働く私たちの「大人の処世術」。“毒”をエレガントに吐く方法とは?
一度は経験したことのある「そんな言い方しなくてもいいのに」「こんなとき、なんて返せば…?」と思う場面。言いにくいことをサラッと、そして効果的に相手に伝えられたら仕事もプライベートももっとうまくまわるはず。ちょっとした言い回しの工夫で、あなたの心の毒、上手に吐き出しましょう。
Oggi読者に聞きました!
あなたは、「言いづらいこと」を上手に伝える自信はありますか?
▲3分の2以上が「自信がない」!
「相手に伝えてこじれるより、自分の気持ちをのみ込んだほうが丸くおさまる」(36歳・卸売)など、自分の気持ちにふたをしてしまう人が多数。職場では「今後の関係を考えると本音を言えない」(27歳・IT)という人が多いよう。
クライアント対応編
仕事やプライベートで遭遇する、「こんなとき、なんて言えばいいの?」というシーンの数々。読者のみなさんから寄せられた悩みをもとに、大人の「モノの言い方」をズラリご紹介。今回は、クライアント対応でのポイントをご紹介。
“言い換えポイント”を教えていただいたのはこのお二人
1:我が子自慢してくる取引先の女性。かわいいのはわかるけど、ごめんなさい!そこまで興味もてないんです
「我が子がかわいいのはわかる! でも、毎回写真や動画を見せられてもコメントに困ります…。見たくないとも言えず、モヤモヤします」(26歳・企画)
【言い換え前】
「わあー、〇さんに似てますね~」
↓
【言い換え後】
「私の推しの写真も見てくださいよ~」
ポイント!
「我が子がかわいいのは当然。下手に会話を盛り上げると自慢話がエンドレスで続くので、別の話題を持ちかけるのが◎。『私の推しもかわいいんですよ~』など言えば、相手も聞かざるを得ないですよね。SNSならいいねマークやスタンプを送るだけでも十分です」(大野さん)
2:外見を何度もいじられるの、ウザイんですけど…
「『いつもスマートでいいわね』と、会うたびに私の外見を話題にされる。取引先に品定めされているみたいで苦手。女性同士でも立派なセクハラです」(27歳・事務)
【言い換え前】
「そうでもないですよ~」
↓
【言い換え後】
「最近ゴルフにハマって! 〇さんも今度一緒にどうです?」
ポイント!
「外見いじりは相手に悪気がないことも多く、難しい問題。『最近ダイエットしたんです!』『キープが大変で~』など事実を明るく伝えるとともに、『〇さんもゴルフ一緒にやりません?』と投げかければ、『私はいいわ』など会話が終了するのでおすすめ」(大野さん)
3:年下の私にだけ高圧的な態度をとるの、やめてほしい
「相手によって態度や話し方をコロコロ変えるクライアント。私が年下だからナメられているんだろうけど、いい気分はしません…」(28歳・IT)
【言い換え前】
「ええ…はい…おっしゃるとおりです」
↓
【言い換え後】
「〇さん、部長とは仲がいいんですね。いつも笑顔で話してますよね」
ポイント!
「このタイプの人を今さら変えることは無理な話。『こんな態度しかとれないのね、かわいそう』など上から目線で冷静に観察するだけでもラクになるはず。余裕が出てきたら『〇さんとは楽しそうに話すんですね~』と指摘し、態度が違うことを相手に気づかせましょう」(森さん)
4:その言葉、ハラスメントです
「令和になってもなお、セクハラやパワハラをしてくる人がいて驚き。何を言っても通じない気がして、いつも曖昧に流してしまいます」(31歳・商社)
【言い換え前】
「ねぇ~」
↓
【言い換え後】
「仕事の品質向上のため、次からその発言録音させていただきますね~」
ポイント!
「ハラスメントがよくないことは、上司世代も頭では理解しています。コールセンター風に『録音しますね~』などとけん制すれば、『あ、この発言はまずいのか』と気づくはず。もちろん、『セクハラですよ』とハッキリ言える関係性なら直接伝えて問題ありません」(大野さん)
5:潔癖ぎみの私。差し入れの手づくりお菓子、正直食べたくありません
「コロナ禍のご時世もあって、以前より食べ物の衛生面が気になるように。みんなで『おいしい~』って言わなきゃいけない空気も苦手です」(30歳・金融)
【言い換え前】
「おいしそうですね…」
↓
【言い換え後】
「私最近甘いもの控えていて…あ、〇さんよかったら私のぶんもいかがですか?」
ポイント!
「今の時代、衛生面が気になるのは仕方がない。ただ正直に『食べたくない』と言えば相手の厚意をムゲにしてしまうので、『ダイエット中なんです』『今おなかいっぱいなので後でいただきます』など、その場をやり過ごすのがおすすめ。自衛するにこしたことはありません」(大野さん)
6:相手の思い込みで「納期が違う!」と苦情を入れてきた顧客。どう対応すべき?
「こちらに非はないのに、相手が怒っているときはなんて言えば? 正論で返すと逆ギレしそうだけど、こっちが謝るのも納得いきません」(34歳・教育)
【言い換え前】
「お言葉ですが、勘違いされていらっしゃるのでは?」
↓
【言い換え後】
「〇日にお送りしたメールが迷惑フォルダに入っていないとよいのですが…ご確認いただいていますか?」
ポイント!
「こちらに非がないからといって、相手を責めるのはNG。表向きには相手を気使う言葉を使いながらも、『〇日にメールを送っています』という事実を淡々と伝えて。勘違いや行き違いのクレームほど親切に対応すると、相手も怒りや不満をおさめてくれるものです」(大野さん)
〝自分の気持ちを伝える〟メソッドをまとめた書籍が話題!
『エレガントな毒の吐き方脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術』中野信子著 (日経BP刊)
脳科学者・中野信子さんによる一冊。京都人の〝遠回しに本音を伝える〟方法を参考に、身近な人間関係においても「自分も相手も傷つけず、〝毒を吐きながら〟言いたいことを伝える」技術を紹介。大人の新たな処世術として話題に。
2024年Oggi3月号「働く私たちに必要な『大人の処世術』!エレガントに毒を吐く方法」より
イラスト/伊藤美樹 構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部