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「あごあし付き」「あごあし代」などという言葉を聞いたことがあるでしょうか? ビジネスシーン、特に芸能界でよく使われている言葉です。元々落語や講談に出演する芸人に使われていましたが、今では幅広い分野で耳にするようになりました。
あごあし文化とは? 面白くて知られざる「あごあし」の世界
まずは「あごあし」の意味や由来について解説していきます。
あごあしの基本とは? 「あごあしまくら」の意味と使い方
あごあしの「あご」は、食べる時に顎(あご)を使うことから食事、または食事代を指します。「あし」は、移動する時に足(あし)を使うので交通費という意味。つまり「あごあし付き」とは、食費と交通費をスポンサー側や主催者が負担することを指します。
「あごあしまくら」と言われた場合は、宿泊代を意味する「まくら」が加わって、食費、交通費、宿泊代が先方持ちであるということになりますね。
ビジネスにおいて、「あごあし込みの接待」や「あごあしまくら付きの出張」などというように使うことが多いでしょう。
「あごあし付き」の由来と現代での使われ方を学ぼう
元々「あごあし付き」や「あごあしまくら」という言葉は、落語や講談などを行う寄席に出演する芸人の隠語として使われていました。イベントの主催者が、寄席芸人の手当てを支払う際に、「あごあしまくら込みで15万円はどう?」というように交渉されていたようです。
現代でも、芸能界のロケやイベントの出演料に対してよく使う、このフレーズ。それに加えて、ビジネスシーンの出張や接待にも「あごあし付きで出張に行くことになった」と言うことができます。
「足代」の意外なルーツとマナーの話
あごあしの「あし」は交通費を意味しますが、同じ意味で「足代」と表すこともあります。足代の文化は江戸時代から存在しており、商人や客人が遠方から足を運んでくれたことへの感謝として足代が渡されていたそう。
現代でも、ビジネスやフォーマルなイベントでは、1つのおもてなしとして足代を渡すこともあります。特に結婚式では「お車代」といって、参加者や主賓の方に謝礼を渡すのが一般的でしょう。
封筒は、無地か控えめなデザインのものを用意し、「お足代」「お車代」と表面に書いておきます。渡すタイミングは、できるだけ早い段階、もしくは相手が帰る直前に渡すのがいいでしょう。
「あごあし」、どのような場面でどう使う? 具体的な例文でチェック
さて、ここからは実際に「あごあし」を使った例文を紹介していきます。ビジネスでも使う言葉ですので、ぜひこの機会に使い方をマスターしてしまいましょう!
あごあし付きですので、お気軽にご参加下さい。
こちらがイベントを主催していて、相手を招く時に使います。例えば、劇団では多くのスタッフが移動するために、交通費がかかりますよね。そんな時に「あごあし付きです」というと、好待遇な仕事だという印象を与えることができ、相手にも喜ばれるでしょう。
今回は日帰りで行くので、あごあしだけで結構です。
芸能界のロケやテレビ番組の出演では、出演者に対するギャランティーにあごあしを含めるかどうかの確認が行われます。もし、ロケ先に滞在しなければならない場合は、あごあしまくらが手当てされるでしょう。
○○さんが来られるので、あごあしの手配お願いします。
ビジネスシーンで、あごあしの手配を頼まれることもあるでしょう。出張や接待で多く使われるので、困惑しないように意味を覚えておきましょう。
「あごあし」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「あごあし」は、相手に対する配慮やおもてなしの気持ちを表すものです。では、他の類語表現についても見ていきましょう。
足代、車代
先ほども紹介した足代と車代は、交通費のことを指します。渡す金額は、大体相手の交通費を想定した金額にするのが一般的ですが、多すぎても相手の負担になるので気をつけたいところ。結婚式でスピーチなどの特別な役割を担っている人に対しては、感謝の気持ちを込めて多めに支払うこともあります。
接待交際費
接待交際費とは、重要な取引先に対して、接待や贈答をする際に使う費用のこと。ビジネスシーンで使うことの多い言葉でしょう。接待の際の飲食代や、差し入れ代、交通費、ゴルフ代などが含まれます。
全額負担
全額負担は食費や交通費に限らず、かかった費用全般を負担するという意味です。「今回のイベントは全額負担ですので、お気軽にご参加ください」というように使うことができるでしょう。
あごあし文化の魅力と雑学|知っておきたいトリビア
元々は寄席芸人の隠語として使われていた「あごあし」ですが、今では幅広い分野で登場しています。
芸能界とあごあし文化|業界用語の一部としての役割
テレビを見ていると、芸能人が「ロケ弁当」や「ケータリング」について話しているのを聞いたことあるかと思います。これも実はあごあしの1つ。他にも、ロケや収録の際にスタッフや出演者が遠方から来る場合、交通費や宿泊代が手当されます。芸能界は、特にあごあし文化が根強い業界だと言えるでしょう。
1つの番組を制作するために、長時間のロケや大人数のスタッフが必要になってくるため、あごあしを主催者が負担することは、出演者やスタッフへの配慮として重要視されています。
観光にも登場する「あごあしまくら」? 知られざる観光用語の世界
観光における「あごあしまくら」とは、主催者側が食費、交通費、滞在費全てを負担するプランのこと。参加者は現地での追加費用を気にしなくていいため、快適に過ごすことができます。ツアーや接待旅行、観光プロモーションでは、あしまくら込みのプランが適用されることが多いでしょう。これも、日本ならではのおもてなしの文化ですよね。
最後に
今回は「あごあし」について解説しました。宿泊費を含めた「あごあしまくら」も一緒に覚えておくといいですよ。あごあしは、まさに相手を配慮する日本のおもてなし文化を表した言葉といえるでしょう。
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