オシリのトラブルのほとんどが“洗いすぎ”が原因!?
みなさんは、ウォシュレットやシャワートイレと呼ばれる温水洗浄便座を使っていませんか? または、お風呂で肛門に直接シャワーをあてて洗っていませんか?
おそらくほとんどの人が、「オシリはキレイに洗って、清潔にしなくちゃいけない」と思っているはず。
でもオシリの皮膚は、目の周りの皮膚と同じくらいとても薄くてデリケート。
実はその洗いすぎによって、痔や便秘だけでなく、肌荒れ、心の病、性病などさまざまなトラブルを引き起こしてしまうことも……。
————そう警鐘を鳴らすのは、
そこで、佐々木先生の著書『痛み・かゆみ・便秘に悩んだらオシリを洗うのはやめなさい』(あさ出版)の中から、オシリのトラブルの原因や、意外と知らない正しいケア方法について、計3回にわたるプチ連載形式でご紹介!
※書籍より一部引用・再編集してお届けします
誰も教えてくれなかった「出口」の便秘とは?
「お腹の便秘」と「出口の便秘」
便秘は、便が溜まっている部位で2つに分けて考える必要があります。
具体的には、お腹(腸)に便が溜まっている「お腹の便秘」と、出口(肛門)に便が溜まっている「出口の便秘」です。
どちらに便が溜まっているかで、症状も違えば治療や対策も異なります。
世間一般に「便秘」というと、「お腹の便秘」をイメージしますよね。実際、テレビや新聞、雑誌などでさまざまな便秘特集が組まれていますが、「食物繊維や乳酸菌を摂ると良い」「水を○リットル飲むと便通に良い」など、ほとんどが腸にフォーカスした話をしています。
でも今回お話しするのは、「お腹の便秘」でも、「腸活」の話でもなく、「出口(肛門)の便秘」。
それに「出残り便秘」という名前をつけて普段から患者さんに説明しています。便を出したあと、出口に便が残っていたら、それは「出残り便秘」なのです。
便秘とは「便を秘めること」
便秘というと、何日も便が出ないことやお腹が張って苦しいことだと思う方も多いはず。
たしかにそれも便秘の症状です。しかし、それだけではありません。
便秘という漢字は、「便を秘める」と書きます。毎日便が出ていても、どこかに便が残っていたら、それも便秘なのです。
では、どこに便を秘めているのでしょうか?
それは、出口。つまり、肛門であるケース意外と多いのです。
オシリのトラブルで来院される方の多くは、毎日便が出ている快便タイプの方です。そのため、本人にはまったく便秘の意識がありません。
しかし、実際に肛門から指を入れて診察をすると便が残っています。みなさん、「ついさっき出してきたばかりなのに……」と不思議そうにされます。自分は毎日排便があるから便通が良いと思っているのです。
そのため、私が「便秘ですね」と伝えると、「え!? なんで私が?」と衝撃を受けられますが、診察後にトイレへ行き残っていた便を排泄してもらうと、みなさん納得されます。
その後、私が「だから痔になったんですよ」とお伝えすると、「なるほど」と腑に落ちるのです。
「毎日出る」よりも「スッキリ出る」が大切
便通は、「毎日出ているかどうか」ではなく、「スッキリ出ているかどうか」が大切。
少しの量であっても食事をしていれば、便は毎日つくられています。
食べたモノが便になるまで時間がかかる人もいます。腸が長い人、腸の動きがゆっくりの人、少食の人などは、2日に1回しか便が出ないこともあります。
ですが、2日に1回しか便が出ない方を診察すると出口に便はなく、肛門の中は空っぽの状態であることも多いのです。
「1日おきの排便なので今日は便が出ない日なんです。昨日は出ました」といわれることもあります。それはつまり、「昨日、すべて便を出し切っている」ということ。
便を出口に溜めこむのは、いいことではありません。便は、「毎日出る」よりも「スッキリ出る」ことが大切。2日に1回の排便でもスッキリ出し切れていれば、痔やかゆみをはじめとするオシリのトラブルは起こりません。
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『痛み・かゆみ・便秘に悩んだらオシリを洗うのはやめなさい』(著者:佐々木みのり/あさ出版)
医学書にもない肛門トラブルが増加している! 日本人のオシリ、大ピンチの理由がわかる本。
「日本人の3人に1人は痔である」と言われてから久しい。痔ゆえに温水洗浄便座で洗うようになったという人も多い。しかし洗うとかえって痔が悪化するなどと誰も思わなかったはず。
今では公衆便所にまで温水洗浄便座がついている。日本を訪れている海外旅行者もトイレ事情に驚いているが、それほど日本人はオシリを洗うのが大好き。おそらく世界で最もオシリを洗っている民族だろう。
ところが「洗っている人ほどオシリが汚い」