部下が自発的に仕事をするようになるための2つのステップ
子供を医者にしたい保護者のための「幼児教室ひまわり」塾長、熊野貴文です。講師として親御さん向けに子育てのアドバイスをしたり、経営者として社員に指導したりする中で、子育てと部下教育には多くの共通点があると感じています。
今回は「人が自発的に行動するようになるための流れ」をお伝えします。
部下を教育する立場の方であれば部下に「もっと自発的に仕事をしてほしい」と悩まれる方も多いと思います。ではこのような状況をどうやって解決していくか? 「ご褒美」を軸に、次の2つのステップで進めていきましょう。
1. ご褒美を与えて最初の一歩を踏み出す
2. 成功体験を与えて自らのご褒美を追い求める
ご褒美には「他人から与えられるご褒美」と「自分で作るご褒美」があります。「他人から与えられるご褒美」から「自分で作るご褒美」へと上手く移行させます。
1. ご褒美を与えて最初の一歩を踏み出す
自発的な行動の前にまずは最初の一歩を踏み出すことが大事です。その最初の一歩を踏み出すためにご褒美を与えます。
子どもの頃「なぜ勉強しなければいけないのか?」と思ったことはありませんか? 私は何度も思いました。それは、子どもにとって「勉強をした先に得られるご褒美」がわかりにくいからです。
「将来のために勉強するのよ」と大人に言われても子どもはイメージができません。確かに子どもの頃に勉強をすれば、将来自分が望む仕事に就きやすくなります。でもそれは子どもにとってずっとずっと先のことなので、ご褒美の魅力がわかりにくいのです。
でも「勉強したら新しいゲームを買ってあげるよ」と言われると、子どもは勉強を頑張ります。これならご褒美がわかりやすく、すぐに手に入るイメージができるからです。これは子どもも大人も同じです。大人も、ご褒美がわかりやすくすぐに手に入るイメージがあれば行動します。
もし部下にもっと仕事を頑張ってほしいならば、まずはわかりやすいご褒美を与えましょう。ちょっとした金銭的なものでも良いですし、プレゼントや食事に誘うなどでも良いです。
ただこうすると、
「ご褒美なんかで釣って良いのか?」
「ご褒美ではなく自発的に動いてほしい」
と思う方もいらっしゃるでしょう。
ご褒美を与えることはずっと続くわけではありません。あくまでも最初の一歩を踏み出すためのものです。
ここから、次のステップに移行できるように導いていきます。
2. 成功体験を与えて自らのご褒美を追い求める
たとえば子どもの勉強の場合でいうと、最初は「ゲーム」というご褒美を目的に勉強をします。でもそうやって勉強をしていくと、いつしか「問題を解くことが楽しい」「成績が上がると嬉しい」という快感が芽生えてきます。自らのご褒美(快感)を追い求めるようになるのです。
これは、成功体験によって芽生える快感です。そしてこの成功体験は意図的に親が与えることができます。たとえば親が解きやすいような問題をさせたり、努力しているところをたくさん褒めてあげたりすると、自然と子どもにとっての成功体験が積み上がっていきます。
すると「この快感をもっと得たい!」と思うようになり、そんな自らのご褒美を求めて自発的に勉強をするようになります。この段階ではもう「ゲーム」というご褒美の快感を超えているのです。
大人の仕事でも同じように、仕事をしていく中で成功体験が積み上がっていけば快感が芽生え、その快感を得るために自発的に動くようになります。そのためにも上司は、部下に意図的に成功体験を与えていくようにします。
成功体験というのは小さなことで良いのです。「仕事を任されると嬉しい」「チームで仕事をすると達成感がある」「上司に褒められると報われる」というような成功体験をたくさん与えていくと、自然と仕事に対するやりがいや快感が芽生え、そんな自らのご褒美を思い求めて自発的に行動できるようになっていきます。
このように、部下が自発的に仕事をするようになるためには、
1. ご褒美を与えて最初の一歩を踏み出す
2. 成功体験を与えて自らのご褒美を追い求める
ご褒美を軸にこの2ステップで進めていくと良いでしょう。
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幼児教室ひまわり塾長 熊野貴文
1978年兵庫県神戸市生まれ。灘中・灘高卒、大阪大学医学部現役合格、同校卒。
医師として、大阪大学付属病院(阪大病院)や市中病院など数々の病院で勤務医として医療に携わる。
その後、「自分が両親から授けて頂いた本当の教育方法」を世に広めることに対して使命を感じ、現在幼児教室ひまわりの運営を行っている。
著書『子どもを医者にした親たちが幼少期にしていたこと』(啓文社書房)では、我が子の能力を最大限に引き出す教育法を伝授。