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この記事のサマリー
・「煩い」は、形容詞なら「うるさい」、名詞なら「わずらい」と読みます。
・「煩い(うるさい)」には、音が耳障り、注文が細かい、しつこく邪魔という複数の意味があります。
・「五月蝿い」は、「煩い(うるさい)」と意味は同じです。
皆さんは、「煩い」という文字を見た時、どのように読みますか? 「うるさい」と読むのか「わずらい」なのかよくわからないと思っている人も多いはず。
今回は、読むのに少し迷ってしまう「煩い」の意味や使い方、類語などを解説します。

「煩い」とは?
まずは、読み方から確認しましょう。
2つの読み方
「煩い」には、「うるさい」と「わずらい」という2つの読み方があります。
形容詞として、音が耳障りであることや、細かな注文が多くてわずらわしい状態などを表す場合は「うるさい」と読みます。「煩い音」「工事の音が煩い」などがその例です。
一方、心配や悩み、苦労の種となるものを表す名詞の場合は「わずらい」と読みます。「煩いを抱える」「煩いの種」のように使われます。
なお、「煩い」を「わずらわしい」と読むことはできません。「わずらわしい」と読む場合は、送り仮名を付けて「煩わしい」と表記します。見た目が似ているため、読み方と送り仮名を混同しないようにしましょう。
「煩」という漢字の意味
続いて、「煩」という漢字について確認しましょう。「煩」は音読みで「ハン」「ボン」と読み、苦しむこと、悩ますこと、面倒なことなどに関係する漢字です。
「ハン」と読む熟語には、物事が込み入っていてわずらわしいことを表す「煩雑(はんざつ)」や、仕事が多くて忙しいことを表す「煩忙(はんぼう)」があります。「ボン」と読む例には、心身を悩ませる欲望や迷いを指す仏教語の「煩悩(ぼんのう)」があります。
参考:『新選漢和辞典 Web版』(小学館)
「煩い(うるさい)」の意味と使い方
まずは、「煩い(うるさい)」の意味と使い方をチェックしていきましょう。
意味
「煩い(うるさい)」には、主に次のような意味があります。
物音や声が大きすぎて、耳障りに感じられること。注文、主張、批評、規則などが細かかったり多かったりして、わずらわしく感じられること。虫などがしつこくつきまとい、邪魔に感じられること。また、写真の背景や装飾などに物が多すぎて、不快または落ち着かないと感じる場合にも使われます。
辞書では次のように説明されていますよ。
うるさ・い【▽煩い/五=月=蠅い】
[形][文]うるさ・し[ク]
1 物音が大きすぎて耳障りである。やかましい。「隣の話し声が―・い」
2 注文や主張や批評などが多すぎてわずらわしく感じられる。細かくて、口やかましい。「―・い小姑(こじゅうと)」「規則が―・い」「ワインにはなかなか―・い」
3 どこまでもつきまとって、邪魔でわずらわしい。また、ものがたくさんありすぎて不愉快なさまにもいう。しつこい。「ハエが―・くつきまとう」「この写真はバックが―・い」
4 いやになるほどにすぐれている。
「御心とどめて物宣ふにこそあめれ。―・き人の幸ひなりや」〈宇津保・沖つ白浪〉
5 いやになるほどに、こまごまといきとどいている。
「れいの―・き御心とはおもへども、えさは申さで」〈源・夕顔〉
6 技芸がすぐれている。
「織女(たなばた)の手にも劣るまじく、その方も具して、―・くなむはべりし」〈源・帚木〉
[補説]古くは、いきとどいて完全であるさまを、わずらわしく感じる意と、よしとする意の両面からいった。
[派生]うるさがる[動ラ五]うるさげ[形動]うるささ[名]
[用法]うるさい・やかましい――「人々の叫ぶ声がうるさい(やかましい)」「窓を打つ風の音がうるさい(やかましい)」「ブルドーザーの音がうるさい(やかましい)」のように、不快に感じる声・物音・騒音などには相通じて用いられる。◇「蚊のブーンという羽音がうるさい」など、必ずしも大きな音ではないが、わずらわしく感じられるときは「うるさい」が用いられる。◇また、「うるさい」は「規制がうるさい」「世間がうるさい」「髪が長すぎて、うるさい」「装飾がごてごてとうるさい」など、音以外の不快なものにも用いられる。◇「親がうるさい(やかましい)」「味にうるさい(やかましい)」「時間にうるさい(やかましい)」など、「あれこれ言う」の意味では相通じて使われるが、「やかましい」のほうががみがみ言う度合いが強い感じである。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「味に煩い」「時間に煩い」のように、特定の事柄について好みや評価基準が細かいことを表す用法もあります。この場合は、必ずしも単純な悪口ではなく、その分野に詳しい、こだわりが強いという意味を含むことがあります。
使い方
・「隣室から聞こえる話し声が煩くて、仕事に集中できない」
音や声が耳障りで、集中を妨げられていることを表します。
・「上司は資料の表記や数字の扱いに煩い」
細かな基準やこだわりがあり、厳しく確認することを表します。
・「彼はコーヒー豆の産地や焙煎方法に煩い」
特定の分野について詳しく、好みや評価基準が細かいことを表します。
・「窓を開けると、ハエが煩く飛び回っていた」
虫がしつこく動き回り、邪魔でわずらわしく感じられることを表します。
・「この資料は文字や図が多く、少し画面が煩い」
画面上の要素が多すぎて、見た目が落ち着かないことを表します。
「煩い」と「五月蝿い」の違い
「煩い」と「五月蝿い」は、どちらも「うるさい」と読みます。『デジタル大辞泉』(小学館)や『日本国語大辞典』(小学館)ではどちらも同じ意味として併記されていますよ。
「煩い(わずらい)」の意味と使い方
続いて、もう一つの読み方、「煩い(わずらい)」について解説します。
意味
「煩い(わずらい)」は、思い悩むことや、心配、苦労、悩みの種となるものを表します。「煩いを抱える」「煩いの種」のように、名詞として使うのが基本です。
同じ「わずらい」と読む「患い」は、主に病気や身体の不調を表す際に使われます。
「煩い」は心を悩ませる事柄、「患い」は身体の病気というように、文脈に応じて表記を使い分けます。
辞書では次のように説明されていますよ。
わずらい〔わづらひ〕【煩い/患い】
1 (煩い)悩むこと。また、そのもととなるもの。苦労。心配。「―の種」
2 (患い)病気。やまい。「長の―」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「思い煩い」は、あることについてあれこれと思い悩むことです。「恋煩い」は、恋愛への思いが強く、病気にかかったように心身が落ち着かない状態を比喩的に表します。
使い方
・「新しい部署での役割について、何かと思い煩う日が続いている」
仕事上の課題について、あれこれと思い悩んでいることを表します。
・「未処理の契約が、担当者にとって煩いの種になっている」
未解決の問題が、心配や悩みの原因になっていることを表します。
・「彼女は好きな人のことが頭から離れず、恋煩いの状態だ」
恋愛への思いが強く、心が落ち着かない状態を表します。
・「複数の案件を抱え、今後の進め方に思い煩っている」
さまざまな可能性を考え、判断に悩んでいることを表します。
「煩い(うるさい)」の類語
「煩い(うるさい)」には、単純に物音がうるさいという意味の他にも「わずらわしい」という意味が含まれています。ここでは、そのニュアンスを含む「面倒」と「厄介」の意味を解説しましょう。

面倒
「面倒」は、手間がかかったり、簡単には解決できなかったりして、わずらわしく感じられることを表します。「面倒な手続き」「断るのも面倒だ」のように使います。
「煩い」と意味が重なるのは、主に、手間がかかって気が進まない、わずらわしいという場合です。音が耳障りであることを表す「煩い」は、「面倒」へ置き換えられません。
厄介
「厄介」は、扱うために手数がかかり、わずらわしいことを表します。「厄介な問題」「厄介なことに巻き込まれる」のように使います。
「面倒」が、主に手間を負担に感じる気持ちを表すのに対し、「厄介」は、問題や事柄そのものが扱いにくく、解決に手数がかかる場合に使われます。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「煩い(わずらい)」の類語
「煩い(わずらい)」は心を悩ますことを意味するため、それに近い「苦労」や「心配」などが類語に挙げられます。日常的によく使う言葉ですが、意味をおさらいしておきましょう。

苦労
「苦労」は、精神的または肉体的に力を尽くし、苦しい思いをすることを表します。
「煩い」が心配や悩みの原因となるものを指すのに対し、「苦労」は、その問題に対応するための努力や、実際に経験した負担まで含む言葉です。そのため、文脈によって意味が近いことはありますが、常に置き換えられるわけではありません。
心配
「心配」は、物事の先行きや現在の状況を気にして、心を悩ますことを表します。「煩い」は、心を悩ませる問題や負担そのものを指すことがあります。一方、「心配」は、その問題を気にかけている心理や状態に重点が置かれる言葉です。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「煩い」に関するFAQ
ここでは、「煩い」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「煩い」の読み方は何ですか?
A.「煩い」には、「うるさい」と「わずらい」の2つの読み方があります。音や状態を表す形容詞の場合は「うるさい」、心配や悩みの種を表す名詞の場合は「わずらい」と読みますよ。
Q2.「煩い」と「五月蝿い」の違いは何ですか?
A.どちらも「うるさい」と読み、意味に明確な違いはありません。
Q3.「煩い」を「わずらわしい」と読めますか?
A.「煩い」を「わずらわしい」と読むことはできません。「わずらわしい」と読む場合は、送り仮名を付けて「煩わしい」と表記します。
最後に
「煩い(うるさい)」と「煩い(わずらい)」、2つの読み方と意味は理解できましたか? どちらも違った意味を表す言葉ですが、「煩」という文字が持つ「頭が痛い、かき乱される」という意味を思い出すと、共通したニュアンスが感じ取れるはずです。ビジネスシーンで、メールや文書などでこの語句を見つけたときは、本記事を参考に正しく読み分けて見てくださいね。
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