花粉症をのりきるための食事対策と栄養学〜薬剤師の観点からの花粉症対策〜
前回は、老化に繋がるエネルギー代謝を落とさないための方法をお届けしました。今回は花粉症について。
今や5人に1人の国民病となった花粉症は2月初旬から3月がピークとなりますが、1年を通じた食生活の見直しで根本的な体質改善をし、辛い症状を軽減することができます。
花粉症の主な症状には、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血などがあります。鼻づまりがひどくなると口呼吸になり、喉の痛みや不眠、注意力散漫など生活に支障をきたすことも。花粉症などのアレルギー体質は遺伝すると言われていますが、食生活(栄養バランス)や腸内環境、生活習慣、ストレスなども増悪因子とされています。
花粉症をのりきるための食事対策と栄養学で重要なことは、免疫機能を調え、アレルギー症状を防ぐ栄養素を積極的に摂取し、バランスの摂れた食事をすることです。
花粉症対策にはこの食べ物を!
1. 免疫機能を調える
青魚に多く含まれるEPAやDHA、カツオやマグロに多く含まれるビタミンB6には免疫機能を正常に維持する働きがあり、不足するとアレルギー症状が出やすくなります。
2. アレルギー症状を抑える
果物や野菜に多く含まれるビタミンCや緑黄色野菜に多く含まれるビタミンAには抗酸化作用があり、活性酸素による炎症やかゆみを軽減してくれます。さらにビタミンAは、のど、鼻、消化管などの粘膜を正常に保つ働きをするため、免疫力を高めることにも役立っています。
3. 腸内環境を調える
乳酸菌の一種であるビフィズス菌はアレルギー症状緩和に不可欠なビタミンB6を含むビタミンB群を合成する働きがあります。また、ワカメやこんにゃく、果物や野菜、きのこに含まれる水溶性の食物繊維は腸内細菌の発酵を受けやすく、乳酸菌などの有益菌を増やして腸内環境を改善します。
さらに、きのこに含まれる糖質の一種であるβグルカンは、腸管内において免疫機能を刺激し免疫力を正常化すると考えられています。その他、きのこに含まれる栄養素として免疫機能の向上に関与するものがビタミンDです。免疫機能を調整し、感染のリスクを下げる効果が期待できます。
セルフケアでは、花粉を自分自身に寄せ付けず症状を悪化させる状況を改善することにつきます。外出時はマスクをつけ、花粉のつきにくい服装を意識し、帰宅時には衣服についた花粉をよく落としてから部屋に入ることをお勧めします。
さらに、鼻うがいを行うことで、花粉を鼻から出すだけでなく、鼻の乾燥の防止や鼻の粘膜の細胞を活性化させ鼻水の通りをよくすることなどが挙げられます。
短期のケアを心がけるのではなく、1年中通しての体質改善をすることで花粉症の症状を年々軽減させていき、残りの人生をストレスなく過ごせる事を願います。
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予防医学マイスター 坂田武士
薬剤師。予防医学士。スポーツファーマシスト。「サムライフ」代表。昭和大学薬学部薬学科を卒業後、薬剤師免許を取得。
大手製薬会社勤務や、特別養護老人ホームの施設長などを経て、予防医学やエイジングケアの重要性を感じ、2006年に独立。2009年に「サムライフ」を設立し、薬をすすめない薬剤師として、これまでに1万人以上のオーダーメイドカウンセリングを行う。
著書に『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本』(学研プラス)がある。