オシリのトラブルのほとんどが“洗いすぎ”が原因!?
みなさんは、ウォシュレットやシャワートイレと呼ばれる温水洗浄便座を使っていませんか? または、お風呂で肛門に直接シャワーをあてて洗っていませんか?
おそらくほとんどの人が、「オシリはキレイに洗って、清潔にしなくちゃいけない」と思っているはず。でもオシリの皮膚は、とても薄くてデリケート。実はその洗いすぎによって、痔や便秘だけでなく、肌荒れ、心の病、性病などさまざまなトラブルを引き起こしてしまうことも…。
そう警鐘を鳴らすのは、22年間で10万人以上のオシリを診察してきた、肛門科医の佐々木みのり先生。
そこで、Amazonの便秘部門1位・メイクアップ部門2位(※2021年3月2日時点)を獲得した、佐々木先生の著書『痛み・かゆみ・便秘に悩んだらオシリを洗うのはやめなさい』(あさ出版)の中から、オシリのトラブルの原因や、意外と知らない正しいケア方法についてご紹介! 計3回にわたるプチ連載形式でお届けします。
洗っている人ほどオシリが汚い…!?
オシリは清潔にしておかなくてはいけないと、意識を高く持って温水洗浄便座でしっかり洗っている人ほど、かえってオシリは汚れていることも。
温水洗浄便座を愛用している方を診察すると、排便後、しっかり洗っているのにもかかわらず肛門周囲に便がついていることがしばしばあります。それどころか、オシリに紙がくっついていることも少なくありません。
温水洗浄便座を使うと、オシリが水で濡れます。その後、温風で乾かしたとしても、完全に乾ききることはありません。また、洗浄後にオシリを拭くと紙が水分を含んで溶けてしまい、肛門に付着しやすくなります。
そしてこのオシリについた紙が刺激になって、かゆみを引き起こしているケースも少なくないのです。
肛門周りの皮膚は目の周りの皮膚と同じくらい薄く、刺激を与えると簡単にダメージを受けてしまいます。シャワーの強い水圧や、こすり洗いでもかなりの刺激を受けることになり、石鹸や消毒なども強い刺激になります。
オシリの洗いすぎを続けると、皮膚バリア機能を担っている「皮脂膜」がなくなり、皮膚に炎症が生じます。皮脂膜がなくなるとかゆみを感じる神経が皮膚の表面まで伸びてきて増殖。だから、洗いすぎるとかゆくなるのです。
そこへ水があたったり、刺激が加わったりすると、さらに痛がゆさが強くなるので、搔きむしってしまうことに。
さらに炎症を繰り返している皮膚組織からは、癌細胞が発生しやすくなるのです。癌細胞が生まれても免疫力があればやっつけることができますが、皮膚のバリア機能が低下していると癌細胞が発生し、どんどん増殖して皮膚癌が広がってしまうことも起こりえます。
つまり、良かれと思って温水洗浄便座を使っていても、オシリがキレイにならないどころか汚くなったり、病気を引き起こしたりしてしまう可能性があるというわけです。
自分ではなかなか見ることができない場所だからこそ、少しでも異変を感じたら、一度肛門科専門医のいる医療機関を受診してみてくださいね!
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次回は、誤情報だらけの“痔”の原因やケア方法についてご紹介します! ぜひあわせてチェックしてみてくださいね。
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『痛み・かゆみ・便秘に悩んだらオシリを洗うのはやめなさい』(著者:佐々木みのり/あさ出版)
医学書にもない肛門トラブルが増加している! 日本人のオシリ、大ピンチの理由がわかる本。
「日本人の3人に1人は痔である」と言われてから久しい。痔ゆえに温水洗浄便座で洗うようになったという人も多い。しかし洗うとかえって痔が悪化するなどと誰も思わなかったはず。
今では公衆便所にまで温水洗浄便座がついている。日本を訪れている海外旅行者もトイレ事情に驚いているが、それほど日本人はオシリを洗うのが大好き。おそらく世界で最もオシリを洗っている民族だろう。
ところが「洗っている人ほどオシリが汚い」という事実を知っている人少ない。なぜなら人のオシリを見ることなど、普通に生活していたらまずないからである。日本人の3人に2人は洗いすぎによるオシリのトラブルを抱えている。20年間で10万人以上のオシリを見てきた著者が、荒廃していく日本人のオシリに警鐘を鳴らす1冊! すべての日本人に読んで欲しい。
詳細は、こちら