「背徳感」の意味とは?
あなたは、どんなことをしている時に「背徳感」を感じますか? ついつい夜中に甘いものを食べてしまったり、家族に内緒で高価なものを買ってしまったり…。我慢しようと思っていたことに、ついつい手を出してしまった時などに使われるイメージがありますよね。
このような例にあるように、「背徳感」という言葉は悪いことを意味する反面、スリルや高揚感をも感じる複雑な感情です。まずは、基本的な言葉の意味や、言い換え表現をみていきましょう。
「背徳感」の読み方と意味
「背徳感」の読み方は、<はいとくかん>です。「背徳感」とは「道徳や人としてあるべき道に背くことに対して、後ろめたさを感じること」で、「背徳」には、「道徳に背くこと、人倫に反すること」という意味があります。
「背徳感」の言い換え表現
「背徳感」に似た意味の言葉として、「疚しい(やましい)」「罪悪感」などが挙げられます。
「疚しい」とは、「良心がとがめる、後ろめたい」という意味の言葉です。「疚」という漢字には、「病気になる、悩む」などの意味があります。会話の中では、「疚しい気持ちがあるのなら、やめたほうがいい」「何も疚しいことはしていない」などといった使い方をします。
「罪悪感」とは、「罪をおかした、悪いことをしたという気持ち」を意味する言葉です。「罪悪」は、「憎むべき罪や、宗教の教えに反する悪い行い」を指します。罪悪感に身も心も苦しめられている様子を、「罪悪感にさいなまれる」と表現しますよね。
いずれの言葉も、社会の規範や自分の価値観から判断して、「悪いことをしてしまった…」と感じたときに用いられる言葉であるといえます。
「背徳感」と「罪悪感」の違い
「背徳感」と「罪悪感」は、両方とも自分に悪い点があり、気が咎めることを意味していますが、言葉が持つニュアンスは微妙に異なります。
「背徳感」は、「道徳に背いている、自分に対して感じる後ろめたい気持ち」。それに対して「罪悪感」は、「他人や社会に対して感じる、後ろめたい気持ち」を表す言葉です。
また「背徳感」には、後ろめたい感情と共に、高揚感などのポジティブな感情を含む場合もありますが、「罪悪感」は一般的に、ネガティブな意味合いのみを表す言葉であるといっていいでしょう。どちらの言葉を使ったらいいか迷う場合は、参考にしてみてくださいね。
「背徳感」の使い方を例文でチェック
「背徳感」の意味は理解できましたか? では実際に会話の中で使う場合には、どのような表現があるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。
1:「この料理は美味しいけれど、カロリーが高くて背徳感を感じるな」
食事に関する「背徳感」は、きっと誰もが経験ありの「あるある」ですよね。「痩せなきゃ…」と思っているのに、ついつい高カロリーなものに手を出してしまう時などは、まさに「背徳感」を感じる瞬間といえるでしょう。また、ハイカロリーで体に良くないけれど、美味しい食べ物のことを表す、「背徳感グルメ」という言葉もあるようです。
2:「昔から、浮気や禁断の恋を繰り返す知り合いは、この背徳感がたまらないと言っていた」
「背徳感がたまらない」という表現も、「背徳感」には定番のフレーズです。どちらかというと、自分の悪い行いに対して「申し訳ない」と思う気持ちより、スリルや快感を楽しんでいる時に使われることが多い表現であるといえますね。
3:「風邪をひいたと嘘をついて仕事を休んだことに背徳感を覚えた」
主に、食べ物や恋愛において使われるイメージが強い「背徳感」ですが、仕事や人間関係において使われるパターンもあります。例えばこの例文のように、どうしてもやる気が出ず、風邪を引いたと嘘をついて、仕事を欠勤した場合。
家でゴロゴロしている時には、休めてよかったと思いながらも、内心「申し訳ないな」と感じるはずです。職場の先輩や同僚から体調を心配されたら、ますます後ろめたさを感じますよね。
「背徳感」を感じる瞬間とは?
「背徳感」とは一般的に、人には話せない秘密の行為や感情であるため、他の人がどのようなことに「背徳感」を感じているのかわからないものですよね。大抵の人が日常生活で「背徳感」を感じる瞬間には、どういうものがあるのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。
嘘をついたとき・約束を破ったとき
「嘘をつかない」「人との約束は守る」などの決まりは、人として当たり前のルールであるといえます。このような社会的規範や、道徳を破ってしまった時には、大抵の人は、後ろめたさや申し訳なさを感じるはずです。普段きちんとしている人ほど、当たり前のルールを破ってしまったときの背徳感は大きいものとなるでしょう。
ダイエット中なのに、スイーツやラーメンを食べてしまった時
「ダイエットをしよう!」と決意したはずなのに、結局高カロリーなものを食べてしてしまった時に、「背徳感」って感じるものですよね。
例えば、隠れて夜中に甘いものを食べてしまったり、塩分を控えないといけないのに、ラーメンのスープまで飲み干してしまった…。「つい食べてしまった」という罪悪感と、「美味しい!」という喜び、相反した二つの感情が複雑に混ざり合っていることも、「背徳感」の特徴です。
学校や社内で、禁断の恋愛をしている時
「背徳感」は恋愛がらみの出来事に関しても、よく使われる言葉です。例えば、友人の恋人を奪ってしまった、恋人がいるのに合コンに参加してしまった、社内で不倫をしているなど、道徳的に許されない恋愛に対して用いられます。浮気や不倫は社会的に許されないものであるとわかっていながら恋愛を続けてしまう行為は、スリルがある中にも、後ろめたい気持ちを合わせもっているといえるでしょう。
昼間からお酒を飲んだ時
「お酒」にまつわる「背徳感」も、大人ならではの「あるある」ですよね。具体的なエピソードの中には、やらなければならない仕事があるにも関わらず、昼間から居酒屋でお酒を飲んでしまったということや、ママ友とのランチ会で、ちょっとお高めのシャンパンを飲んだ時に、夫に対して「ごめん」と思ったなど…。
楽しい時間でありながら、贅沢をしていることに対して、後ろめたさを感じている人も多いようです。思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。
最後に
「やめたいのにやめられない」という、複雑な感情を表す「背徳感」という言葉。日常生活では、食べ物や恋愛に関することで用いられることが多いようですね。思わず、「あるある!」と共感した方も多いのではないでしょうか。頭では正しい道に進みたいと思っていても、なかなか思うようにいかないのが人の心。上手く折り合いをつけながら、「背徳感」と付き合っていきましょう。
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