宝塚歌劇団男役を卒業し、俳優として活躍を続ける珠城りょうさんの今をお届け!
PARCO PRODUCE 2023『マヌエラ』が絶賛公演中! 宝塚歌劇団の月組トップスターを務めた珠城りょう(たまき・りょう)さんの、退団後初主演作品として話題を呼んでいます。
そこで、同じく元タカラジェンヌで今はOggi専属読者モデルの力丸莉帆さんがインタビュー。力丸さんは珠城さんの2期下なので、違う組に所属していたとはいえどタカラヅカの先輩! 絆が深い元タカラジェンヌたちの、ここでしか読めないあれこれもお話しいただきました。
仕事や仲間に対して誠実に向き合う姿勢を、昔も今もいちばん大切にしています
力丸さん:退団後、舞台や映像などいろいろな作品に出られていますが、タカラヅカ時代とお仕事への向き合い方や感覚の違いはありますか?
珠城さん:タカラヅカにいた時は、自分の好きなことがそのままお仕事につながっていたから、芸事とお仕事の線引きを自分たちで意識的にしないといけないと思っていたのね。習い事の延長ではなく、お金をいただいて舞台をお見せするお仕事であるということ。タカラヅカは、みんなで稽古して集団で突き詰めていくじゃない? 演出家の方がいらっしゃる時以外にも、自分たちでクオリティを高めていく時間も大事だったから、「みんなでやる」っていうちょっと部活っぽい印象があるのかもしれない。
今は、個人個人がきちんと訓練してきて、それぞれの持っているものをその場で合わせていくという現場なんです。必要以上に、自分たちだけで突き詰めていく機会が少なくなっていることに、集団で作る宝塚歌劇と、個々で活動している俳優が集まる座組みは違うことを実感したかな。ひとりひとりが担っている責任は大きいから、早い段階で方向性を噛み砕いて稽古場でアプローチしていく必要があるなと感じています。
力丸さん:逆に、お仕事に関して変わらないものはありますか?
珠城さん:いただいたお仕事や、そこでご一緒させていただく方たちに誠実に向き合っていくということです。作品に取り組む姿勢や、初めてお会いする方々に対していつも心をフラットにしていたいかな。自分を変に飾ろうとせず、気負いなく懸命に取り組んでいくことは変わりなく大切にしていきたいですね。
力丸さん:オンとオフの切り替えはどうされていますか?
珠城さん:家でも稽古場でもお仕事をすると休まる場所がなくなってしまうから、必要以上に家にお仕事を持ち込まないようにする。台本を覚えるのは家でになりますが、お仕事は仕事場、家は休む場となれるように意識しています。
力丸さん:オンのスイッチはどんな時に入りますか?
珠城さん:タカラヅカにいた時は、家から一歩出たら「男役・珠城りょう」だった。いつどこでファンの方に見られても恥ずかしくないように生活をしないと、と思っていたからね。男役でなくなった今は性別を超えて生活するわけではないから、気負わなくなったかな。今日のように取材を受ける時、セリフを言うために稽古場のフロアに立った時などは確実にオン。でも、本当に素の自分に近い状態でいられることが多くなったから、それは退団後の大きな変化かもしれないです。
力丸さん:お仕事に行く時の必需品を教えてください。
珠城さん:なんだろう…。あ、いつもペンケースと付箋は持ち歩いてる。最近、シンプルなレザーのペンケースに買い替えたの。台本で気になった部分やなにかを言われた時にメモを取ったり、譜面に書き込んだりするから必須です。
音楽が好き! ライブツアーを経て音楽の聴き方が変わりました
力丸さん:在団中と今では、時間の使い方も大きく変わりましたか?
珠城さん:きちんとお休みが取れるようになったから、朝ゆっくり起きて「天気がいいからカフェに行こうかな」と特に予定を立てることなくふらっと出かけたり。そんなすごく普通でなにげない日常に喜びを感じます。時間を贅沢に使えているからかな。先日も、ふと思い立ってドライブに行ったりとか。
現役の時は数少ない休日に、美容院に行って、体のメンテナンスをして、お仕事用の服を買って… とスケジュールをギチギチに決めていたから。早くからサロンの予約を取ったりしてね。
力丸さん:はい、すごくわかります! 珠城さん、自分で運転して出かけるんですか?
珠城さん:うん、どこでも自分で行くよ。普通にスーパーに行ったりもするけど、全然バレないんです(笑)
力丸さん:珠城さんが今、楽しんでいることやハマっていることを教えてください。
珠城さん:ずっとコールドプレイが好きで、最近また熱が上がってきていて。昨年11月にやらせていただいたライブツアーはバンド編成だったので、素晴らしいミュージシャンの方々とご一緒したんです。それがきっかけで音楽の聴き方が変わったの。今まではボーカルをメインに聴くことが多かったのですが、楽器や音のタッチに耳を傾けるようになったら、いつも聞いていたはずの曲のイメージが変わって楽しいんですよ。「ここでこのギターのサウンドが入るからいいんだ」「ドラムのこのビートが締めてるなぁ」とか。これは自分でも好きな変化。
タカラヅカではオーケストラがあったけれど、演者の人数が多いから、ステージ上で音合わせをしていたじゃない? 今回のライブでは何度もバンドリハーサルをやらせていただいて、バンドが自分のボーカルをいかに助けてくれる存在か、ボーカルとバンドが合わさることでより魅力あふれる音楽ができるかということを身をもって学びました。
力丸さん:その変化、とても素敵ですね。珠城さんは音楽をよく聴かれるんですか?
珠城さん:そう、コールドプレイ以外にもインストゥルメンタルの曲もよく聴くよ。ピアニストの扇谷研人さんとか。シンガーソングライターの大石昌良さんとコラボしている楽曲が、すっごくいいの。『プチカフェ』というシリーズで、ディズニーのバラードコレクションもあって、おすすめです。
「一色屋」のいか味のがんこ焼きは子供の頃からの大好物
力丸さん:私の同期の花乃まりあ(かの・まりあ)から、「珠城さんの肌がとにかくキレイだから秘密を知りたい」という質問がきまして。日頃から気をつけていることはありますか?
珠城さん:花乃ちゃん(笑)! 私は韓国コスメが好きで、新大久保に行ってお店の人にいろいろ聞いて買っています。自分の肌に合ったスキンケアを、朝晩、ちゃんとやるのが秘訣。導入液、化粧水、美容液、乳液っていう決められたアイテムをきちんとルーティンでやる。ひとつつけたら少し時間を置いて、次のアイテムをつけ、また時間を置いて次… って丁寧にやることが合っているのかも。
力丸さん:基本を積み重ねていくことが大事なんですね。
珠城さん:そう、それをやっていたら肌が変わってきた。肌自体は強い方ではあるのですが、乾燥しやすかったの。でもその朝晩ルーティンをきっちりやったら、季節の変わり目も揺らがなくなってきて。
力丸さん:あとでこっそり、何を使われているのか教えてください(笑) 今回の『マヌエラ』では北九州公演もあるということで、北九州出身の私はとてもうれしいです。
珠城さん:おいしいものを教えてほしい!
力丸さん:「シロヤ」という昔からあるパン屋さんがおすすめです。練乳が入ったサニーパンというのが、安くておいしいんです。珠城さんのご出身の愛知のおいしいものはなんですか?
珠城さん:地元の「一色屋」というお店のおせんべいを、小さい頃からめちゃくちゃ食べていました。えびせんべいが人気なんだけど、私はいかベースのものが好き。がんこ焼とか、いかぶつとか、梅味もあったりして、すっごくおいしいの。止まらなくて1袋食べちゃう(笑) いかの姿焼は、店頭で焼いてすぐに切ってくれるんです。最近、いかのがんこ焼は成城石井で売っているから、見つけてみてください。
力丸さん:すごく気になります! メモしておこう…。最後に、珠城さんとの思い出をお話したいのですが、私は覚えていてくださったことがうれしいです。
珠城さん:2期違いだから音楽学校は重なりませんでしたが、話したことは結構あるよね。桜舞しおん(おうま・しおん)くん(力丸さんの芸名)というより、力丸莉帆ちゃんというイメージが強いです。芸名を覚えるのに時間がかかったの。
組が違うとなかなか接点がないからね。(力丸さんがいた)花組さんが大劇場公演をしている時は(珠城さんがいた)月組はお稽古をしていて、月組の大劇場公演が始まると花組は東京公演に行っちゃうからスケジュールが合わなくて。花組さんの同期とも遭遇率が低かったの。でもりほちゃんのことはとても覚えています。お掃除分担が一緒なんだよね。
力丸さん:はい。私は、珠城さんと同期の花組の先輩伝いでいただいた暑中見舞いを、お守りのようにずっと持っていました。あと、私たちの期は初舞台が月組さんで、しかも珠城さんが新人公演主演をされた『THE SCARLET PIMPERNEL』。とても思い出深いです。
珠城さん:そうだよね。花乃ちゃんもその記憶が濃いって言ってた。共演した『8人の女たち』の時にベルベッドの衣装を着たら、「パーシーの色だ!」って。そこにいくんだ? って笑ったの(笑)
力丸さん:今日はありがとうございました! 舞台『マヌエラ』も楽しみにしています。
撮影/五十嵐美弥 ヘアメイク/MIRAN(Rouxda) スタイリング/久保コウヘイ 構成/淡路裕子
PARCO PRODUCE 2023『マヌエラ』公演情報
【Story】
永末妙子(珠城りょう)はSKDで将来を期待されながらも、上海に駆け落ちし、生きていくためにダンスホールの踊り子となった。そこで、かつてムーラン・ルージュのスターであったパスコラ(パックン)に見いだされ、国籍不明で美貌の一流スターダンサー“マヌエラ”が誕生する。時は第二次世界大戦直前。日本海軍士官として上海に滞在する和田(渡辺 大)と惹かれ合いつつ、反発するふたり。妙子が街中で出会った、追われる青年チェン(宮崎秋人)やクラブに出入りする怪しい貿易商の村岡(宮川 浩)など、マヌエラを取り巻く人々も時代の波の中でうごめきながらそれぞれが確かに上海に生きていた…。
【Information】
<東京公演>
日程:2023年1月15日(日)〜1月23日(月)
会場:東京建物Brillia HALL(豊島区芸術文化劇場)
チケット:S席¥12,000、A席¥10,000、U-25チケット¥6,000(全席指定・税込)
<大阪公演>
日程:2023年1月28日(土)・29日(日)
会場:森ノ宮ピロティホール
チケット:¥12,800(全席指定・税込)
<福岡公演>
日程:2023年1月31日(火) 18:00開演
会場:北九州芸術劇場 大ホール
チケット:¥12,000、U-25チケット¥6,000(全席指定・税込)
脚本:鎌田敏夫
演出・出演:千葉哲也
音楽:玉麻尚一
振付:本間憲一
出演:珠城りょう、渡辺 大、パックン(パックンマックン)、宮崎秋人、千葉哲也、宮川 浩ほか
▶︎︎公式サイト
俳優 珠城りょう
10月4日生まれ、愛知県出身。2008年、宝塚歌劇団に94期生として入団。月組公演『ME AND MY GIRL』で初舞台。その後、月組に配属。10年、『THE SCARLET PIMPERNEL』で新人公演初主演。入団3年目での抜擢となった。その後も5度に渡って新人公演主演を務める。13年、初主演を務めた『月雲の皇子』バウホール公演は好評を博し、同年12月にも再演された。16年、入団9年目で月組トップスターに就任。近年では極めて異例のスピード出世となった。2021年8月、『桜嵐記/Dream Chaser』東京公演千秋楽をもって、宝塚歌劇団を退団。退団後の活動は、21年「明日海りお 1st Concert-ASUMIC LAB-」ゲスト出演、22年4〜5月「珠城りょう 1st concert『CUORE』」、22年5〜6月TBS日曜劇場「マイファミリー」など。
▶︎公式サイト
▶︎Instagram:ryo_tamaki_mg
▶︎Twitter:ryotamaki_staff
オッジェンヌ 力丸莉帆
福岡県出身。9年間宝塚歌劇団に所属していたという華やかな経歴の持ち主で、退団後は不動産関連会社で主に広報を担当。いちばんの趣味は舞台鑑賞!
▶︎Instsagram:@riho_rikimaru