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2021.06.01

必ずしも“がん”ではない? 検診で「要精密検査」といわれたら…【医師監修|子宮がんの知識】

子宮がん検診で精密検査が必要と言われても、必ずしも「がん」というわけではありません。検査方法や治療方法を解説します。20年間以上、産科婦人科疾患を診療してきた、直レディースクリニック院長の竹村直也医師による連載コラム。

直レディースクリニック 院長 竹村直也

子宮頸がんとは

(c)Shutterstock.com

前回の記事「30歳代後半が発症のピーク! 子宮がん検診で“ASC-US”と診断されたら…【医師監修|子宮がんの知識】」でもお届けしましたが、子宮頸がんとは子宮頸部から発生するがんです。

子宮頸がんの存在を文書に初めて記載したのは紀元前450年のヒポクラテスであり長年にわたって女性を苦しめています。以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。

国内では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しており、また2000年以後、患者数も死亡率も増加しています。Oggi世代の貴女にも大きく関わってくるかもしれない病気です。子宮頸がん初期の状態ではほとんど自覚症状がありません。

初期の子宮頸がん、もしくは子宮頸がんになる前の状態で発見されるには子宮がん検診を受けることが重要です。

今回は子宮がん検診後の精密検査やその後の治療について詳しくお伝えしていきます。

子宮がん検診を受け精密検査が必要といわれたら…

(c)Shutterstock.com

検診を受けて精密検査が必要と言われたら不安ですよね。精密検査が必要と言われても必ずしも「がん」というわけではありません。

◆子宮頸部異形成

子宮がん検査では子宮頸部の細胞変化があり精密検査を必要とすることがあります。子宮頸部の変化した細胞のことを異型細胞と呼びます。わかりやすくいうと正常細胞でもなくがん細胞でもない状態です。この異型細胞が出現している状態のことを子宮頸部異形成といいます。

正常の状態を白色、がんの状態であれば黒色とすると子宮頸部異形成は灰色ということになります。ただし、灰色といっても白色に近い灰色もあれば黒色に近い灰色もあります。子宮頸部異形成についても同様で異型細胞の割合に応じて三段階に分類されます。

つまり子宮頸部異形成には程度の軽い軽度異形成、中くらいの中等度異形成、程度の重い高度異形成に分類されます。この異形成の程度を確定するために精密検査が必要となるのです。

◆コルポスコープ(拡大鏡)下生検

コルポスコープ(拡大鏡)を用いて子宮頸部を精密に観察します。このときに酢酸を子宮頸部に塗布します。酢酸を塗布することで子宮頸部の異形成の状態、範囲を把握してねらいを定めて数mmほどの組織を切り取ります(生検)。切り取った組織は顕微鏡の検査に提出して異形成やがんの最終診断がなされます。結果判明までに2週間ほどかかります。

子宮がん検診で精密検査が必要と指摘された場合、この検査が必要となります。施設によっては精密検査を行っていないクリニックもあるので受診前に電話などで確かめておいたほうがいいでしょう。

管理・治療方針

(c)Shutterstock.com

精密検査の結果、異形成もしくはがんと診断されることがあります。異形成と診断されたら、がんと診断されたらどのように管理、治療してくのでしょうか。

◆子宮頸部異形成の場合

子宮頸部異形成には先ほども述べたように三段階に分類されます。

軽度異形成、中等度異形成は病変が自然に消失する可能性があるので経過観察されることが多いです。数ヶ月おきに検査をして経過観察します。ただし経過観察が長期間に及ぶ場合など患者さんとよく相談して子宮頸部をレーザー蒸散などの積極的治療を行う施設もあります。

その一方で高度異形成は自然に消失することがないので子宮頸部を円錐状に切り取る円錐切除術が行われます。

◆子宮頸がんの場合

がんの進行具合に応じて治療方針を決定します。さほど進行していない症例であれば子宮、卵巣や骨盤内リンパ節の摘出が行われます。ほかの臓器に転移しているなどの病変が進行していると抗がん剤治療放射線治療を行うことがあります。

最近では妊娠希望のある初期の子宮頸がん治療として子宮頸部のみを広範囲に切除して赤ちゃんの育つ子宮体部を温存する手術も行われています。

* * *

今回は子宮頸がんの精密検査、治療についてお話ししました。がんになってもできるだけ初期に対応したい、またはがんになる前段階で治療を受けたいと思うのは当然のことと思います。

子宮全摘を余儀なくされて妊娠できなくなるばかりか自分の命にもかかわる子宮頸がんを予防するにはしっかりと検診を受けていただくことが大事です。しかも子宮頸がんはワクチンで予防できる唯一のがんです。

次回はいわゆる「子宮頸がん予防ワクチン」のお話です。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

直レディースクリニック 院長 竹村直也

2000年神戸大学医学部卒業
2008年神戸大学医学部大学院修了
兵庫県立こども病院、日高医療センター勤務の後神戸大学病院産科婦人科助教。
淀川キリスト教病院産科婦人科部長、
竹村婦人科クリニック勤務後、2020年5月直レディースクリニック開業

資格:医学博士 産婦人科専門医 母体保護法指定医

直レディースクリニック

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