更年期と仲良くするために把握しておきたいこと
月経が永久に止まってしまった状態を閉経といいます。月経が来ない状態が12ヶ月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としています。更年期は、閉経年齢をはさんだ約10年前後、卵巣の機能が衰え始め、最終的にその機能が停止する時期をいいます。
日本人の平均閉経年齢は51歳ですが、個人差があり、早ければ40歳代前半、遅ければ50歳代後半になる人もいます。だいたい40歳前後から卵巣の機能が徐々に低下し、排卵の回数も徐々に少なくなることから更年期がはじまります。
更年期と耳にすると、顔がほてる、手足や腰が冷える、息切れや動悸がする、怒りやすくイライラする、頭痛、めまい、肩こり、腰痛などの不快な症状があるものを考える人も多いでしょう。
更年期障害は、卵胞ホルモンの分泌量が低下するために不快な症状が起こるのですが、不快症状だけの問題なら我慢するという手段もあります。しかし、それだけではない問題があるのです。
卵胞ホルモン(エストロゲン)は、子宮、卵巣、膣の働きを活発にすることだけでなく、「善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす」「骨を強く丈夫にし、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎ、骨量を調節する」「脳の活動を活発にする」などの働きもあります。
そのため、不快症状にあわせて、骨粗しょう症や高脂血症、認知症を予防することも考えていかなくてはなりません。今まで十分に分泌されていたホルモンが急に分泌されなくなるのですから、からだに変調があるのは当たり前のこと。きちんとその状態を把握しておくことが必要です。
更年期障害の治療はどのように行う?
ほてりなどの不快な症状の主な原因は、女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら低下していくことですが、その上に加齢などの身体的因子、成育歴や性格などの心理的因子、職場や家庭における人間関係などの社会的因子が複合的に関与することで発症すると考えられています。
まず十分な問診を行ったうえで、基本的にホルモン補充療法が治療の中心となります。それ以外に生活習慣の改善や心理療法、女性ホルモン以外の薬物療法(漢方や向精神薬など)を使います。
この時期に起こるさまざまな問題は、かかりつけの婦人科医と一緒に乗り越えていきましょう。
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浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正(あさだ・よしまさ)
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果”を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。