採卵本番… 実際に終えて感じたこと【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、採卵施術前の私の気持ちや夫と話したことの話をお届けしました。今回は、採卵施術で私が感じたことの話。
ピカピカの採卵室。手術着の医師、看護師。採卵体験は…
ついに迎えた体外受精の採卵当日。
腕に刺した点滴をカラカラ引きずりながら、夫が精索静脈瘤の手術をした時と同じように私も自分で歩いて採卵室へ。といっても部屋自体はすぐ隣だったんですけれどね。夫に「いってらっしゃい」と背中を押されて、扉を開けた瞬間が私の緊張がピークでした。
いつもと同じようにニッコリ微笑む女医のK先生が、ブルーの手術着を着ていたのです。当たり前なのですが、いざ目の当たりにすると不安でいっぱい。麻酔科の先生や看護師のKさんたちも、みんな手術着。そして採卵室がドラマや映画で見る以上にライトでピカピカ光っていて、まさに手術室のような雰囲気。
「あぁぁぁ~」と深いため息にも似た声とともに言葉にできない気持ちがぶわっと押し寄せてきました。
採卵室にはエコー検査の時と同じような足が開くタイプの台があり、そこに座らされたのですが、足が動かないようにベルトみたいな器具で固定され、口には酸素マスクみたいなものが手際よく取り付けられました。私はついに涙目に…。
私「これ…、麻酔っていつ入るんですか?」
震えた声で質問。すると、後ろにいた麻酔科医の先生が答えてくれました。
麻酔科医「今、鼻からもゆるやかに入っているんですが、これから点滴へも流します」
私は全身麻酔と聞いていたから、すべて寝ている間に終わると思っていたのです。なんというか、こう手術っぽいシチュエーションをバッチリ味わうことになるとは思ってもおらず、マジで採卵はじまる前から不安で泣いちゃいそう。その時でした。
看護師のKさんが「大丈夫だよ~」といいながら、肩にやさしくトントントンと手を当ててくれたのです。“手当て”という言葉がありますが、誰かが手を当ててくれるだけで、こんなにも心が落ち着くものなのかと思いました。そのまま、目を閉じ…。フェードアウト。
で、気が付いたときには、採卵は終わっていて、手術前にいた隣の病室のベッドの上。
看護師「クロサワさん、クロサワさん、終わりましたよ~」
私「…?(卵は? 何個取れました?)」
しゃべろうとしても、声がうまく出せませんでした。麻酔の影響だと思います。そして、看護師のKさんが夫に何かを話している声がうっすら聞こえるだけで半分夢のなかにいるようでした。
採卵は成功したの? 何個とれたの? 教えてください…。そんな思いでしゃべろうとしてもモゴモゴするばかり。採卵の状況が気になって一生懸命しゃべろうとしていただけなのですが、あとで夫から「すげー寝言を言っていたよ」と言われてしまったほど(;^_^A
全身麻酔の採卵、終わってみるとあっけないものですね。
採卵時間はどのくらいかかったのか?
私の場合、採卵室への移動したのが9時5分、終わって戻ってきたのが9時25分だったそうです。ここの20分は麻酔で記憶がほぼないので、ワープしたような不思議な感覚。そして9時45分ごろになると、目もあけられて、夫と会話もできるようになりました。
私「今何時?」
夫「もうすぐ10時だよ」
私「結局何個とれたって言ってた?」
夫「あとで先生から説明があるって」
私「何それ? だめだったパターン?」
夫「いや、そんなことないんじゃない? ぜんぜんわからないけれど…」
てっきりその場で「○個、採卵できました!」って教えてもらえるものだとばかり思いこんでいたので、悪い予感しかありませんでした。まだ麻酔のせいでぼんやりしながらも絶望的な気持ちになったのを覚えています。
私「喉乾いたんだけどお水飲んでいいのかな?」
夫「聞いてみたほうがいいよね。ちょっと看護師さん呼んでくる」
お水は採卵からちょうど1時間経過の10時過ぎにOKになりました。
起き上がると、低気圧が来ている時のような頭の重さがあり、おなかは生理痛に似た鈍めの痛さ。10時15分には自分で上体を起こせるようにまで回復しましたが、あまり元気とはいえませんでした…。
次回は採卵後の衝撃的な思い出をお届けします。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。