「幸せなお金持ち」になる三つの条件
「この世には、幸せな金持ちと不幸な金持ちが存在する。今日は改めてそれを定義していこうか」
「二種類のお金持ちが存在するってこと?」
「そう。お金を持っても幸せな人、お金を持つと不幸になる人。前者は幸せを更新し続け、後者はやがて没落していく。せっかく金持ちになるのであれば、幸せな金持ちサイドにいたいよね?」
私は大きく頷いた。その二択だったら、幸せなお金持ちにしかなりたくないに決まってる。
「お金だけを稼いでも意味がない。単にお金を稼ぐだけでは、幸せな金持ちにはなれない。幸せな金持ちになるために必要な三つの要素はね、
・お金
・時間
・仲間
だ。いくらお金を稼いでも、時間がなければ使えない。お金と時間があっても、一緒に使う人がいなければつまらないし、そもそもお金自体、ひとりではそんなに必要のないものだ。有益に使いきれないお金だとしたら、それはあってもなくても変わらない。
使うことのできないお金は『死に金』と言ったね。だからこそ、お金、時間、仲間。この三つの要素のどれが欠けても、幸せな金持ちにはなれないんだ。特に、時間と仲間が欠けている状態ではむしろ『お金なんてなければ良かった』といった、悲惨な結末を迎えることになりかねない。
せっかくお金を稼いでも『何のために稼いだのか』『虚しい人生だった』と後悔するような事態は、できる限り避けたいよね。だってそんな人生、悲しすぎるじゃないか」
孤独死、という単語が頭に浮かんだ。たくさんのお金に囲まれてひとりで死を待つ人生。そんな最期は迎えたくない。
「お金があれば幸せになれるわけではない。お金があれば仕事が楽しくなるわけでも、人間関係がうまくいくようになるわけでもない。
お金を持つ前も持ってからも勘違いしてはいけないこととして、決して『お金があれば全ての問題が解決できる』という錯覚は起こさないように、とは今までも話してきたよね。お金に逃げたところで、根本は何も変わらない。
お金にできることは限られている。お金があれば死なないわけでも、病気にかからないわけでもない。寿命には抗えないし、古来より今まで、人の死亡率は依然百パーセント。お金はあくまでも問題を解決するための『手段』で、それ以上でもそれ以下でもない」
えびすさまは一気に言うと、お水をひとくち、口に含んだ。
お金を持っているだけでは幸せになれない
「金持ちがお金を持っているのは当たり前。では、金持ちになった後、あすかちゃんはどんな日々を送りたい?」
「私は…… 大好きな人たちと笑って暮らしていきたいなぁ。お金だけを持っているひとりぼっちの大富豪よりもね、大好きな人たちと語らいながら、慎ましくも幸せに生きている人のほうが豊かだなぁと思うの。
そこにお金があったら最高。前は『まずお金!』って思っていたけれど、今は少し、優先順位が変わってきたみたい。満たしたい状況があって、それを満たす手段が『お金』なんだね」
自分の口からこんな言葉が出るなんてびっくりした。あれだけお金を求めていた私だったけど、いつの間にかもっと大切なことに気が付かせてもらっていた。驚く私に微笑み、えびすさまは言う。
「そうだね、人脈は宝、人との繋がりは財産だ。お金を追うばかりに時間や仲間、周りの人を蔑ろにして没落していった人、人が離れていった人も僕はたくさん知っている。金持ちの中で、お金『以外』のものをほとんど何も持っていない人は意外と多いんだよね。恐らく、稼いでいく中で、お金以外を意識してこなかったのだろう。
例えば稼ぐ前からの友人というのは、稼いだ後、今まで以上にかけがえのない存在となる。稼いだ後に、稼ぐ『前』からの友人をつくることはできないからね。時間は巻き戻せない。稼いでから出会った人のことを警戒し、『この人は自分がお金を持っているから仲良くしてくるのか?』などとする不幸な金持ちもいるが、実に失礼な話だ。
残念ながら、こういった疑心暗鬼な状態は相手へも伝わる。人間関係が目まぐるしく変わる金持ちは常に孤独だ。他人を信用できないのだからね」
「他人を信用できない。それって恋愛や結婚にも響いてきそう……」
「その通り。恋愛や結婚というフィールドにおいても、不幸な金持ちはこじらせる。自分自身が自分の魅力とお金とをそのまま結びつけているからこそ、お金がなくなったら相手が自分の元から離れていってしまうんじゃないかと、いつも不安に怯えている。
だからなかなか向き合おうとしないし、愛をそのまま受け取れない。でも、それってお互いにとって、すごく寂しいことだよね」
三つの条件のうち最も簡単なのは「お金」
共感してくれる人がいる、大切な人がいる、そういった人たちとともに時間を過ごせるというのはとても幸せなこと。逆に、好意や愛を信じることができず、自分の殻に閉じこもるばかりのお金持ちは哀しいだけだ。
「お金ありきの人生になってはいけない」とは正に本質だな、と改めて思った。
「お金、時間、仲間のうち、最も得ることが簡単なのが『お金』だね。そしてあすかちゃんにはもう、大好きな人たちがいる。今の時点で家族や友人、恋人など大切だと思える人がいる君は、もう幸せな金持ちの要件を満たしているんだ。
大切な人がいるのであれば、あとは早いところお金を稼げば良いだけの話。知っての通り、お金を得る手段はたくさんある。加えて、もしあすかちゃんも僕のように『投資』を突き詰めていくのであれば、『可処分時間』はどんどん増えていく。投資であれば、お金が増えるほど時間の余裕も生まれるからね」
「お金が一番簡単……。そっか、だからお金を稼いだら良いんだね!」
「そうだ。お金を稼ぐのは簡単なこと。だから、さっさと手にしてしまおう。三つの要素がわかった今、あすかちゃんがこれからすべきことは、今まで教えたことを使って、一日も早く『幸せなお金持ち』になることだ。
この三要素が揃うことで、お金は本来の、いや、本来以上の実力を発揮してくれるようになる。その日を楽しみに、頑張っていくんだよ」
今回の学び
・世の中には幸せなお金持ちと不幸なお金持ちがいる
・幸せなお金持ちに必要な三つの要素は「お金」「時間」「仲間」
・三要素のうち一番簡単に攻略できるのは「お金」
TOP画像/(c)Shutterstock.com
職業お金持ち 冨塚あすか
個人投資家。1988年生まれ、仙台出身。慶應義塾大学卒。「お金を理由に何かを諦める、という事態とは生涯無縁でいよう」と決め、20歳のときに10万円から資産運用を始める。紆余曲折ありながらも持ち前の分析力と嗅覚、人当たりや運の良さで資産を順調に拡大。会社員を辞めてからは2年ほど、専業投資家として資産運用のみで生活をする。現在は、オンラインサロンを通じて、投資の仕方や生き方、女性がお金持ちになるために必要な「お金の帝王学」について指南している。趣味は旅行と食べ歩き、お金持ちの話を聞くこと。
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