目次Contents
この記事のサマリー
・「斟酌」とは、相手の事情や心情をくみ取ったり、考慮して手加減する意味を持ちます。
・「斟酌」には、複数の要素を照らし合わせ取捨選択する意味もあります。
・「忖度」は相手の意向を推し量る語で、判断を軽くする手心までは含みません。
「斟酌」という言葉は、ニュースや裁判に関連する記事などで見かけるものの、正確な意味や使いどころを説明できる人は多くないでしょう。相手の事情をくみ取る点では「忖度」と似ていますが、実は使い分けのポイントがあります。
この記事では、辞書に基づいた「斟酌」の意味を整理し、具体的な例文や類語との違いを通して、誤解なく使うための基礎知識をわかりやすく解説します。
「斟酌」の読み方と意味、「忖度」との違いを確認
まずは、「斟酌」の読み方と意味から確認していきましょう。
読み方と意味
「斟酌」は「しんしゃく」と読みます。初めて見ると難しく感じられるかもしれませんね。意味は複数あり、1.相手の事情や心情をくみとること、2.複数の要素を照らし合わせて取捨すること、3.言動を控えめにすること、などがあります。
辞書では、次のように説明されていますよ。
しん‐しゃく【×斟酌】
[名](スル)《水や酒をくみ分ける意から》
1 相手の事情や心情をくみとること。また、くみとって手加減すること。「採点に―を加える」「若年であることを―して責任は問わない」
2 あれこれ照らし合わせて取捨すること。「市場の状況を―して生産高を決める」
3 言動を控えめにすること。遠慮すること。「―のない批評」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「斟酌」は、水や酒をくみ分ける意からきた言葉です。「斟」には「くむ、おしはかる」、「酌」には「くむ」といった意味があり、相手の事情や心情をくみとって考慮したり、手加減したりするニュアンスにつながります。
「忖度」とは何が違うの?
似た意味を持つ言葉に「忖度」があります。「忖度」は「そんたく」と読み、こちらもニュースなどで見聞きする言葉です。
「忖度」は、「他人の心をおしはかること。また、おしはかって相手に配慮すること」という意味を持ちます。一方「斟酌」は、相手の事情や心情をくみとった上で、考慮して手加減する(大目に見る)ところまで含む言葉。
相手の意向を読み取る話なら「忖度」、事情を考慮して手心を加える話なら「斟酌」が合うでしょう。

「斟酌」の使い方を例文でチェック
ここでは「斟酌」の使い方を、具体的な例文を用いてチェックしましょう。
彼の身勝手な行動は、斟酌の余地がない
「斟酌の余地がない」というのは、つまり「事情を考慮して手加減(大目に見ること)をする余地がない」という意味になります。よく使うフレーズですので覚えておきたいですね。
会議の生産性を高めるためにも、斟酌せずに感じていることや疑問点を発言してください
相手の心情を汲み取らずに、自分の思っていることを優先してほしい場合に、「斟酌せずに」「斟酌なしに」などと表現することがあります。
加害者が未成年であることを斟酌すると、今回の減刑は仕方がないだろう
「斟酌」は裁判などでよく使われる言葉です。「情状酌量」という四字熟語を聞いたことがありますか? 判決の場で「情状酌量の余地がある」などと使われますが、意味は「罪を犯した者の同情すべき事情を考慮し、刑罰を軽くすること」です。
この言葉にも「酌」という漢字が使われており、相手の事情を汲み取り手加減するという意味になります。

「斟酌」の類語
「斟酌」の類語表現を例文とあわせて紹介します。一緒に覚えておくと役立つ言葉ばかりですよ。
勘案
「勘案」は「かんあん」と読み、意味は「いろいろな事情や物事を考え合わせること、考えをめぐらすこと」です。ビジネスの場でもよく使われる言葉になります。
例文:「予算やスケジュールなどを勘案すると、この取引を進めるのは厳しいだろう」
推察
「推察」は「すいさつ」と読みます。「推察」は「事情や他人の心情などを思いやること」。「推」という漢字は「おしはかること」、「察」には「察する」という意味が含まれているので、相手の気持ちを推しはかるという意味で「斟酌」と似た意味を持ちますね。
例文:「彼の言葉の端々から推察するに、まだ迷いが残っているようだ」
配慮
「配慮」は「はいりょ」と読み、「事情を踏まえて、相手をおもんばかり心を込めて取り計らうこと」という意味を持ちます。ビジネスシーンでも多く使われ、感謝の気持ちを伝える場面などで重宝する言葉ですね。
例文:「この度はご配慮いただき誠にありがとうございます」
取り計らう
「取り計らう」は「物事がスムーズに運ぶように対処すること、相手を気遣い取り扱うこと」という意味で使われます。
例文:「ご都合に合わせて日程を取り計らいますので、候補日をいくつかください」
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)

「斟酌」の英語表現
「斟酌」を英語で表現したい時は、“take something into consideration”が使えます。“consideration”は「考慮する」という意味を持ち、“take something into(含める)”というフレーズを組み合わせることで、「考慮に入れる」、つまり「斟酌する」と似たようなニュアンスを表現できます。
また、“make allowances for ~”という表現も、「~を考慮に入れる」「~を大目に見る」などという意味で、「斟酌」を英語で表したい時には活用できるでしょう。
<例文>
“The punishment was reduced taking the extenuating circumstances into consideration.”
(情状酌量の余地があるとして減刑された。)
“We must make allowances for his youth.”
(彼の若さを斟酌しなければならない。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「斟酌」に関するFAQ
ここでは、「斟酌」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「斟酌」とは簡単にいうとどういう意味ですか?
A. 相手の事情や心情をくみ取ったり、考慮して手加減することを意味します。
Q2. 「斟酌」と「忖度」はどう使い分ければいいですか?
A. 意向を読み取る段階なら「忖度」、事情を考慮して手加減をするなら「斟酌」が向いています。
Q3. 「斟酌の余地がない」はどんな場面で使いますか?
A. 事情を考慮しても大目に見ることができない場合に用いられます。
最後に
「斟酌」は相手の事情や心情をくみとり、必要に応じて手加減するという意味合いを持つ言葉です。ビジネスや裁判など、事情を考慮して判断する場面で見聞きすることが多いので、使いどころを押さえておくと安心ですね。
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