗が提供する商品やサービスのクオリティの高さは、単に観光客向けというわけではなく、島の人々の日常生活に根ざしたものであることが伝わってきます。古いものを大切にする島の文化が、アンティークな店舗や手作りの品々に自然と息づいているのです。一つ一つの店が物語を持ち、それがプリンスエドワード島全体の魅力を形作っています。

一年を通して楽しめる新鮮素材の地産地消料理

プリンスエドワード島

プリンスエドワード島は自給率が高く(約8割)、新鮮な地元食材を活かした料理が豊富。特にロブスターは世界的に有名。オイスターも同様に有名で、NYのオイスターバーでは“PEI(Prince Edward Island)産”として別格扱いです。

プリンスエドワード島

また「アイランドポテト」と呼ばれるジャガイモは、島の赤土で育った特別な味わいを持ち、さまざまな料理に使われています。地元のクラフトビールもこのポテトと相性抜群で、ブルワリーでは島の水と農産物を使った個性的なビールを楽しむことが可能。

心身を解放する贅沢な癒やしの島

プリンスエドワード島

アンが愛した風景と人々の暮らしが、100年以上経った今も本質的には変わっていないプリンスエドワード島。自然が主役の風景、質素ながらも豊かな生活、新鮮な食材を活かした料理… これらのすべてが調和して心を癒やしてくれると感じることができる島。

プリンスエドワード島

華やかさを追うのではなく、素朴な美しさを大切にしてきたからこそアンの物語が永遠に息づく場所となっているのだろうと心から感じられる島。2025年4月5日からNHK Eテレで、新作テレビアニメ「アン・シャーリー」が始まり、これから注目されることが予想されるプリンスエドワード島。

プリンスエドワード島

「想像していたことがほんとうになる」喜びを、是非体験しに行ってほしいと心から思うのです。

今回プリンスエドワード島で買ったもの

プリンスエドワード島

ローカルアーティストの作品、手作りソープ、ローカルのポテトとソルトで作ったシーソルトポテチ(止まりません)、コーンで作ったキャラメルコーティングのポップコーン(クセになります)、ミルクとソルトから作ったソルトバター(トーストに塗ってハチミツをかけて食べるのが最高)。

取材協力/プリンス・エドワード島州政府観光局、カナダ観光局

山下マヌー Manoue Yamashita

雑誌編集者を経て旅行文筆家に。渡航回数400回超、著作数は65タイトル。2022年よりANA「翼の王国」スーバーバイザーを務める。

After a career as a magazine editor, became a travel writer, embarking on over 400 journeys and authoring 65 books. Since 2022, has served as a supervisor for ANA’s 「Tsubasa no Ōkoku」

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