今、コンビニの〝チルドカップ〟ドリンクがおいしくて楽しいヒミツ♡
仕事中のご褒美に、ランチの足しに、気軽な差し入れにトレンドのスイーツ感覚で飲めるものも!
今回の先生は…
▲フードライター・笹木理恵さん
ささき・りえ/千葉県出身。飲食業界誌の編集者を経て、2007年に独立。あらゆるジャンルの食をテーマに雑誌やwebなどで執筆中。All About おうちグルメガイド、Yahoo!ニュース エキスパートオーサーも務める。
製造から販売まで、ずーっとチルド状態をキープ!
Oggi編集部(以下Oggi):最近、コンビニのストローをさすカップのドリンクのバリエーションが増えている気がします。仕事で疲れてひと息つきたいときや、甘いものが欲しくなったとき…コンビニに立ち寄るたび、新しい商品を見つけてつい買っちゃいます。
笹木さん(以下敬称略):チルドカップドリンクのことですね! サクッと飲み切れるサイズ感で、甘いものやミルク入りの商品が多いので、特に女性に人気ですね。
コバラがすいたときや、ランチの〝ちょい足し〟、ドライブやスポーツ観戦のお供にしたりと、私もよくお世話になっています。
Oggi:チルドカップ… そんな呼び名があるんですね。ペットボトルや缶のドリンクとは、どのように違うんですか?
笹木:チルド(Chilled)は〝冷やされた〟という意味。チルドカップドリンクは、製造から流通、販売にいたるまで、すべての過程を0℃~10℃の冷蔵状態で管理している、主にプラスチックや紙の容器に入った飲料のことです。
ペットボトルや缶に比べて殺菌時間を短くできるため、素材の風味を損なわず、よりフレッシュな味わいを楽しめるんですよ。
さらに、冷蔵管理で飲み切りを基本としているため、カフェラテなどミルクの入ったドリンクはペットボトル飲料と規格が異なります。チルドカップはペットボトルよりも乳固形分をたくさん使用できるんです。
Oggi:どうりで、チルドカップのほうが濃厚な気が。
笹木:常温では傷みやすい果肉や、容器の口が広い形状を活かして、ゴロゴロした大きめの固形食材を入れられるのもチルドカップの特徴。カットフルーツやタピオカなどが入っていて、太いストローで食感を楽しめる商品も多いですよね。
Oggi:そうそう! 飲みごたえ・食べごたえがあるドリンクは、ご褒美感もあります。なるほど、ペットボトルなどより制約が少なくて、比較的自由に開発されているんですね。面白い製品がたくさん出てくるわけだ!
笹木:仲間への差し入れにしても楽しいですよね。いろいろな種類を買い込んで、「どれが飲みたい? ジャンケンで決める?」なんてみんなでワイワイ盛り上がったり。
Oggi:わかります〜!
笹木:大容量でグビグビ飲みたいときや長時間持ち歩きたいときはペットボトル、でもサクッと飲み切りで味わいを楽しみたいときはチルドカップ、と使い分けている人が多いのでは。
また、コンビニのマシンで淹れるタイプのアイスコーヒーは、氷が入っていてカップを捨てるときに少し困るけれど、チルドカップならサッと捨てられるのでラク、という声も聞きます。
コーヒーを持ち歩く〝文化〟を日本に輸入
Oggi:それにしても、チルドカップドリンクって、いつごろからあるんでしょう?
笹木:日本でチルドカップドリンクのパイオニアとされているのは1985年、森永乳業が発売した「森永特濃 ONE SHOT」という乳飲料でした。
その後、’93年に登場した「マウントレーニア」シリーズが大ヒット。チルドカップコーヒーは一気に市民権を得たんです。それまでは、屋外で飲むコーヒーといえば、中年男性が飲む缶コーヒーが主流。
アメリカ・シアトルでカップのカフェラテを持ち歩く人々を見た森永乳業の社員の方が、「このスタイルを日本でも広めたい!」と触発され、開発を決意したようです。
Oggi:おしゃれに見えたのがきっかけだったんですか。
笹木:チルドカップの次の大きなムーブメントは、大手コーヒーチェーンの参入です。’98年にはドトールコーヒー、2005年にはスターバックス、さらに’07年にはタリーズコーヒー、’15年にはコメダ珈琲店。時間をかけてジワジワと… ですが、各社がチルドカップ商品の開発に乗り出しました。
Oggi:コーヒーショップに行かなくても、手軽に専門店の味が楽しめるのは、うれしいですよね。
笹木:2000年代以降はコンビニ各社が、プライベートブランドによるオリジナルのチルドカップドリンクの販売に力を入れ始めます。冷蔵輸送の手段や流通網が発達したことも後押しして、コーヒー系以外のドリンクも充実。
たとえば’15年、ナチュラルローソンブランドから発売された「グリーンスムージー」は、1食分の野菜を手軽に摂取できるとあって、健康志向の女性などを中心にヒット。今でも人気の定番になっています。
Oggi:罪悪感なく飲めるし、何よりおいしいから!
笹木:このころから、ボディメイクをうたったプロテイン入りのドリンクなど、ウェルネス路線のドリンクをよく見かけるようになりました。
一方でタピオカブームの際には、コンビニ各社がタピオカ入りのミルクティーやカフェラテなど、豊富なラインナップをそろえました。
近年では、プリンやわらびもち、ソフトクリームなどのスイーツを〝ドリンク化〟した〝飲む◯◯〟系がブームに。
Oggi:もはやデザート! 自由ですね(笑)。
笹木:はい、仕事中にプリンやアイスクリームを食べるのは周囲の目が気になるところですが、ストローを使うドリンクなら、デスクでも堂々と飲めますし。
Oggi:ストローだと口紅が落ちるのも気にならないし、ますます女性と相性がいいですね。
笹木:また2年前には、パッケージがきっかけで、大ヒットした商品もありました。ローソンのゆる~い犬のイラストを使ったアールグレイティーが、100円というかわいい値段も手伝って、Z世代を中心にSNSでバズったんです。味もデザインも、どんどん変化を遂げています。
砂糖不使用に限定コラボ変化していくトレンド
▲写真左から/ファミリーマート Afternoon Tea監修 ティーラテ 砂糖不使用 ¥180、ローソン ウチカフェ カフェオレ砂糖不使用 グランデ ¥238、セブン-イレブン セブンプレミアム カフェラテ 砂糖不使用 ¥181
Oggi:では今、注目すべきトレンドと言えば?
笹木:コンビニ各社と、紅茶ブランドやコーヒーチェーンとの限定コラボがますますアツく、目が離せません! 〝ファミリーマート×Afternoon Tea〟〝ローソン×猿田彦珈琲〟などが特に人気ですね。
また、最近は、多様化する消費者の好みに合わせ、コーヒーや紅茶では砂糖不使用の製品が勢力を増しています。これまでのチルドカップドリンクが持つ〝甘い〟イメージも変わってくるかもしれません。
乳製品を使わず、植物性のオーツミルクを使用した商品なども出てきていて、どんどん選択肢が広がっていますね。
Oggi:なにげなく眺めていたチルドカップの棚に、そんなことが起きていたとは。
笹木:また、容器のパッケージが簡略化されてきています。以前は、ストローをさすアルミのフィルムの上に、さらに「オーバーキャップ」と呼ばれるプラスチックの上ぶたがついたタイプが主流でしたが、最近は環境への配慮から、上ぶたがついていないタイプが増えているんです。
Oggi:言われてみれば…そうですね。最後に、チルドカップドリンクをもっと楽しむヒントを教えてください。
笹木:コンビニでは季節ごとにフェアが開催されていて、さまざまな食品で、春はいちごに抹茶、夏はチョコミント、秋はさつまいもにカボチャ、冬はチョコレートなどを大々的に打ち出します。
期間中、チルドカップドリンクもその時期にしか飲めない商品が発売されることが多いので、ぜひチェックしてみてください。ペットボトルや缶では出せない味わいの商品や、遊び心たっぷりの変わり種もあるはず!
Oggi:フェアにも注目してみます。知れば知るほど魅力たっぷりのチルドカップドリンク。新商品も楽しみにしています!
大手コンビニ各社の今のイチ推しは?
定番から新製品までチェック!
【ローソン】
猿田彦珈琲コラボにキャラメルラテが登場
▲猿田彦珈琲 赤ぶどう風味のキャラメルラテ ¥228
人気カフェとのコラボ期待の新作は、生キャラメルソースとミルクキャラメルソースをWで使用した、香ばしいフレーバーラテ。赤ぶどうが優しく香る秋の味わい。
紅茶+アップル果汁でクリア&爽やかに
▲ウチカフェ アップルティー ¥118
風味豊かなスリランカ産のセイロン紅茶にアップル果汁を加えすっきりとした味わい。クリアなパッケージに映えるシンプルなイラストもキュート。お財布に優しい価格も◎。
【ファミリーマート】
チョコレートの華やかな香りが贅沢!
▲エクアドル産チョコレート使用 チョコレートドリンク ¥238
エクアドル産チョコレートらしい華やかな香りとコクが口の中で広がる、チョコレートドリンク。ハードな仕事をがんばった日の、自分へのプチご褒美にぴったり!
ほんのり優しい甘さとはちみつの香りを楽しんで
▲ファミマル ハニーラテ ¥189
バリスタ世界チャンピオン・粕谷哲氏との共同開発商品のひとつ。コーヒーとのバランスにこだわったはちみつの優しい香りと甘さが楽しめる。ホッとひと息つきたいときに!
【セブン・イレブン】
ヨーグルトの味わいとキウイが絶妙にマッチ
▲セブンプレミアム のむヨーグルトキウイ ¥181
定番の「のむヨーグルト」シリーズに、キウイ味が登場。ヨーグルト本来のおいしさとキウイの果肉が感じられる。定番製品も半年~1年に1回はリニューアルされている。
スタバ新作ティーラテ! 優雅な香りに癒されて
▲スターバックス アールグレイフラワーティーラテ ¥237
10月上旬から発売されている、セブン-イレブン限定の、スターバックスアールグレイティーラテ。ラベンダーやキンモクセイの香りに、フレッシュなミルクとはちみつが合う!
覚えておきたいキーワード
「チルドカップドリンク」に関連するワードや知っておきたいワードをピックアップ!
マウントレーニア
発売31周年を迎えたチルドカップコーヒーのパイオニア。進化を続けて、現在は本格エスプレッソを使用した「カフェラッテ」に始まり、カフェインレス、ソイラテ、オーツラテなど、全15種類の豊富なラインナップが楽しめる。
プライベートブランド
スーパーやコンビニ、百貨店などの小売店が独自に開発する自社企画商品。コンビニ大手3社なら「セブンプレミアム」「ファミマル」「ローソンセレクト」。各社、時代のニーズに合った商品を展開。PBとも略される。
飲む○○
デザート感覚のドリンクブームにより、杏仁豆腐やティラミス、チーズケーキなど人気スイーツの風味を再現したドリンクが続々登場。「飲むカントリーマアム」「のむパインアメ」など、ロングセラーのお菓子をもとにした商品も。
フェア
特定のテーマにフィーチャーし、期間限定で開催される催事。旬の食材に特化したもののほか、「韓国」「ハワイ」「北海道」など海外グルメ・ご当地グルメを紹介するもの、話題のアニメや映画とコラボしたものも。
●掲載している情報は2024年10月10日現在のものです。
2024年Oggi12月号「Oggi大学」より
構成/中村茉莉花、酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部