中華に合うのはどんなナチュラルワイン?
中華料理にナチュラルワインが合う? 意外な組み合わせですが、ちゃんとした理由があったんです!
今回は、ワインショップのオーナーに料理の味を引き立てるナチュラルワインのチョイス方法を教えてもらいました。
教えてくれたのは…
選び方のコツ、教えてください
――選び方を聞く前に、まず〈ナチュラルワイン〉について教えてください。
橋本さん(以下、敬称略):「主に、有機栽培ブドウや自然酵母の使用、酸化防止剤不使用というタイプが多いのですが、実はしっかり定義があるわけではないんです。造り手さんに共通しているのは自由なマインド。規制にとらわれず、造りたいものを造る人が多いですね」
――なるほど。だから斬新なデザインのラベルが多かったりするのですね。
橋本:「それは味にも言えることで、ユニークで個性の強い味わいのワインが本当に多い。今までなかった面白いワインが多いのもナチュラルワインの特徴です」
惠川さん(以下、敬称略):「飲む側も、知識など関係なく感覚的に選ぶことができる。理屈抜きに楽しめるのが、このお酒のいいところだと思います」
右:フランツ シュトロマイヤー「フリッツァンテ ロゼ・ナチュール」¥6,900/オーストリア
左:ラ・クーレ・ダンブロジア「レ・ジュー・ルージュ」¥5,000/フランス
右:クラシックではない新しい解釈のおしゃれ中華には、オーストリアのこちらを。「ベリーの果実味とフレッシュな泡が華やか。繊細で複雑な味の中華にもぴったり」(橋本さん)
左:黒酢豚や小籠包を黒酢で食べるときなどには、酸化熟成させた濃い赤を。「揮発酸の独特の香りが黒酢のうまみに合う」(橋本さん)
――そんなナチュラルワインが中華料理と相性がいいと言われますが…?
橋本:「相性いいです! 中華料理って、焼く、煮る、揚げる、蒸すなど多くの調理法があり、更に塩、しょうゆ、酸味、辛み、そして最近ではユニークなスパイスを使う料理もある。料理の幅が広いので、合わせるお酒は割となんでも受け止めてくれる感じはあります。
でも受けが広い分、すごく繊細、樽感がとても強いといった、高品質なクラシックワインと合わせるのは少々もったいない(笑)。味に遊びがあるナチュラルワインなら、中華料理のもつ〝幅広さ〟のどこかしらには絶対フィットするので、より料理を楽しく食べられる気がします」
右:フュメイ・シャトラン「ヴァン・ジョーヌ」2016 ¥14,100/フランス 左:ティエリー・ベクレール「シュナン・フェザン」白ラベル 2021 ¥6,400/フランス
右:いわゆるガチ中華にはヴァン・ジョーヌを。「紹興酒に似たちょっとオリエンタルな香りがある白ワイン。中華とは相性抜群」(惠川さん)
左:酒徒さんレシピ的あっさり中華に合わせたい一本。「繊細で線が細い飲み口ですが、程よい甘みと果実感が、塩味系に合うと思います」(橋本さん)
――選ぶときの注意点は?
橋本:「料理とのマリアージュをじっくり味わって…というよりは、中華の場合お酒もゴクゴク飲みたい。まずは、樽感が弱く飲み心地が軽い、でも少し個性的なものを選ぶのがいいでしょう。迷ったときは、うまみがありクリーンすぎない味のオレンジワインを選べば間違いなし」
惠川:「一方で、個性の強い者同士をぶつける荒業も、受けが広い中華料理なら意外とアリ。どっしりした料理と、酸味のある赤なども意外と合います。思い切った挑戦ができるのは中華料理ならでは」
右:マウアー・オスカル「クヴィディンカ」¥5,300/セルビア
左:ドメーヌ・ソーヴテール「ペナ」2018 ¥6,200/フランス
右:セルビア産の軽めのオレンジワイン。橋本さん的中華に最も合わせたい一本。「餃子から麺までどんな料理も受け止める力がある。おすすめ!」(橋本さん)
左:ふわっとした泡の天然発泡ワイン。四川系の辛い中華に。「優しい泡に乗って広がる果実感と、辛い刺激がよく合いそう」(惠川さん)
――作るメニューを決めたら、まずはワインショップに行きたくなりそうです。
橋本:「作るメニューと一緒に相談してもらえたら合うワインを紹介します。ぜひお気軽に来てください!」
「awai」
場所:東京都港区六本木6-6-2 エスポワール六本木1F
TEL:03-6897-2855
営業時間:14:00~20:00
定休日:月・火
六本木の路地裏に佇むナチュラルワインの専門店。土壁のセラーの中には常時2,000本以上のワインが。最近はセルビアなど中央ヨーロッパのワインが充実。オンラインで購入も可。
2024年Oggi4月号「あっさり簡単『おうち中華』を作ろう」より
撮影/多田 寛 スタイリスト/西崎弥沙 イラスト/ユリコフ・カワヒロ 構成/河野友紀
再構成/Oggi.jp編集部