ワクチン接種会場で最近よく聞かれる質問1
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ワクチン接種会場で最近よく受ける質問を何度かに分けて紹介しましょう。よく質問されることは皆さんもきっと興味のあることだと思います。時期によって質問の内容が変わるのも興味深いですね。
今日は、「新型コロナウイルスのワクチンとインフルエンザワクチンの接種の間隔あるいは同時接種の可否」について説明しましょう。
まず答えから言うと、
1. 新型コロナウイルスワクチンと他のワクチンとは同時接種はできません
2. 新型コロナウイルスワクチンと他のワクチンは中13日の間隔をあけて接種してください
これが日本での「ルール」となっています。
こんな事は調べればすぐに出てきます。このコラムではもう少し深掘りしていきましょう。
新型コロナウイルスのワクチンとインフルエンザワクチンの接種について
「ルール」と書きましたが、このルールには特段の医学的な根拠があるかというとそうでもありません。こう言うと語弊があるかもしれませんが「適当」に決まっているのです。
日本はワクチン接種に関しては昔から、「一つずつ、決められた間隔を開けて、じっくりと、打つ」傾向がありますが、海外では「一度に何種類も一気に打つ」ことの方が多いです。
現に、新型コロナウイルスワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種している国もあります。基本的に効果に差はありませんし、身体の中でワクチン同士が喧嘩をすることもありません。
新型コロナウイルスワクチンはメッセンジャーRNAワクチンという種類のもので、人類が今回初めて経験しているタイプのワクチンです。私は、むしろこのタイプのワクチンこそ、従来からあるタイプのワクチンと同時に打っても安全なのではないかと思っています。しかし、もうしばらくは、日本の国が決めたルールを守って打つことにしましょう。
これから、冬に向けて、皆さんに色んなパターンでワクチン接種の計画の提案をしましょう。
◆1. 新型コロナウイルスワクチンを2回接種した人へ
2回目の接種から中13日以上経過したら早めにインフルエンザワクチンを受けましょう。
◆2. 新型コロナウイルスワクチンを1回接種した人へ
自分の予定表を見て、「中18日以上あけて新型コロナ2回目、その後中13日以上あけてインフルエンザウイルス」のパターンか、「中13日以上あけてインフルエンザワクチン、その後中18日以上あけて新型コロナ2回目」のパターンのどちらの都合が良いかできめてください。
◆3. 新型コロナウイルスワクチンをまだ接種していない人へ
多分、このコラムをここまで読まれることはないでしょうが、一応書きます。「早く予約の取れるワクチン」から接種を開始してください。
最後に、今年は、インフルエンザワクチンが不足気味だということですので、皆さん、真冬になる前に早めに対応しましょう。
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国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉
1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ