日本人を縛る鎖「不可能思考」を遠ざければ“運がいい人”になる!
インドには、こんなことわざがあります。
「登らない者は、落ちることもない」
He who does not climb, will not fall either.
たしかに、山に登らなければ転がり落ちることはありません。でも、それでは頂の向こうに広がる雄大な景色を見ることもできないのです。この短い言葉の中には、人生にもビジネスにも通じる多くの示唆が含まれています。
一方で、日本には「転ばぬ先の杖」という言葉があるように、失敗しないことを最優先に考える気質があるように思います。
この、まず“できない理由”にフォーカスする「不可能思考」こそが、日本人の行動を縛る鎖になっていると、『「運がいい人」になるための小さな習慣』の著者、サチン・チョードリー氏は言います。
そして、この「不可能思考」を克服するのは決して難しいことではない、とも。
なぜなら「不可能思考」の逆こそが「可能思考」であり、今ある視点をそのまま反転させれば、物事はとたんにポジティブになるからです。
幼少時に父親に連れられて来日し、日本に憧れたサチン氏は、1996年に再来日しました。しかし、飛び込みの営業マンとしてスタートするも成績はふるわず、貯金わずか3万円に。そこから、考え方と行動を大きく変え、名立たる大企業での異文化経営・異文化戦略を指導する国際コンサルタントとして活躍するまでになったのです。
2016年には世界三大投資家であるジム・ロジャーズ氏とともにビッグイベント「MASTER OF WEALTH(マスターオブウェルス)セミナー」を成功させました。
サチン氏は、ビジネスを通じて数々の成功者と知り合う中で、彼らがみな自然とこの「可能思考」を身に付けていて、それによって「運」を引き寄せていることに気づき、自分も実践したと言います。
本書から、サチン氏が実際にビジネスや生活で実践している、「可能思考」を手に入れる習慣を紹介しましょう。
◆「自分は運がいい」と1日に5回言う
「自分は運がいい」
「自分ならできる」
「必ずうまくいく」
これらの言葉を一日に最低5回、気づいたときに言ってみることです。人は、ポジティブな言葉を発するだけで前向きな気持ちになり、目標を言葉にすることで、その筋道をイメージする生き物。それはつまり、可能思考の扉を開くことと同義です。
また、ポジティブな言葉をくり返し口にする習慣をつけることで、日常生活のなかにあるささやかな幸せが、より鮮明になるはずです。
たとえば、「自分は運がいい」とくり返し口にすれば、日常の中に埋没している「運がいい」ことに自然と目が向くようになります。外へでかける日に空が晴れ渡っていれば、それだけで気持ちも晴れやかになりますし、たまたま飛び込んだレストランで思いのほかおいしい料理にありつけたとしたら、それもまた偶然の巡り合わせよるものです。
そうした見過ごしがちな幸運を、「自分は運がいい」と口にすることで、はっきりと認識できるようになるでしょう。
そして、身の回りにあるたくさんの幸運を発見できれば、何事に対しても前向きになれるのです。だから逆に、むやみにネガティブワードを口にすることも禁止です。
言葉にすることで不安は具体化し、ネガティブな意識が働いてしまうからです。
◆「失敗した未来」をイメージしてみる
「失敗した未来」をイメージしてみる。
これは不可能思考を加速させるように思われるかもしれませんが、そうではありません。
怖くて足がすくんでしまうときは、あえて失敗した場合を想像してください。それが1ヶ月後の自分にどんな影響を与えるか、具体的にイメージするのです。
会社をクビになっていますか?
降格して給料が減っていますか?
仲間からつまはじきにされていますか?
おそらく、そこまでの事態に陥っていないはず。現実はいまと何も変わらないでしょう。
そう、少々の失敗をしたところで、人生は何も変わりません。むしろ、エジソンが言ったように「“うまくいかない方法”がひとつ見つかった」と考えれば、プラスにしか働きません。
人は誰しも、「わからないもの」を過剰に恐れる性質を持っています。あえて失敗した未来に目を向け、それが恐れるに足りないことを知れば、あなたはいまよりもっと自由になります。
◆自分一人で解決できないときは、迷わず人を頼る。ただし…
「可能思考」を身につけるための大きな武器は、「人を頼る」ことです。
自分一人の頭で答えが見つからないのなら、考える頭を2つ、3つと増やしていくのが解決への早道。日本のことわざにも「三人寄れば文殊の知恵」というものがありますよね。
人が増えれば、知見もコネクションも増えることになります。どれだけ考えても見つからなかった答えがたちどころに見つかり、「不可能」が「可能」に変わる瞬間を味わえるでしょう。
ただし、ひとつだけ注意が必要です。
家族、友人、同僚などに、「親しい」というだけの理由でアドバイスを求めるのは、とても危険だということです。
もちろん、その人たちは本気であなたのことを考えて意見をしてくれます。たとえ、自分がよく知らなくても、です。
終身雇用が当たり前の時代に育った親は、転職を引き止めるでしょう。リスクを回避することで平穏無事にやってきた先輩は、あなたの新しいアイデアを否定するかもしれません。
だから、意見を求めるのは「それを知っている人」「経験したことがある人」です。
◆「○○しなきゃ」を「○○したい!」に置き替えるだけで、小さな成功体験を積み重ねられる
サチン氏のまわりにいる成功者は、業種も人種もばらばらですが、ひとつ共通することがあります。
それは、誰もが仕事を心から楽しみ、面白がっていることです。
この「面白がり」こそ、可能思考の重要なキーワードであり、「面白がり」の習慣もまた、視点を変えるだけで簡単に身につけられます。
「○○をやらなきゃいけない」という考えを、「○○をやりたい」と心の中で言い換えることです。もちろん、口に出してみればより効果的です。
たとえば、ウマの合わない上司から飲みに誘われたとき。
あえて「上司と飲みたい!」と口にしてみましょう。うそであってもそう口にすることで、可能思考は高まります。しかも「上司と飲みたい!」という願いは、この後すぐに実現する。これは間違いなくポジティブなフローです。
「明日までに資料を作らなきゃ…」という状況なら、ぼやくのではなく「早く資料を作りたい!」と言い換えてみる。もちろん、これもすぐに実現できるフローです。
こうした言い換えにより、あれほどイヤだったことをやり終えると、それはひとつの成果、成功体験に変わります。
売上増や事業目標の達成などの数値化できる成功はもちろん理想ですが、それがすぐにできれば苦労はありません。
だったら、ポジティブ思考を働かせて、自分で小さな成功体験をつくってしまうのです。
◆耳に入るニュースから人間関係まで、ネガティブを断捨離する
ネガティブの断捨離とは、目にする情報、出会う人、遭遇する体験に関して、ネガティブなものを極力排除し、ハッピーでいるための環境を整えることです。
たとえば、ワイドショーの類はいっさい見ない。痛ましい事故や政治家の不祥事、誰かの罪や失敗が、面白おかしく増幅されて伝えられることが少なくないからです。
また、付き合う人間についても、やはり断捨離をおすすめします。
不平不満ばかりで、建設的な発言をまったくしないヒト。
誰かの悪口、陰口ばかり叩いている人。
他人のゴシップばかりを運んでくる人。
まずはできる範囲で、ネガティブを断捨離しましょう。ちなみにサチン氏は、定期的にスマホの電話帳をチェックして、「この人は最近、ネガティブなことばかり口にするな」と感じる人を、片っ端から削除していくそうです。
SNS全盛の現代は、1〜2年もすると、顔すら思い出せない人が友達リストにいるのではないでしょうか。これも断捨離して身軽になる。
こうして身まわりから徹底してネガティブを排除していけば、自ずとポジティブなものだけに囲まれて過ごす事が出来ます。
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お話を伺ったのは… サチン・チョードリー氏
1973年、ニューデリー生まれ。法人/個人向けの経営コンサルティング、講演・セミナー事業を行うAVS株式会社代表取締役会長。
鳥取県の地域活性化をミッションとする株式会社ITTR代表取締役社長など、複数の会社を経営。上場企業を含む複数の企業コンサルタント、アドバイザーとして経営に参画。
幼少時に外交官の父親に連れられて初来日、バブル期の東京で過ごす。帰国後も当時のきらびやかな印象が忘れられず、1996年に再来日。言葉の壁や差別など不遇の日々を送るが、印僑大富豪から「ジュガール」の教えを受けたことが大きな転機に。いまでは母国インドはもちろん、日本、アジアでも数多くの事業を成功に導く実業家。パナソニックやアクセンチュア、日産、NEC、富士通、横河電機、三井住友銀行コンサルティング、神戸製鋼、JTB、東芝、日立など大企業での異文化経営・異文化戦略を指導する国際コンサルタントとして活躍。
2016年12月には世界三大投資家であるジム・ロジャーズ氏とともにビッグイベント「MASTER OF WEALTH(マスターオブウェルス)セミナー」を成功させた。
自身初の著書『大富豪インド人のビリオネア思考』(フォレスト出版)は、インドに伝わる成功法則「ジュガール」を初めて日本に伝え、ロングセラーに。その他、著書も多数執筆している。テレビ出演も多数。
最新著作「『運がいい人』になるための小さな習慣」(アスコム)が好評発売中。