「賛否両論」店主が提案する「汁とめし」献立とは?
「煮物やいため物など、おかずを作る余裕や時間が豊かにある時代ではなかったころ、家庭における汁物は“おかず”でした。
季節の野菜をなべで煮る。前日に余った野菜やねり物なんかをちょっとずつ入れると、うまみも加わる。
そこにみそをといたり、しょうゆを足したりすれば、具だくさんで栄養価の高い汁のでき上がりで、それと一緒にぴかぴかの白めしをよくかんで味わう。
本来、日本の家庭料理とは、そういった滋味あふれるものだったと思います」
—そう語るのは、予約の取れない日本料理店と知られる「賛否両論」の店主・笠原将弘(かさはら・まさひろ)さん。
多忙が極まった現代こそ、笠原さんはこの誰でも気楽に作れて栄養満点な一汁一飯の「汁とめし」献立を提案したいという。
そこで笠原さんの著書『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』より、「汁とめし」献立のきほんとも言うべきだしのとり方や、お米の炊き方などを計3回にわたってご紹介。
※書籍より一部引用・再編集してお届けします
日々の汁物のだしは、ほうっておくだけ!
だしをとるのは面倒だ、難しそうだと思っていませんか?
お吸い物はこぶと削りがつおでとった一番だし(書籍参照)を使うのをおすすめしていますが、みそ汁に代表される日々の汁物のだしは、もっと気楽に考えてもらいたいと思っています。
私が考える家庭の汁物のだしは、なべに水60ml、こぶ10g、煮干し10gを入れて30分ほどほうっておくだけ。
30分はこぶや煮干しからうまみを引き出すための時間。これが長ければうまみをもっと抽出できるので、一晩おいてもいいくらいです。
その場合は冷蔵室に入れておけば、暑い季節でも安心です。作るときに火にかけますが、ふつふつとしてきたらしばらく煮て、こぶと煮干しをとり出します。こぶも煮干しも具として食べてもよいです。
わざわざ「だしをとった」という感覚がないくらい簡単で、ラクな気持ちでできることがいちばん大切です。
だしのとり方(2~3人分)
1. なべに水600ml、こぶ(だし用)10g、煮干し10gを入れ、30分ほどおく(冷蔵室に一晩おくとなおよい)。
2. 中火にかけて、ふつふつとしてきたら弱火にし、煮立てないようにして10分ほど煮て、火を止める。その後、時間があれば20分ほどおくと、こぶのうまみがより抽出される。こぶと煮干しをとり出す。
こぶは具として料理に使う!
とり出したこぶは細長く切って、そのまま汁の具として食べても。そのほかうまみを足すイメージで煮物やいため物の具にするとよい。佃煮にしてもおいしい。
市販のだしでも大丈夫!
時間がないときは便利な市販品に頼ることも大切だと思っているので、すぐに使える粉末のだしのもとやだしパックを使っても。その場合は貝類や野菜などのうまみが出やすい具と組み合わせるのがおすすめ。
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書籍では、特別な調味料や道具を使わず、近所で簡単に手に入る食材や、冷蔵庫の残り物で十分おいしく作れるレシピが満載!
ぜひあわせてチェックしてみて。
『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』( 笠原将弘 著/主婦の友社)
冷蔵庫の残り物で作れる。シンプルなのに満ち足りる。頑張らなくてもいいのにしみじみおいしい、笠原流! 究極2品献立のススメ。予約の取れない日本料理店「賛否両論」。その店主がいま提案する献立が「汁とめし」。すぐに作れて栄養満点、嬉しい一食が今日から作れるようになります! 食材の組み合わせや作りやすさに特化した汁物とごはん物の厳選レシピ、計84品を収録。まずは一日のうちの一食を「汁とめし」に変えてみてください。いま一度、日本の食生活の原点を笠原さんと一緒に見つめ直してみませんか?