昨年の熱中症、4割強が自宅で発症していることが判明!
消防庁の調査によると、昨年熱中症で救急搬送された方のうち、屋外(9.4%)を大きく上回る4割以上(43.4%)が住居で発症していたことが分かりました。
また、東京都監察医務院の調査によると、昨年の都内の屋内熱中症死亡者のうち、約9割(89.9%)がエアコンを使っていなかったことが判明。
屋内で熱中症になる理由とその対策は? 熱中症予防に最適なエアコン活用法は? それぞれの疑問に医師の清益功浩先生と、パナソニック エアーマイスターの福田風子さんが解説します。
「巣ごもり熱中症」を起こすメガニズムと予防策
◆巣ごもり時に熱中症を起こす要因とは?
医師の清益先生によると、コロナ禍で増える巣ごもり時に、屋内で熱中症を起こす要因は大きく分けて環境と身体の2つに分けられるといいます。特にどのような状況の時に熱中症に気を付ける必要があるのかについて教えていただきました。
1. 環境
熱中症には温度、湿度が関わっています。窓などを通じて侵入する地面などからの輻射熱、直射日光には注意が必要です。
・室温が28℃、湿度が75%以上は厳重警戒
・気温が高い環境
・湿度の高い環境
・風が弱い環境
2. 身体
・皮膚の温度センサーの感度が鈍くなり、暑さを感知しにくくなっている高齢者、乳幼児、肥満の方
・二日酔いや寝不足などで体調不良なとき
・普段から運動をしておらず、暑さになれていない方
・低栄養状態や脱水状態にある方
・糖尿病や心臓の病気などの基礎疾患がある方
◆屋内外でできる熱中症対策
また、屋内外で実践できる熱中症対策についても、清益先生に教えていただきました。
1. 屋外
・2メートル以内に人がいなければ、マスクを外すこと
・利尿作用のあるお茶やコーヒーではなく、ナトリウムなどやカリウムを含むスポーツドリンク、水分の多いフルーツなどを摂取し、1日1.2リットル以上の水分を摂ること
・ゆったりとした、通気性の良い衣服で出かけること
・暑い日などに無理な外出を控えること
2. 屋内
・風通しを良くし、カーテンなどで日差しを遮ること
・扇風機やサーキュレーターも利用しながらエアコンを使ってムラなく室温を調整すること
・エアコンの除湿運転や除湿機で湿度を下げること
・ビタミンB1、ビタミンC、クエン酸を含む栄養バランスの良い食事を摂り、生活リズムを整えること
・喉の渇きを感じなくても、こまめに水分摂取を行うこと
熱中症予防にエアコンを上手く活用する方法は?
屋内でできる熱中症対策法のひとつとして「エアコン」が挙げられましたが、パナソニックの調査によると、暑い日にエアコンをつけっぱなしにすることに対して抵抗を感じる人は約半数(50.4%)にものぼり、その理由としては電気代(82.6%)や、直接風にあたり冷えすぎる(43.9%)などが挙げられました。
このような悩みを解決する真夏の快適なエアコン活用方法について、パナソニックエアーマイスターの福田風子さんが解説。
ポイント1:設定温度を1度上げ、風量を上げることで年間約10%の約1,200円の節約に!
一般的にエアコンは室内外の温度差が大きいときに運転をオンにすると多くのパワーが必要になるため、一旦室内が適温になると、つけっぱなしでも少ない消費電力量でキープすることができます。
また、冷房の温度を1度上げるだけで、約10%の節約になるともいわれますが、冷やすために使う電力よりも風量を上げるほうが使用量は少なくて済むので、設定温度を下げるよりも風量を上げた方が節約になります。
設定温度を1度上げ、風量を上げることで、年間約1,200円以上節約することができます。
※パナソニック製品「CS-F401D2」を使用。電気代27円/kWhでの実験
さらに、コロナ禍の影響で窓開け換気をする場合には、外の暑い空気をエアコンに吸わせないようにエアコンから遠い窓を開けることで節約につながります。
ポイント2:扇風機やサーキュレーターの活用で直接エアコンの風が当たるのを防ぐ!
扇風機だけでなくエアコンからの風も同じですが、一定部位に当て続けると身体が冷えてしまうので注意が必要。冷気は比重が重いため、部屋の高いところから低いところに落ちていきます。
そこで、エアコンの風向きはできるだけ上方向(フラップが天井と水平向き)にするほか、エアコンの下、もしくはエアコンの対面に扇風機やサーキュレーターをセットし、水平もしくはやや床面向きで置くことで、部屋全体の冷気を撹拌するようにして下さい。
置く位置は身体に直接風が当たらないことを目安に決めましょう。
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いかがでしたか? マスクで熱気がこもったり暑い期間が長くなる今年の夏はいっそう熱中症に気をつけたいところ。原因と予防術を学んだら、エアコンを上手に活用して健康にこの夏を過ごしましょう。
【「昨年の熱中症対策に関する実態調査」概要】
調査地域:全国
調査期間:2021年6月11日(水)~6月12日(木)
調査方法:インターネット調査(協力:ジャストシステム)
調査対象:全国の20~60代以上男女
有効回答:544名(男性:295名、女性:249名)
パナソニック調べ
TOP画像/(c)Shutterstock.com
医師 清益功浩
小児科医・アレルギー専門医。
京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院小児科・アレルギー科で診療に従事。論文・学会報告多数。インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
パナソニック エアーマイスター 福田風子
パナソニック コンシューマーマーケティングジャパン本部 商品センターエアコン商品企画担当
自宅に異なる3機種のエアコンを設置し、機能の違いや風の違いを感じ分ける。スマホを使って家中のエアコンを遠隔操作したり、時にはカビの発生したエアコンを自ら入手・分解して調べるなど担当の枠を超えてちょっとしたエアコンマニア。