Aマッソ・加納愛子さんが〝毒〟を吐くときに気をつけていること
切れ味鋭いOggi世代のお笑い芸人であるAマッソの加納愛子さんに、毒を吐く際に気をつけていることをインタビュー!
言いにくいことを相手にズバッと伝えるのに慣れているかと思いきや、意外と…!? お話は具体的なテクニックだけではない、人間関係構築の考え方にも及びました。
▲お笑い芸人 Aマッソ・加納愛子さん
かのう・あいこ/1989年生まれ。2010年に幼馴染の村上 愛さんとコンビ結成。’22年には「女芸人No.1決定戦 THE W」ファイナリストに。最新刊のエッセイ『行儀は悪いが天気は良い』(新潮社)など執筆業でも独自の視点が注目を集める。
▲『行儀は悪いが天気は良い』加納愛子/著(新潮社)
あくまでも明るく、冗談っぽくツッコむのが〝毒〟の基本です!
笑いながらやわらかい口調で言いたいことは言う
テレビや舞台、YouTubeで、相手を選ばず不満をぶつけて〝キレる〟芸を見せることも多い、お笑いコンビ・Aマッソの加納さん。
「表に出るときはとにかく笑ってもらえればいいので、ウソばっかり口触りのいい毒を吐いてます(笑)。
日常生活ではそんなにズバズバ言うほうじゃないですけど…たとえばスタッフとの話し合いで、自分たちのライブのこととか、舞台でお客さんをないがしろにしかねないこととか、『コレは譲れない!』と思うことは、のみ込まず、明るく伝えるようにしてますね」
「コレは譲れない」ということはきっちり伝えたい!
「理不尽な頼まれごとをしたり相手と考えが違ったりするときは、『イヤです』『違います』って真正面から本音を言ったりグッとこらえたりするんじゃなくて、笑いながら『いや、勘弁してくださいよ~。その代わり、コレやったらいけますけど』とか前向きに。
そういう冗談っぽい受け答えは苦手な人もいるかもしれないけど、仕事に対する真面目さと、人間関係の真面目さって、別物だと思うんですよ。コミュニケーションにおいては〝真面目で丁寧〟なことが、常に正義というわけじゃない。
くだけた会話でその場の空気を明るくするのって、立派な能力だと思うし、仕事にも絶対生かしたほうがいいですよ! 宴会部長にも、お給料上乗せであげるべきやと思う派です(笑)」
ふだんから会話を交わし、相手との関係性を作っておくと◎
そうはいっても、冗談めかして毒を吐いたら気まずくなってしまったなど、失敗することもあるとか。
「おエライさんにバッ! てツッコんだらダダすべりするとかは、全然あります。『だれが言うてんねん!』って雰囲気になる(苦笑)。でもそういうときはたいてい、相手との関係性ができてないんですよね。
毒を吐くその瞬間だけじゃなくて、仕事だとしても相手をひとりの人間ととらえて、『休みの日、何してるんですか?』とか、ちょっとだけ人間性に踏み込んだ会話をふだんから交わしておく。それがあるかないかで、毒をエレガントに? 吐けるかどうか、変わると思います」
自分の声かけを変えれば、空気が和らぐかもしれない
「そのために、たとえば…ですけど、自慢話の多い年長の男性は自分に興味を持ってほしいんだと思って、実際はたいして興味がなくても『お子さん、いくつになりました?』とか言いまくってます(笑)。後輩に対しては、自分がされてイヤやった説教はしません。
極論、特定の相手とのコミュニケーションが本当に苦痛なら、その人や場所から離れればいいと思うんです。でも『この仕事は好き! 続けたい』『この人との関係は継続させたい』ということに優先順位があるなら、自分にも歩み寄りの余地があるかも?
コミュニケーションはふたりでつくるものだから、責任の半分は自分にあると考えてみる。もしかしたらその相手は、自分以外にはイヤな感じを発動していない可能性もありますし。自分の声かけを変えれば、ピリッとした空気が和らぐかもしれないですね」
加納さんの毒吐きセオリー
・〝真面目な受け答え〟がエレガントとは限らない
・〝場の空気〟をよくすることには価値がある
・毒を冗談にできる、土台の人間関係が大事
2024年Oggi3月号「働く私たちに必要な『大人の処世術』!エレガントに毒を吐く方法」より
撮影/為広麻里 イラスト/伊藤美樹 構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部