「空気を読む」では伝わらない時代
コロナ禍でデジタル化が急速に進み、働き方もコミュニケーションの取り方も多様に変化しています。これまで日本では「空気を読む」「言わなくても察する」コミュニケーションが主流でしたが、ニューノーマルの時代、それでは伝わりません。
特にオンラインでは自分の思いや考えをしっかり言葉にして、相手が受け取りやすく伝えるスキルが今まで以上に求められます。これからの時代、「対面」「オンライン」どちらもうまく話せる人がチャンスを手にします。
私は、NHK衛星放送キャスターを10年、TBSやCBCなどでスポーツや情報番組などのアナウンサーの仕事をトータル20年近く経験しました。現在は話し方、プレゼンテーション、コミュニケーションの研修やトレーニングを行い、これまで1万5,000人以上のビジネスパーソンに指導をしてきました。テレビはまさに画面越しの伝え方、話し方の宝庫。これまでの経験からビジネスがうまくいく話し方についてお伝えします。
オンライン会議を成功させる3つのコツ
すっかり定着した「オンライン会議」。手軽になった分、回数が増えたり、ダラダラと続いてしまったり、リアルの時と違いルールも明確ではないため、進行に自信がないという人も多いはず。今回はオンライン会議がはかどり、成功させることができる3つのコツをご紹介します。オンライン会議を主催する場合は、次の3つのコツを押さえて充実を図りましょう。
◆事前共有で会議時間を短縮する
会議前に情報を共有しておくと、会議時間の短縮と内容の充実が図れます。
POINT1:会議の議題を事前にメールやチャットなどで共有する
POINT2:当日までに各自発言したい概要を200字以内など文字数を設定してまとめ、メンバー間で共有する
議題を事前に共有しておくことで発表用の資料作成がいらなくなるので、準備時間が短縮できます。
また、事前にメンバー相互の意見を知っておくことで会議前に質問や要望などを用意でき、会議で要点を簡潔に話せたり、一人一人の説明時間を短縮できたりするなどのメリットも。文字でまとめることによって自分自身の思考整理になることもあります。
情報を事前共有した会議では、「事前にメールで伝えていたように、今日の会議のテーマは○○です。それぞれが受け持つ作業内容を事前に共有してもらったので、この会議ではそれを元にマニュアルを作成していきます」などと話すとよいでしょう。
◆名前の表示を名刺代わりにする
お互いの部署や担当がわからないとコミュニケーションが取りにくいものです。そこで、名前の表示を名刺代わりにするという手法を用います。
POINT:アイコンの名前部分に【社名、事業所名、部署名、名前】など必要なプロフィールを記載する
特に会議の参加者同士が初顔合わせの時に名刺代わりに活用すれば、お互いの立場がわかりやすくなります。初顔合わせでも意見交換がしやすくなるよう工夫をすることが、オンライン会議を成功させる秘訣のひとつ。
初対面の人が集まる会議では、「今日は新商品販促の営業チームとマーケティングチームの合同キックオフミーティングです。初参加の人もいるので、名前表示を事業所名、部署名、名前の順に表記してください」などと話してみてください。
◆チャット入力の簡素化ルール
オンライン会議を円滑に進めるにはチャットの活用が便利です。事前にルールを決めておけば、よりスムーズに会議を進ませることができます。
POINT:発言したい時にはチャットに「発言したい」などと書き込む
オンライン会議で難しいのが途中で話を挟むタイミング。会議の流れを止めて断りを入れるのは気が引けますし、宅配や電話などの急用の場合も、黙って席を立つのは失礼かなと思います。そんな時はチャットに記入をすれば進行を止めずにお断りができます。
ただチャットに文字を記入していると、時間がかかってしまって面倒と思われる人もいるかもしれません。その場合はあらかじめ「発言したい時は“1”」などと、記入しそうな内容を数字で表すルールを決めておけば入力の手間がはぶけて便利です。
会議のチャット記入ルールは、「発言したい時には手を挙げるか、チャットに“1”と書いてください」「電話対応など、途中急用で抜ける時にはチャットに“2”と書いてください」などと伝えればわかりやすいですね。
こうした参加ルールは口頭で伝えても忘れてしまうので、事前に文章を作成しておき、会議スタート時にコピー&ペーストをしてチャットで共有しておくと親切です。
オンライン会議がはかどるコツは、【事前共有で会議時間を短縮する】【名前の表示を名刺代わりにする】【チャット入力の簡素化ルールを決めておく】でした。ぜひ実践して、スムーズなオンライン会議を目指してみてください。
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阿隅和美
WACHIKAコミュニケーションズ株式会社 代表取締役。
青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わり、あらゆるジャンルの人々の「声」に触れてきた豊富な経験を持つ。(アナウンサー名:瓶子和美)現在は、TV現場で培った技術を活かし、のべ1万5000人以上に対して、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。