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この記事のサマリー
・「早い」は、時刻や時期が前倒しであることを示します。
・「速い」は、動作や進行のスピードを表します。
・英語では「早い」は early、「速い」は fast/quick で表現されます。
ビジネスメールを書くときに「早い」と「速い」のどちらを使ったらいいか、迷った経験はありませんか? 例えば「返事がはやい」と表現するとき、どちらの漢字を使えばいいか確信のない人も多いはず。
そこで、本記事では、辞書の定義に基づきつつ、職場や日常での実際の使い方を具体例とともに解説していきます。
「早い」と「速い」の違いを徹底解説
まずは基本的な違いから確認しましょう。
「早い」は時間や時期に関わる
「早い」は「時期や時刻が前」であることを意味するときに使います。例えば「朝早い電車」「納期より3日早い」といった表現は、基準の時刻や時期より前であることを指します。
また「結婚するにはまだ早い」のように「時期尚早」を表す場合もあります。
「速い」は速度やスピードに関わる
「速い」は「動作や進行がすみやかである」ことを示します。「足が速い」「流れの速い川」「計算が速いコンピューター」など、物理的なスピードや処理速度を表現するときに用いられます。
また「返事が速い」と書けば、対応や反応のスピード感を的確に伝えることができます。仕事の評価につながる場面でも、「速い」を選ぶことでニュアンスを正しく届けられるのです。
速い・早いそれぞれの意味について、辞書では次のように説明されています。
はや・い【早い/速い】
[形][文]はや・し[ク]
1 (速い)物事の進む度合いが大きい。動作・進行などがすみやかである。「足が―・い」「返事が―・い」「流れの―・い川」「のみこみの―・い人」⇔遅い。
2 (早い)ある基準より時間があまり過ぎていない。また、ある基準より時期が前である。「朝―・い電車に乗る」「―・いうちに手を打つ」「卒業が一年―・い」「梅雨入りが―・い」⇔遅い。
3 (早い)まだその時期ではない。その時がまだきていない。「結婚するにはまだ―・い」「あきらめるのは―・い」
4 (早い)簡単である。てっとり早い。「調べるより聞くほうが―・い」「自分でするのがいちばん―・い」
5 (「…するがはやいか」「…するよりはやく」の形で)時間をおかないで次の動作や物事が行われるさまを表す。「家に帰るが―・いかテレビの前に座り込む」→早く
[補説]1の「流れのはやい川」などでは「疾い」「捷い」とも書く。
[派生]はやさ[名]
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「早い」と「速い」の使い分けポイント
混同しやすい「早い」と「速い」ですが、場面ごとに整理すれば判断はシンプルです。ここでは、実際の場面ごとに分けて具体的に確認していきましょう。
人に関する場合
「彼は仕事が速い」と言えば、処理スピードや効率がいいことを表します。一方、「彼は出社が早い」と表現すれば、予定時刻より前に来る姿勢を指します。
同じ「はやい」でも、ビジネスにおいては「速い=動き・速度」「早い=時間・時刻」と受け取られ方が異なるため、場面に応じた使い分けが大切です。
出来事や予定に関する場合
「今年は桜の開花が早い」「梅雨入りが早い」などは、季節や出来事が基準より前に訪れたことを表します。この場合は「時間・時期」のニュアンスなので「早い」を用いるのが適切です。
物や動作に関する場合
「車が速い」「処理が速い」といった表現は、動きや進行のスピードを表しています。この場合は「速い」を選びます。例えば「このパソコンは処理が速い」と書くと、性能の高さを的確に伝えられます。

英語における「早い」と「速い」の違い
多くの人が気になるのが、「英語ではどう表現するのか?」という点ではないでしょうか? それぞれ紹介していきましょう。
early=早い(時期・時刻)
「早い」のうち、時間や時期に関わる場合は“early”を使います。例えば「出社が早い」は“He comes to work early.”、「締め切りが早い」は“The deadline is early this year.”という具合です。
fast/quick=速い(スピード)
「速い」は、動作や進行のスピードを表す“fast”や“quick”で表現できます。「車が速い」は“The car is fast.”、「対応が速い」は“Her response was quick.”と表せます。
参考:『小学館 オックスフォード英語類語辞典』(小学館)

「早い」と「速い」を正しく使うための例文集
ここまで解説した違いを踏まえて、実際にどのように使えばいいかを確認しましょう。ここでは、ビジネスと日常それぞれの場面でそのまま応用できる例文を紹介します。
ビジネスメールでの例文
【早い】
・「早い段階でご相談いただき、誠にありがとうございます」
・「プロジェクト開始が予定より早まりましたので、ご連絡差し上げます」
【速い】
・「速いレスポンスのおかげで、円滑にプロジェクトを進められました」
・「新商品の出荷が通常より速いペースで進んでおります」
日常会話での例文
【早い】
・「今日は仕事が早く終わったから、久しぶりに寄り道しよう」
・「駅に着くのが早すぎて、まだ改札が開いていなかった」
【速い】
・「あの選手はシュートの動作が速くて、相手が反応できない」
・「このアプリは起動が速いから、すぐに使えて便利だね」
「早い」と「速い」に関するFAQ
ここでは、「早い」と「速い」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q. 「行動がはやい」と言いたいときはどちらを使ったらいいですか?
A. 行動のスピードを指す場合は「速い」が正解です。
「彼女は行動が速い」と表現することで、機敏さや対応のすばやさを伝えられます。
Q. 「仕事がはやい人」は「早い」と「速い」どちらが自然ですか?
A.能率や処理スピードを評価する場合は「仕事が速い人」と書くのが適切です。
「早めに仕事を始める人」であれば「早い」でも意味は通ります。
最後に
「早い」と「速い」は、どちらも「はやい」と読むため混同しやすい言葉ですが、意味の軸ははっきり分かれています。時間や時期を示すときは「早い」、スピードや動作の速さを表すときは「速い」。この基本を押さえるだけで、どちらを選べばいいか、迷わなくなります。
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