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2021.05.15

30歳代後半が発症のピーク! 子宮がん検診で“ASC-US”と診断されたら…【医師監修|子宮がんの知識】

今回は子宮頸がんについて。検診でASC-USと診断されたら? 20年間以上、産科婦人科疾患を診療してきた、直レディースクリニック院長の竹村直也医師による連載コラム。

直レディースクリニック 院長 竹村直也

子宮頸がんとは

(c)Shutterstock.com

子宮頸がんとは子宮頸部から発生するがんです。子宮頸がんの存在を文書に初めて記載したのは紀元前450年のヒポクラテスであり長年にわたって女性を苦しめています。

以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。

国内では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しており、また2000年以後、患者数も死亡率も増加しています。Oggi世代の貴女にも大きく関わってくるかもしれない病気です。

子宮頸がん初期の状態ではほとんど自覚症状がありません。初期の子宮頸がん、もしくは子宮頸がんになる前の状態で発見されるには子宮がん検診を受けることが重要です。

子宮がん検診を受けていますか?

(c)Shutterstock.com

この春から新年度が始まり新しい環境で生活しておられる貴女も多いと思います。職場などで子宮がん検診を受けられたことはあるでしょうか? そもそも子宮がん検診と子宮頸がん検診ってどう違うのでしょうか?

子宮がん検診と子宮頸がん検診はほぼ同じ意味です。

子宮がんは子宮から発生するがんのことを指します。子宮は子宮頸部と子宮体部という部分に分けられます。子宮頸部から発生するがんを子宮頸がん子宮体部から発生するがんを子宮体がんといいます。

子宮頸がんと子宮体がんは発生する原因も異なることから全く別の疾患です。厳密にいうと子宮頸がんは子宮がんの分類の中のひとつに過ぎません。

ただし検診で行う子宮がん検診とは一般的に子宮頸がん検診のことを指すので子宮がん検診と子宮頸がん検診はほぼ同じ意味と考えてよいでしょう。

この検診では子宮頸部をブラシのようなものでこすって検体を採取します。所要時間も数分ほどで済み、強い痛みを伴う検査でもありません。採取された検体は顕微鏡の検査に提出され結果が判明します。結果判明までに1-2週間を要します。

子宮がん検診の結果

(c)Shutterstock.com

子宮がん検診の結果判定には以下の分類(一部省略)があります。

NILM、ASC-US、LSIL、ASC-H、HSIL、AGC、SCCです。これだけでは何かわかりませんよね。

ざっくり述べるとNILMは異常なしSCCは子宮頸がんとなりそれ以外は異形成と言われる状態が疑われ精密検査によって病態を確認することが重要となります。

その中でも今回は、ASC-USについて詳しくお話しましょう。

ASC-USとは?

(c)Shutterstock.com

「ASC-US(Atypical Squamous Cells of Undetermined Significance)=意義不明な異型扁平上皮細胞」のことです。わかりやすく言うと子宮頸部の細胞の形がやや変化している状態です。

ただし細胞の形が変化していても病的ではない変化の場合があります。何処にでもあるような菌の影響で一時的な炎症を起こしている場合でも子宮頸部の細胞の形は変化します。病的な変化の原因はHPV(Human Papilloma Virus:ヒトパピローマウイルス)です。

そこでASC-USと診断されたらHPV検査が勧められます。HPV検査が陽性であれば子宮頸部から生検を行う組織検査を受けることが推奨されています。

HPV(Human Papilloma Virus:ヒトパピローマウイルス)とは

(c)Shutterstock.com

ヒト乳頭腫ウイルスとも言われます。パピローマまたは乳頭腫と呼ばれるいぼを形成することから名付けられ、百数十種類以上の型があることが分かっています。

このうちの十数種類が子宮頸がんの発症に関わっていることが知られています。いわゆる子宮頸がん予防ワクチンとはこのHPVに対するワクチンです。HPVに感染しても多くの場合は、その人の免疫力によってウイルスが体内から排除されます。

しかし、10人に1人くらいはウイルスが排除されずに感染が長期化(持続感染)することがあります。この場合、ごく一部の人では長い年月(ウイルス感染から平均で数年~10年以上)をかけ、前がん状態(異形成と呼ばれる)から子宮頸がんへと進行することがあります。

持続感染する原因はまだ明らかにはなっていませんが、その人の年齢や免疫力などが影響しているのではないかと考えられています。

精密検査やその結果子宮頸部形成、子宮がんと診断されたらその後の管理方針については次回以降でお話していきます。

世界の先進国では、子宮頸がん予防への意識が高く、アメリカやイギリスでは約80%の女性が定期的に検診を受けている一方、日本ではその受診率が約42%と極めて低いことが問題となっています。

婦人科受診は敷居が高いかもしれませんが、何か気になる症状が出る前にぜひ検診を受けてください。各自治体により公費負担は異なりますが、1500円前後の自己負担で子宮がん検診を受けることができます。

まずはかかりつけもしくはお近くの婦人科で相談してみてはいかがでしょうか。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

直レディースクリニック 院長 竹村直也

2000年神戸大学医学部卒業
2008年神戸大学医学部大学院修了
兵庫県立こども病院、日高医療センター勤務の後神戸大学病院産科婦人科助教。
淀川キリスト教病院産科婦人科部長、
竹村婦人科クリニック勤務後、2020年5月直レディースクリニック開業

資格:医学博士 産婦人科専門医 母体保護法指定医

直レディースクリニック

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