働く私たちの「大人の処世術」。“毒”をエレガントに吐く方法とは?
一度は経験したことのある「そんな言い方しなくてもいいのに」「こんなとき、なんて返せば…?」と思う場面。言いにくいことをサラッと、そして効果的に相手に伝えられたら仕事もプライベートももっとうまくまわるはず。ちょっとした言い回しの工夫で、あなたの心の毒、上手に吐き出しましょう。
Oggi読者に聞きました!
あなたは、「言いづらいこと」を上手に伝える自信はありますか?
▲3分の2以上が「自信がない」!
「相手に伝えてこじれるより、自分の気持ちをのみ込んだほうが丸くおさまる」(36歳・卸売)など、自分の気持ちにふたをしてしまう人が多数。職場では「今後の関係を考えると本音を言えない」(27歳・IT)という人が多いよう。
クライアント対応編
仕事やプライベートで遭遇する、「こんなとき、なんて言えばいいの?」というシーンの数々。読者のみなさんから寄せられた悩みをもとに、大人の「モノの言い方」をズラリご紹介。今回は、クライアント対応でのポイントをご紹介。
“言い換えポイント”を教えていただいたのはこのお二人
1:自分と同じ苗字の、他社の人宛のメールが何度も届く
「同じ苗字なので検索候補で表示されてしまうのか、頻繁に間違いメールが届きます。何度も続くから、そろそろ相手にチクリと言いたい気分…」(35歳・会計)
【言い換え前】
「失礼ですが、宛先をお間違いではないか、ご確認をお願いいたします」
↓
【言い換え後】
「私ではなくABC商事の〇〇さんでは?」
ポイント!
「ストレートに訂正するより、『〇〇ではありませんか?』と相手側に考えさせることで、記憶に強く残り『次回は気をつけよう』という改善の意識づけになります。何度も続くようなら『複数回ご連絡していますので、これ以降は返信しません』と伝えてもOK」(大野さん)
2:そっちが「調べて」と頼んできたのに、「もう遅い」はないんじゃない?
「『ちょっと調べてくれる?』と言われてそろえた資料がムダに。期日を聞かなかった私も悪いけど…せめて『〇日までに』って言ってよ!」(33歳・メーカー)
【言い換え前】
「せっかくご用意したのですが…」
↓
【言い換え後】
「期日を知っていたらお役に立てたのに…残念!」
ポイント!
「相談者も言っているように、次からは相手と事前に期日を共有しておくのがよさそう。とはいえひどい話(苦笑)。マイルドな言葉を選べば、クライアントにだって悔しい気持ちを伝えられるし、こちらもムダにストレスをため込まずに済みます」(森さん)
3:追加の仕事、「片手間でいいのでやっといて」と言われても…
「顔なじみの取引先、私には頼みやすいのか『ついでにコレもやっといて』って。簡単に言いますけど、私の時間も手間もタダではないんですけど?」(27歳・金融)
【言い換え前】
「この作業は少々お時間をいただかないと…」
↓
【言い換え後】
「別料金になりま~す」
ポイント!
「顔なじみの関係であれば、過度な依頼や業務外のお願いごとは『別料金で~す』と素直に伝えて大丈夫。明るくにこやかに言うのがポイント」(大野さん)「相手の言葉をリピートするのも◎。『片手間にできればいいんですけど、そんなに簡単じゃないんですよね~』など」(森さん)
4:その依頼は、休日出勤しないと終わりませんけど…
「いつも急な依頼を無茶なスケジュールで依頼してくるクライアント。あなたのおかげで休日に仕事するハメになること、わかってますか?」(28歳・IT)
【言い換え前】
「明日は休日なんですが…」
↓
【言い換え後】
「不明な点があれば伺いますので、お休み中も連絡がとれるようにしておいてください」
ポイント!
「にこやかに応じつつ、『連絡してもいいですか?』と相手を巻き込む言い方で、相手にも自覚を持ってもらいたいですね(苦笑)。本来は『休日対応は致しかねます』でも十分」(大野さん)「取引の最初から『社の方針で休日はお仕事はしないスタンスです』と伝えられたらベター」(森さん)
5:メールの返事をくれない仕事相手。督促する前に返事して!
「仕事のメール、こちらから督促するまで返事をくれないのはナゼ? 納期が遅れたら怒るのはそっちなのに…。ああ、ひとこと言いたい!」(32歳・金融)
【言い換え前】
「先日メールしたのですが…」
↓
【言い換え後】
「(電話で)メール見てくださいました? 届いてなかったらと思って念のため」
ポイント!
「何度も督促するのは相手もうんざりするし、そもそもメールをあまり見ていない場合も。何度も続くなら電話やSlackなど、別の手段で連絡を。『メーラーの調子が悪いのかと思って困っていたので、よかった』など、『困っている』という本音もやんわり伝えてOK」(森さん)
6:いつも機嫌の悪いクライアントに萎縮しちゃう
「イライラ&八つ当たりをしてくるクライアントにうんざり」(28歳・建築)「相手の機嫌をいつ損ねるかわからず必要以上に気を使う」(26歳・金融)
【言い換え前】
「すみません…はい…」
↓
【言い換え後】
「体調大丈夫ですか?顔色が優れないようですが」
ポイント!
「くどくどとお小言を言われるシーンなどで有効なのは、〝話題そらし〟。『体調大丈夫ですか?』『そういえば先週のプレゼン、さすがでした!』と投げかければ、相手も『そ、そう?』『実はね…』と気分が変わります。自分が会話のペースを握ると気がラクに」(森さん)
〝自分の気持ちを伝える〟メソッドをまとめた書籍が話題!
『エレガントな毒の吐き方脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術』中野信子著 (日経BP刊)
脳科学者・中野信子さんによる一冊。京都人の〝遠回しに本音を伝える〟方法を参考に、身近な人間関係においても「自分も相手も傷つけず、〝毒を吐きながら〟言いたいことを伝える」技術を紹介。大人の新たな処世術として話題に。
2024年Oggi3月号「働く私たちに必要な『大人の処世術』!エレガントに毒を吐く方法」より
イラスト/伊藤美樹 構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部