部下を怒りたくないなら、怒らなくても良い仕組みを作る
子供を医者にしたい保護者のための「幼児教室ひまわり」塾長、熊野貴文です。講師として親御さん向けに子育てのアドバイスをしたり、経営者として社員に指導したりする中で、子育てと部下教育には多くの共通点があると感じています。
親も上司も、できるだけ怒らないようにするのがベストだと思います。怒ってしまうとどうしても怒られた相手は萎縮してしまい、周りに他の人がいる環境では場の空気も悪くなってしまいます。
やはり職場の雰囲気は明るく、そして気持ちよく仕事ができる環境の方が、チームとしてのパフォーマンスは上がりますよね。
でも「怒ってはいけない」と頭ではわかっていても、「部下がありえないミスをした」「部下のやる気が見えない」、そんな時にはついつい怒ってしまうことがあります。
では部下を怒らないようにするためにはどうすれば良いか? それは「怒らなくても良い仕組みを作る」ということを考えてみましょう。
人間は感情的な生き物なので、怒りの感情が生まれること自体は仕方がないと思います。
「怒らないように」
「怒らないように」
「怒らないように」
…と念仏のように唱えても、逆に意識してしまって怒りっぽくなることもあります。
このように「怒らないようしよう!」と意気込んでも、「怒りの要因」が目の前にあれば、誰だって怒りの感情が生まれてしまうのです。自分の感情をコントロールすることはそう簡単にできるものではありません。
であれば、その「怒りの要因」をできるだけ排除するように考えます。自分が怒らなくても良い仕組みを作るということです。そうすれば自然と怒る回数が減っていきます。
チーム全体のパフォーマンスを上げることが鍵
上司が部下を怒ってしまうのは、部下の仕事のパフォーマンスが上司の期待レベルに達していないことが原因です。
であれば、きちんと部下が仕事で成果を出せるように職場の仕組みを整備してあげる必要があります。もちろん部下自身も努力して成長しなければいけないのですが、成長できる環境を作ってあげるのも上司の仕事です。なので、そのような環境づくりが「怒らなくても良い仕組みを作る」ということに繋がります。
たとえば職場で言えば、デスクの配置というのはとても重要です。どの方向を向いて仕事をするのか? 誰と誰の席を近づけるか? 逆に離すか? など、デスクの配置だけでもチーム全体のパフォーマンスが変わってきます。
人によって仕事に集中できる環境が違いますし、チームでのコミュニケーションが取りやすい環境にするなど工夫できる部分はたくさんあります。あるいは仕事の役割分担も同じ考え方です。
この仕事を、誰にどこまで任せるか? 一人一人の能力や特性を把握しながら役割を与えていくようにします。
職場にはいろいろな能力の人がいますが、仕事というのは最終的にチーム全体で成果を出すものです。能力に不安がある人がいたとしても、その能力を補ったり別の能力を引き出したりして、チーム全体のパフォーマンスが上がるような仕組みを作る必要があります。
このように「怒らないようにする」というのは「怒らなくても良い仕組みを作る」ということであり、「チーム全体のパフォーマンスが上がるような環境を作る」ということです。
自分の感情を無理にコントロールしようとせず、仕組みの部分に焦点を当ててみましょう。
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幼児教室ひまわり塾長 熊野貴文
1978年兵庫県神戸市生まれ。灘中・灘高卒、大阪大学医学部現役合格、同校卒。
医師として、大阪大学付属病院(阪大病院)や市中病院など数々の病院で勤務医として医療に携わる。
その後、「自分が両親から授けて頂いた本当の教育方法」を世に広めることに対して使命を感じ、現在幼児教室ひまわりの運営を行っている。
著書『子どもを医者にした親たちが幼少期にしていたこと』(啓文社書房)では、我が子の能力を最大限に引き出す教育法を伝授。