相手の気持ちを引きつける「一筆箋」の書き方
誰かにお礼をするとき、贈り物をするときに「一筆箋」があると、送り手の“心”が感じられるものになります。
前回のビジネスで使える「一筆箋」の文例に引き続き、取引先・お客様へのシーン別に「気の利いたひと言」を紹介します。
ビジネスで使える! シーン別の「気の利いたひと言」
無駄な言葉を削り取って、しかも肝心な要件を手短に表現することが大切です。敬語表現をうまく活用して、短い文面の中に敬意を織り込みましょう。雑な字にならないよう、丁寧で読みやすい字を書くように心がけます。
◆納期など無理を聞いてくれたとき
定型の文章例をもとに、「気の利いたひと言」に変えてみてください。
<定型の文章例>
○○株式会社 ○○○○様
※今回のまったく余裕のないスケジュールは、貴社のご協力がなければ成り立ちませんでした。
○○様はじめ貴社の皆様には、いつもいつもわがままを聞いていただき、心より感謝いたします。
○○○○
↓※部分を変えてみます。
<気の利いたひと言>バリエーション
・日程や予算など余裕のないぎりぎりの、しかも急な依頼にもかかわらず、迅速、かつ丁寧な対応に感謝いたします。
・ご無理をお聞き届けくださったばかりか、すばらしいクオリティで仕上げていただき、心より感謝いたします。
・はなはだ勝手なお願いを申しまして、お許しください。どうぞこれにこりず、今後ともよろしくお願いいたします。
◆依頼を断るとき
<定型の文章例>
○○株式会社 ○○○○様
このたびは講演ご依頼を、ありがとうございます。
※ぜひともお受けしたいところですが、あいにくと同日は遠方に出ており、不本意ながら、今回はご辞退させていただきます。
なお、先週発刊の拙著を同封いたします。今後ともよろしくお願い申し上げます。
○○○○
↓※部分を変えてみます。
<気の利いたひと言>バリエーション
・本来ならば喜んでお引き受けいたすところですが、残念ながら今回はご期待に添うことができず誠に申し訳ありません。
・何とかお役に立ちたいと検討を重ねましたが、このたびは難しいようです。非力でお役に立てず、残念です。
・あいにく、ご依頼の件について当方は専門外のように思われますので、事情をご賢察いただきご容赦のほどお願いいたします。
◆日頃お世話になっている感謝を伝えるとき
<定型の文章例>
○○株式会社 ○○○○様
先日のイベントにつきまして、迅速な対応をいただきお礼申し上げます。
弊社の詳細決定が遅れに遅れましたが、貴社では恒例の行事につき※発注に備え、あらゆるパターンを想定して準備してくださっていたとか。
お蔭さまで無事に盛況の内に終えることができ、真心より感謝申し上げます。
どうぞ今後ともよろしくご協力をお願い申し上げます。
○○○○
↓※部分を変えてみます。
<気の利いたひと言>バリエーション
・日頃より格別のお引き立てを賜り、深く感謝申し上げます。○○○○が毎年売り上げ上位にランクインし、今年もまた目標達成できましたのは、ひとえに貴社営業の方々の販売努力の賜物でございます。
・いつもながらの誠実な応対には、我々も見習わなければならないと、弊社社員に話しています。末筆ながら、代表○○様にくれぐれもよろしくお伝えください。
・○○様には長年にわたり、弊社○○ブランドをご愛顧いただき厚くお礼申し上げます。製品のさらなる開発・改善に鋭意努力し、ご期待に沿いたいと存じますので、今後とも変わらないご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
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亀井ゆかり
手紙コンサルタント。関西外国語短大を卒業後、大手通信機器メーカーに就職し、役員秘書を務める。
結婚を機に退職したあとは、大企業から個人経営の店舗など、あらゆる業種の顧客に向けた挨拶状の代筆業をはじめる。
代筆業の経験を活かし、一筆箋の商品開発にも携わっている。
著書に『大人のたしなみ「一筆箋」気の利いたひと言』(青春出版社)がある。