「『夢がないまま』大きくなりました」と話す鈴鹿さん(web Domaniでご覧ください)。その後、どんな経験を経て今の活躍に至ったのでしょうか。さらに、これから目指す「30代の自分」についてもクローズアップ!
「かっこつけている」ことを悟られないくらい
自然にやりとげる
──まずは、『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』での声優としての挑戦を振り返って…。
監督からは「大袈裟に」と言われたのですが、ふだんやっていないから、最初は全然できなくて。本番前の練習日に試しにやってみて、そこからいろいろ想像を膨らませながら、やっていました。
『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』/『映画ドラえもん』シリーズ44作目、45周年を飾る最新作が、2025年3月7日公開! 今回は、「絵」に描かれた壮大な中世ヨーロッパの世界が舞台。ひみつ道具「はいりこみライト」を使って絵の中に入ったドラえもんたちは、不思議な少女・クレアと出会う。また、そこには謎に包まれた絵画の商人・パル(声・鈴鹿央士)もいて…。 ©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2025
――いざ映画が完成して、ご自身の声をどのように感じましたか? また、お芝居に関して気づくことはありましたか?
客観的に聞く自分の声は、やっぱり違和感があります(笑)。それは、芝居の経験を重ねていても、あまり変わらなくて。ふだん、人からは「落ち着く」とか「癒される」と言われることが多いけれど、どうなんだろう…?
ただ、芝居をする上で、役によって声は少しずつ変わるし、それを客観的に見ると、改善することも見えてきます。以前の作品を見ると、役を魅力的に見せたくて「かっこよく」話し、演じていたのがわかります。今なら、もっとナチュラルに「かっこよさ」を見せることができるかもしれない。声なのか、話し方なのかわからないけれど、難しいのは「狙いすぎないこと」だと思います。
たとえば、2024年10月期のドラマ『嘘解(うそと)きレトリック』(松本穂香さんとのW主演)は、それを強く意識した結果でした。探偵という役だから、きっとこういう思考回路で、こういう仕事の仕方で…と考えながら、自分なりの像をつくりあげていき、この役なりのかっこつけ方も準備して。でも芝居では、陰で準備したことを悟られないくらい、自然にやりとげる。できているかわからないけど、もっと上手くできたら、芝居がさらに面白くなるんじゃないかなと思っています。
夢にしばられず、そのときどきで
好きなことを楽しむ
──ではさらにその先、(Oggi読者と同じ)30代では、どうなっていたいとお考えですか?
もっと真面目でいたいです(笑)。実は僕、基本はのび太くんタイプで、できるなら怠けていたいほうなんです。一方で、台本を読んだり考えごとをしたりするのも好き。だから、ちょっと隙ができたとき、だらだらするほうに流されず、自分を見つめ直す時間をつくれるようにしたいなと。
そんなとき、人生の先輩からもらった言葉を、しっかり受け取り、思い出し、実践できる自分でいたい、とも思います。もしかしたら、その言葉の真意がわかるのはずっと先かもしれないけれど、それでも考えることをあきらめずに。かといって、まだわからないことも、あってあたりまえ。だってまだ、たった25年しか生きていないんですから。
──「絵を描くのは苦手」「夢がなかった」という鈴鹿さんですが(詳しくはWeb Domaniで)、そのあとはどう変化していったのでしょう。
夢にしばられなかったことは、むしろよかったと今は思います。子どものときは、なんとなく「サッカー選手になりたい」と夢を描いてはいたけれど、それにこだわりすぎていたら、今の僕はありません。中学ではサッカー部、でも高校からバトミントン部に入ったことで、のちの未来が変わったのですから。僕は、高校で行われた映画撮影のエキストラ参加でスカウトされました。あのとき、バトミントンではなくサッカーをやっていたたら、撮影当日も屋外で部活をしていただろうから、エキストラには行っていなかった。つまり俳優にはなっていなかったのです。
しっかりと夢をもち、それに向かって努力することはもちろん立派です。けれど、そのときどきで好きなことを見つけて、その場所で楽しむこともまた、予想外の未来が開ける可能性がある。未来の「絵」を持たずに大人になることは、悪いことじゃないと思います。
>鈴鹿央士さんが語る、『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』の見どころはWeb Domaniで!
鈴鹿央士(すずか・おうじ)
2000年1月11日生まれ、岡山県出身。高校2年生のとき、映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』(2017年)にエキストラとして参加した際、同作の主演を務めていた女優の広瀬すずにスカウトされたことがきっかけで、2018年4月芸能事務所に所属。これまでの代表作に、映画『蜜蜂と遠雷』『かそけきサンカヨウ』『バイオレンスアクション』『ロストケア』『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』、アニメ映画『夏へのトンネル、さよならの出口』、連続テレビ小説『なつぞら』、日曜劇場『ドラゴン桜』、ドラマ『六本木クラス』『silent』『君に届け』『スイートモラトリアム』『18/40~ふたりなら夢も恋も~』『ゆりあ先生の赤い糸』『闇バイト家族』『嘘解きレトリック』など。
ジャケット¥605,000・中に着たジャケット¥522,500・パンツ¥242,000(ミュウミュウ クライアントサービス〈ミュウミュウ〉)
※記載はすべて予定価格
その他/スタイリスト私物
ミュウミュウ クライアントサービス/0120-45-1993
撮影/高木亜麗 スタイリスト/朝倉 豊 ヘア&メイク/宮本 愛(yosine.) 構成/南 ゆかり